2014年10月2日木曜日

ロシア旅行no.7・ロシア、イルクーツクの人

8月の半ばに、3日間の滞在で、ロシア・イルクーツクへ行ってきた。そのときのことを続けてエントリしてきたが、これが最後の7つ目。人のことについて。

冒頭の写真は、イルクーツクの中心街の広場。何気ない風景だ。ベンチの右側の白人男性は手にポリ袋を持っていて、買い物が済んで一休み、また左側のモンゴル系男性は孫らしき子供を抱えて一休みといったところか。3人とも地元の人という感じだった。写真の背景はヨーロッパな感じだが、イルクーツクからモンゴルとの国境は200キロぐらいしかない。先住民はモンゴル系のブリアート人だから、スラブ系のロシア人がこっちに移住してきた格好だ。

今回の旅行中、ロシア人の日本語ガイドさんが案内してくれた。一日ぐらい一緒にいると、

「何で日本はロシアともっと仲良くしないの?」
ときかれた。

「日本はアメリカに向いてるからね」
と私。

「最近、中国や韓国とも仲が悪くなってるって話しじゃない?(よく知っててちょっとビックリ) アメリカの言うことばっかり聞いてたらダメよ。あんな遠くの国と仲良くするより、もっと近くの国と仲良くしないと。それにアメリカの(発信する)情報は、間違えだらけだから、気をつけてよ」

と、忠告までしてくれた。
面白く感じた私は、

「ところで、ウクライナのことはどう思うの?」

ときいてみた。

「ウクライナは、ロシアの兄弟の国よ。その国が危ないときに助けるのは当然でしょう」

日本のマスコミの目線とはずいぶん違う。とても新鮮。日本の新聞は、ウクライナ国内のロシア寄りのグループのことを「親ロシア系過激派集団」と称す。どんなことでも、マスコミ(=私の知らない人)が言うことは鵜呑みに出来ないが、ロシアでロシア人の話を直に聞くと、その目線・感覚が、“具体的に”私の中にインプットされる。どっちが正しいかという問題ではない。ただ、こうして私の感覚が形成されていくことは確かだ。だから、常にいろいろな目線や感覚を感じながらいろんなことを考えることは大切になる。

さてさて、近いけど遠く感じていたロシア。そもそも、だから「行ってみよう」という気になったのだけど、行ってみて一番思うことは、私はこれまで、ロシアの目線・感覚をあまりインプットしてこなかったなぁということだった。それが「遠く」感じていた理由なのだ。

イルクーツクを去る夜、私はホテルのロビーで空港への送迎の車を待っていた。そこには似たような境遇の人が10〜20人ほどいた。何しろこういう時間は退屈なものだ。私は、煙草を吸いに、ホテルの玄関を出てすぐ横にある喫煙所の椅子に座った。私の煙草は、刻みに煙管ということもあってだと思うが、私が一服すると、隣のロシア人男性が英語で話しかけてきた。

「中国人か?」
「いや、日本人だ。中国の煙管はもっとデカイ。これは日本のものだよ」
「おーそうか、日本といえば、私は日本のコインが好きなんだ。特に500円玉はいいなー」
「へぇー、コインが好き? カネじゃなくて?」

なんて談笑してたら、スラッと背が高く、スタイルのいい美人なロシア人女性が、煙草を吹かしながら、話しに加わって来た。彼女は、いきなり、私たち二人に、

「私の旦那は、駅のお偉いさんでねー」

と、変な話しを始めた。私はもちろん、隣のコイン好きのおじさんも彼女とは初対面。彼女は奇妙な人ではあったが、人の良さそうな人だった。そして、「へぇー、どんなお偉いさんなの?」などと、隣のおじさんと二人で、やんわりと彼女をからかいながら、3人でしばらくくだらない話しをした。やがて、私が最初に送迎の時間になって、その場を去ったが、やや後ろ髪を引かれる思いも湧いたぐらい、(退屈な時間に)和やかな時間を過ごせた。そして、「なんだ、結構ロシア人って人なつっこいんだなー」と思った。

たった3日の滞在だったし、「人なつっこいんだなー」だって、たった何人かと接しただけだ。でも、ロシアへ行く前まで、「ロシア人って、いつも眉間にシワ寄せて堅そう」という私のイメージは変わった。

そう言えば、私が持ってたそのイメージのことを、先述のロシア人女性のガイドさんにきいてみた。

「ロシアの人たちって、笑顔がなくて、いつも堅い表情してるってイメージだけど、どう思う?」

「そりゃ、知らない人の前でニコニコする人の方がおかしいんじゃないの?」

と笑顔で返された。たしかに。

私の知らないことが、この世にはたくさんある。知らないことは、気がつきもしていないことがほとんどだ。だから、何かの縁または偶然で、知らないことを知ったとき、初めてそれを知らなかったことに気づく。そんなことを思った3日間のロシア・イルクーツク旅行でした。おしまい。

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