2015年2月19日木曜日

とりあえず、3つの麹菌

今回は麹菌の話し。

先月のことだが、麹のレクチャーを聴いた。1月23日のエントリ神田「みますや」は、そのレクチャーに行く前に寄った店だった。という訳で、本題の麹菌。

講師の方は、鹿児島の河内源一郎商店の池田社長。こう言っては、プロの方々に対して失礼のような気もするが、麹の話しはあまりに面白い。

まずは、冒頭の写真だが、左から、

黒麹の種菌(学名:アスペルギルス・アワモリ)
白麹の種菌(学名:アスペルギルス・カワチ)
黄麹の種菌(学名:アスペルギルス・オリゼ)

まずは、写真で分かりやすい、色について。

黒麹の黒色は分かりやすいが、白麹は白色ではなく、茶色だ。白麹は、あくまで黒麹に対して、「黒くない」ということから、白麹と呼ばれるようになった。そして、一番右の黄麹は黄緑色。私たちが一番目にすることの多い、味噌や甘酒用の麹がこの黄麹なのだが、それって白いでしょ。私は、その白い麹が白麹だと思っていたが、それは全くの誤解であった。麹菌はどれも発芽すると最初はたくさんの胞子を作る(2〜3日後)。そしてやがてその胞子が新たな菌になるらしい(約一週間後)。味噌や甘酒用の麹が白いのは、それは黄麹の胞子の色であって、菌自体の色ではないということだ。だから、例えば黒麹の胞子の色も黒ではなく、うっすらとグレイがかった色らしい。冒頭の写真の色は、胞子ではなく、あくまで菌自体の色である。

次に、学名について。アスペルギルスとは、アスペルギルス属のカビ菌だというぐらいの説明にさせて頂き、その後についてる、種の名前「アワモリ」、「カワチ」、「オリゼ」について。

まず、「オリゼ(黄麹)」は、米についている麹菌として、イネの学名“Oryza”をつけたらしい。(←これは私がネットで調べた) 日本酒、味噌などに使われます。また、「アスペルギルス・オリゼ」は、日本の国菌として認定されているとのこと。そして順番としては次に、「アワモリ(黒麹)」。その名のとおり、沖縄で泡盛用の麹として使われる。そして、「カワチ(白麹)」。そう、「河内源一郎商店」という社名にもある、「アスペルギルス・カワチ(白麹)」は、河内源一郎さんが発見した麹菌だ。それが1924年(大正13年)。それまで九州で作られる焼酎には、日本酒用の黄麹が使われていたらしい。黄麹は、(10℃ぐらいだったかな)何しろ黒麹や白麹に比べて、醸造時の適温が低い。だから、気温が比較的高い九州では、いくら蒸留するといってもモロミが発酵というより腐敗することが多かった。そこで、河内源一郎さんは、泡盛のモロミが腐敗しないことに注目し、「アワモリ」(黒麹)を調べていたら、その突然変異種として、黒くない「カワチ(白麹)」を発見したというのだ。この「カワチ(白麹)」は、「アワモリ(黒麹)」よりまろやかな味の焼酎になるとのこと。しかし、その発見当時、九州では「オリゼ(黄麹)」から「アワモリ(黒麹)」に切り替わっていたため、「カワチ(白麹)」が注目を浴びるのはその発見の20年後(?不確かだがそのぐらい)だったらしい。

思えば、昔。昔って言ったって、私の若い頃、臭ーい焼酎というのがあった。想像だけど、その焼酎は、黄麹を使っていたのかも知れない。もう何年前か、焼酎ブームがあり、今も焼酎は大人気だ。あれは当時明らかに焼酎が格段においしくなったからだ。それはこの「カワチ(白麹)」の発見が大きかったことは確かです。すごいです、河内源一郎さん、そして河内源一郎商店。

ざっとここまで書いてみたものの、実はまだ私が書きたい核心に触れてない。次は、麹菌の「味」について書いてみたい。

2 件のコメント:

あまね さんのコメント...

ごぶさたしてます!
河内さん以前鹿児島に訪ねたことがありました。真っ白と真っピンクの甘酸っぱい瓶入りのペースト、面白くいただいたんですが、今思えばマイグルトと同じようなつくりだったのかなと。お話しの続きたのしみにしてまーす

下条剛史 さんのコメント...

> あまねさんへ

こんにちは。河内さんを直接お訪ねとはさすがです。私は河内さんの白とピンクのペーストやマイグルトを食したことがないのですが、マイグルトで使う麹はどんな麹なんだろ? そのへんがミソですよね。いい話しの振りをありがとうございます。次のエントリ、早く書かなきゃ。