2022年2月18日金曜日

家族の事情とティーペアリング


ちょっとした飲食店で外食すると、食事を注文した後、だいたい「お飲み物は何になさいますか?」ときかれる。まー、食事には、日本酒かワインを合わせることが多い。


我が家には現在、高2の娘と中2の息子がいる。家族での外食で、「お飲み物は何になさいますか?」の際、カミさんと私はだいたいアルコール類を注文するが、子供たちはだいたい「水で」、「炭酸水で」とボソッと言う。「ウーロン茶」の場合もたまにあるかな。甘さを伴ったジュース系の飲み物もメニューにあったりするが、料理を食べるのに、「甘いジュースは合わない」という感覚が子供たちにもあるようで、食後にはあっても、食中にジュース類は注文しない。そしてその子供たちは言う。「いっつも、大人はいろんな酒ばっか頼んで、水だけの自分たちは、なんか損してる気がする」と・・・・。分からなくもない。


そして、うちの家族で車の運転するのは私だけ。車で出掛ける外食の場合、私はアルコールを飲めないから、「日本酒やワインがないとね〜」という類の料理屋さんへ、車で出掛けることはまずない。(代行というのがあるが、未だに一度も利用したことがない) しかし、子供たちは楽チンな車の移動を要求する。子供たちが「日本酒やワインがないとね〜」の飲食店に車で行きたいと申し出ても、私はだいたい断るのだが、すると子供らは「酒なんて飲まなくていいじゃん。子供は酒飲まないんだから、それは(大人の都合だけで)不公平だ」と・・・・。分からなくもない。


そして、数ヶ月前、私は機会あって、ティーペアリングの話を聞きに行った。講師は、LogiConnecTeaの河野さん。お茶に詳しくない私が乱暴に言ってしまうと、「料理+ワイン(日本酒)」だけじゃなく「料理+お茶」もいかが?ってこと。ワインはかなりの種類があるが、お茶だってかなりある。品種や栽培の場所や天候の違いは、ブドウでもオチャノキでもあるし、寝かせておいしいものや新物がおいしいものとか、(発酵の種類こそ異なるものの)ワインもお茶も発酵のさせ方で様々になる。ま、お茶は発酵させないのもある。アルコールの有無は別にして、違うと思うのは、ワインはデカンティングや飲むときの温度を気をつけるが、お茶はそれ以上に淹れ方の選択肢が順列組合せでかなりあることか。単純には、お湯出しか水出しか。じゃあ、そのお湯の温度は何度か。お湯で入れて、冷めるの待ってさらに冷蔵庫で水出しとか。水出しの水の温度や置いとく時間でも変わる。


こんな風に、ワインのように様々な味・風味があるお茶だ。料理とのペアリングもさぞかし面白いのではなかろうか。と思って、河野さんの話を聞かせてもらった。その場でいくつか実食もさせてもらうと、ワイン・日本酒とのペアリングとは別の世界ではあるものの、「これもいいな」。つまりは食べ飲むことが楽しかった。


私の「これもいいな」と、二人の子供の「(水だけで)損してる」、「(車で外食に行かないのは大人の都合で)不公平だ」が繋がった。決して純粋にティーペアリングを楽しむことだけが理由ではなかったが、「各料理に合わせたいろんなお茶を(ワインのように)飲みながら、コース料理を楽しむ」、そしてそのお店には「車で行くぞー」。二人の子供を休日のランチに誘ったら、あっさり乗り気。ティーペアリングは、うちの家族内の課題を見事に解決してくれた。


お店は、ヴェッキオ・コンヴェンティーノ(埼玉・越谷)。

車で行ったので、駅からの道のりは分からないのだけど、人通りの少ないところにポツン佇んだカジュアルなお店。シェフの清水さんの料理を、河野さんがティーペアリングとともにサーブしてくれた。


料理は優しい味付けの野菜料理中心で、おいしゅうございました。(料理11品+お茶8種)

一番印象に残っているのが、アミューズに出てきた、一口サイズの、何かにのっかってるマスカルポーネを生ハムで巻いて、その上にドライイチジクのスライスがのっかってたの。その画像はないけど、文末にいくつか画像を載せます。食事をしながら写真撮るのは、子供の運動会の写真撮るのが難しいのに似てる。しっかり写真撮ろうとすると、その場の食事や運動会を楽しめなくなる。


ちなみに冒頭の写真は、ほうじ茶をさらにバーナーで炙ってるところ。このお茶はワイルドな肉料理に合わせる。タンニンの効いた赤ワインのような感覚。半発酵の水出しウーロン茶の淡い酸味や釜入り茶の淡い香ばしさを異なる料理に合わせる。酒飲みの私だが、8種のティーペアリングを楽しんだ。が、最後に、ティーンエイジャー二人にとっての、ティーペアリング。あえてちょっと困ったこと。彼女は、食事中、二度もトイレに行ってて「(お茶で)お腹ゲボゲボ」。彼は、「お茶飲みすぎて、夜眠れなかった」。私は一度もトイレに行かず、毎日コーヒーでカフェインをとってるせいか、眠れなくなることもなかったが、二人とも、2時間ぐらいの間に8杯ものお茶を飲んだことはなかっただろう。河野さんも、食事の最初に、「無理してたくさん飲まなくていいからね」と添えてくれたが、「この料理にこのお茶」とサーブされると、8杯ぐらい飲んでしまう。それは子供たちも一緒だったんだろう。アルコールもお茶も、楽しけれど、飲み過ぎ注意に変わりはない。