2008年3月6日木曜日

生ワカメのしゃぶしゃぶ


本当は、前回の続きで「海ぶどうの思い出 〜 その3」のところなんですが、ちょうど今が旬のものがあるので、きょうは横道にそれてコッチの方を書きます・・・・生ワカメ。

毎年、この時期しか味わえない。私に春の訪れを知らせてくれる。その食感と繊細な味はもとより、淡い磯の香りがたまらない。そして、「ワカメは緑色ではない」ことを身をもって教えてくれ、その見事な緑への変身ぶりも楽しい、嬉しい。

上の写真の左が茹でる前の生ワカメ。茶褐色だ。こいつを軽く昆布で出汁をとった汁でしゃぶしゃぶし、ポン酢で食す。しゃぶしゃぶするとアッという間に、ご覧のとおり鮮やかな緑色に変身する。右の写真は湯気でややかすんで見えるが、その変身ぶりは見事の一言に尽きる。そしてバクバクたくさん食べられるのも嬉しい。

これに出会う前までは、ワカメは緑色と漠然と思っていた。見たことはなくとも、緑色のワカメが海の中でゆ〜らゆ〜らしていると。おそらく、子供のように絵を描かせると、ワカメを緑色に描いたに違いない私。だから最初にお目にかかったときは、色だけでなくその無骨とも言える容姿にちょっと驚いた。でも、現物を目の前にして、海の中をゆ〜らゆ〜らする姿を思い浮かべると、確かにコッチの茶褐色の方が似合う気がする。また市販の茹でた緑色のワカメは、たいがい使いやすいように細かくなっている。でも、元々はもっとでっかくて堂々としたものだ。知ってる人には当たり前のことだろうが、都会育ちの私にはとても新鮮だった。

この時期、2〜3度はこの生ワカメをしゃぶしゃぶする。基本は、シンプルに生ワカメだけど、ちょっとまだ寒い日には、湯豆腐とコラボしたりする。(ただ、鍋の昆布出汁の中に豆腐を入れるだけ) ポン酢でいけるし、アサツキ・紅葉おろし・おろし生姜などなどとともに、いろいろ楽しめる。ただ、ん〜、やっぱりこれは精進がいいかなと思う。鯛やイカ・タコなんかもおいしいと思うが、生臭さがまったくないところで、このときばかりはひたすら生ワカメを食したくなる。おいしい燗酒とともに。豆腐はそれに邪魔にならない、というだけ。それで何となく、新しい季節へ敬意を表しているつもりになる。

0 件のコメント: