2018年11月12日月曜日

タンドールへの道・その6(ナン編)


タンドールが出来ると、すぐにでも使ってみたくなるってぇのが人情ってもんだぁな。上の写真は、焼きたてナン。タンドールが小さい分、ナンも小さくなるものの、とてもうまく焼けた。大きさは、男性の手の平ぐらい。子供たちもパクパク食べてた。

タンドール完成に至った日は、日曜日。朝からカミさんにお願いして、ナンの生地とタンドリーチキンの漬け汁を作ってもらった。ナンは、酵母で発酵させるし、タンドリーチキンも、汁に漬けとく時間が長い方がいいので、仕込みは数時間前が望ましい。

さてさて、まずは、タンドールに点火。

炭起こしで、炭に火を点けて、ロストルの底網の上にせる。炭の量は、炭起こし1杯分、男の両手で一杯分ぐらい。炭は、ホームセンターで売っているバーベキュー用。「日持ちがいい」と外箱に書いてあるが、だいたい日本の楢の炭に近いか劣るぐらいの火持ち。日本の楢炭と違うのは、ちゃんと炭化してないので、焚き始めに、煙がモクモク出ることと炭の大きさが極端にバラバラなこと。でも、タンドールには全く支障がない。煙モクモクもしばらくすると落ち着いた。

まずは、下の空気孔の窓を2センチぐらい開けて、上の蓋を1センチぐらい開けた。上の蓋の1センチは横長になるので、概ね下の空気孔2センチの面積と同じぐらいと思った。焚き始めなので、本当は、下の空気孔は全開でもよかったかも知れないが、実はこの後、私はプールへ泳ぎに行ったので、時間稼ぎで2センチにしてみた。1時間ほどして帰宅すると、タンドール君はしっかり熱くなってくれている。そして、中の炭火を覗くと、まだ半分も燃えてない。これはさすがタンドール様だ。立川のパキスタン料理店のタンドールを見せてもらった折に思ったとおり、燃料の量に対しての熱効率(燃費)が極めていい。これだけ炭が残っていればと思い、もう1時間、このままタンドール様を温め続けることにした。

そしてさらに1時間後。貝殻を貼った上面の耐火モルタル、米びつの胴体、米びつの底も熱くなっている。よ〜しと、ナンを焼き始める。焼いてる写真が下。焚き方は、今後の研究課題だ。もっと効率のいい焚き方があると思っている。


種明かしすると、これは実はうまく行きだした3枚目。1枚目は、ただただテキトーにやってみたのだが、生地をタンドールの内壁にくっつけたつもりが、バラバラになって炭の上に落っこちて、炭まみれになってしまった。また焼く前に生地をのばすとき、手に生地がくっついてうまくのばせず、生地の厚みにムラが出てしまい、バラバラになりやすくなっていた。

課題は2点。
うまく壁にひっつかない。生地がうまくのばせない。・・・・考える。

少し考えたら、アンコ(中身)を布にくるんだ巾着を平たくしたようなものを、タンドール料理人が使っているのを思い出した。「アンコ(中身)を布にくるんだ巾着を平たくしたようなもの」とは、下の写真のようなもの。


これは、半分ぐらいの古タオルをアンコ(中身)にしてサラシ布でくるみ、巾着状にしたもの。(仮にこれを「巾着パンチ」と呼ぶことにする) 本当は、もっとアンコが硬めの方がいいと思うが、とりあえず、この日は即席でこれを使う。で、この使い方。まず、平らにのばしたナンの生地を、手で一度タンドールの内壁にくっつける。1回目は、この数秒後、少しずつナンが壁から剥がれ始め、バラバラになりながら、炭の上に落っこちたのだが、今回は、手で内壁にくっつけた直後に、この「巾着パンチ」で生地をポンポン何度か押して、タンドール内壁に押しつけた。最初っから、「巾着パンチ」に生地をのっけて内壁にポンとひっつければよさそうなものだが、慣れない私は、狙いを定めないとならず、狙いを定めていると、手の甲が耐えられないほど熱くなった。なので、手がタンドールの中に留まる時間を最短にするため、最初はパッと素手で内壁にくっつけるだけにし、その後すぐに「巾着パンチ」で、フォローして3度ぐらいポンポンと押して内壁にひっつけた。ただし、この2回目は、生地をムラなくのばすため、生地の両面に打ち粉をしていた。

打ち粉をしたので、手にひっつくことなく、生地は確かにうまくのびたのだが、タンドール内壁にも、ひっつかず、再び生地が炭火に落下して失敗。でも、「巾着パンチ」は、使えそうと感じた。あとは、いかに生地をうまくのばすかだ。私は、麺棒を使って、チャパティの生地を丸く均一にのばすのは得意な方と思っているのだが、このナンはちょっと勝手が違う。チャパティは、ノシ板にも麺棒にも生地がひっつかないように、(蕎麦やうどんのように)生地の両面に打ち粉をして、麺棒でのばす。チャパティは基本的に両面を鉄板で焼くからこれでいい。だが、ナンは、チャパティのように両面に打ち粉をしてしまうと、ノシ板や麺棒にひっつかないと同時にタンドールの内壁にもひっつかなくなる。片面は「巾着パンチ」で押すので、打ち粉をした方がいいのだが、タンドールの内壁にひっつかせる面は、打ち粉をしてはならない。打ち粉をしないで、どうやって生地をのばすか。

また、・・・・考える。

油だ。と思った。何となく、タンドール料理人の手が、油でテカっているような気がしてきた。勘違いか? まあ、やってみよう。最初に、ノシ板に打ち粉をして、その上に生地を置き、薄っすら油を塗った両手で生地の上面をのばす。下面は打ち粉で台にひっつかない。上面は油で手にひっつかない。チャパティは麺棒でのばすから、円形になるが、ナンは大概、長い二等辺三角形の形をしている。その理由が分かった気がした。麺棒を使わず、(油を塗った)両手でのばすとこの形になるんだ。その説に確信はないものの、「巾着パンチ」と両手に薄っすら油を塗って生地をのばした3回目からは、上手に焼け始めた。サイズは、本家のタンドール・ナンより小さいものの、この日は計8枚焼いた。また、1枚焼く時間は、2分〜3分ぐらい。これは無論、タンドールの温度にもよる。1枚焼き始め、それが焼き上がる前にもう1枚焼くのも可能。試してないが、タンドールの内壁の面積からすると、3枚まではいけると思う。

あと、焼いている間、下の空気孔は1センチ開けて、上の蓋もそのぐらいの面積開けた状態にしていた。温度を上げたければ、下の空気孔をもっと開けた方がいいだろう。一時的に上の蓋を100%閉めてしまって、陶芸の窯で言うところの還元状態にして、グッと温度を上げるのも手かも知れない。このへんは今後の課題。

また、いいことばかりではない。タンドールが小さいせいで、ナンのサイズが小さくなることは仕方ないにしても、先ほども少し触れたが、もう一点。ナンをタンドール内壁にひっつける際、小さいせいで、チンチンに熱くなっている炭火と手の距離が必然的に近くなる。つまり手が熱い。溶接用の革手袋でもするか。いやいや、いちいち手袋を付けたり取ったりは煩わしい。それよりは、今は、熱さに慣れ、また作業にも慣れて手際よくなり、素手で出来ちゃうようになる方向でいこうと思う。

と言うわけで、課題は残るものの、めでたく、おいしいナンが焼き上がった。輻射熱ということだろうか、火の通り加減が実にいい。全体的に火が通っていると同時に、外がパリッとで、中がフワッとということです。焼き上がりの様子は、次のエントリでも触れる。

ナンの次は、タンドリーチキンだ。

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