2015年7月29日水曜日

サイゴンのバラータと4種の花のピザ

今年の4月のエントリ(ベトナムのコンデンスミルクとおいしいチーズ)で、ベトナム・サイゴン(ホーチミンが正式名称)にあるピザ屋さん、4P's(フォーピース)に触れた。「うまい」という噂を聞きつけて訪れた。このピザ屋で使っているチーズは全て、ダラットのチーズ工房で作られている。きょうは、その続き。

先のエントリでは、定番とも言える、「マルゲリータ」のことを書いた。で、私たちは、今年1月の来訪時、「マルゲリータ」の他に、「バラータのピザ」と「4種の花のピザ」というのを注文した。このお店では、「マルゲリータ」よりも、他の2つの方が印象に強く残っているので、それらについても書かねばならない。

ということで、まずは、「バラータのピザ」。バラータは、モッツァレラが巾着のようになっていて、内部の濃厚なミルクを包んでいる。テーブルにサーブされた直後が下の写真。生ハム、ルッコラ、生トマトの上にちょこんとのっていて、オリーブオイルがかかっている。
そしてサーブしてくれたお兄さんが、慣れた手つきでナイフとフォークを使って、放射線状にバラータを切ってくれる。中身の濃厚なミルクはピザの上にトロッと広がる。
これみて思い出したのは、5年前に行った、イタリアはイタリア南部のオストゥーニのレストランで食べたバラータ。あれもうまかった。そこでは、バラータにはシンプルにザクロが添えられていた。その写真が下。日本では食べたことがない。日本では作られていないのだろうか。またはあんまり輸入されていないのか。いずれにしても鮮度が大事そうなチーズだ。
イタリアでのシンプルな食べ方もよかったが、4P'sの生ハムと一緒にピザで食べたのは、とってもリッチなおいしさ。中の濃厚なミルクとフレッシュなモッツァレラの味、それとともに生ハムの旨みたっぷりの塩分とルッコラの淡い苦味が口の中で広がる。こんなに贅沢していいものかと思うぐらい。4月のエントリでも書いたが、生地もちゃんとおいしい。「ベトナムでこれが食べられるから」ということではなく、とてもおいしい料理だ。

そして、次はまったく別のおいしさ。「4種の食べる花ピザ」が下の写真。モッツァレラの上に花がのっている。
そして、花(らしきもの)を並べてみたのが下の写真。左から3番目はカボチャ、一番右はニラのようだった。
マルゲリータ→バラータのピザ→花ピザの順でサーブされて食べたのだが、バラータのピザがあまりに濃厚でリッチな味わいだったためか、この花ピザを食べたらホッとした。花ピザというと派手なイメージもあるかも知れないが、これらの花は、いろんな淡い苦味を持った山菜のような素朴な味だ。私はまだ食べたことがないのだが、ベトナムには、「花鍋」なる鍋料理がある。この「花ピザ」は、おそらく「花鍋」に着想を得て考え出された、ベトナム独特のものではなかろうか。

また、「花を食う」で思い出すのは、「戦場のメリークリスマス」という映画の中で、デビッド・ボウイ演じる捕虜が花を食ったシーン。それを見たビートたけし演じる日本兵の「貴様、花を食うのか!」という台詞があったような。詳しくは忘れたが、とにかく周りはその行動にビックリし、そのときを境にその映画の中の重要な価値観が変わったような記憶がある。遠い記憶だが。日本でも、カボチャやアカシアの花の天ぷらを食べたことがあるが、「花を食う」ことはどこか特別な気分がするものだ。

こうしてすっかり満足してしまった、ベトナムはサイゴンの4P'sのピザ。次行ったら何を注文しようか。たしか、クワトロフォルマッジ(4種のチーズのピザ)なんかもあったな。あっそうだ。「4種の食べる花ピザ」の4種はここからの着想か‥‥。

2015年7月28日火曜日

梅酢ドリンク

猛暑、猛暑、猛暑。
こんなに暑くていいのか!

確かに猛烈に暑いのだが、梅干しを作っている人なら、待ち焦がれたカンカン照りとも言える。梅雨が明けてのこの強烈な陽差しは、梅干し作りには欠かせない。年によっては、ほんの数日間しかカンカン照りの猛暑がないことがある。たまたまその数日間の自分の都合が悪いとカンカン照りの下の土用干しは出来ないことになるのだ。

だから、梅を土用干し用のザルに並べ、この強烈な陽差しが梅干しに当たっているのを眺めていると、「よくぞここまでカンカン照りになってくれた」との思いがよぎる。このときばかりは、暑さがうっとおしくなくなるのだ。これは梅干しを作っている者の特権のような気がする。

そして、梅干しを作っている人にとってのもうひとつの特権。それがこの「梅酢ドリンク」だ。ただ梅酢を水で割るだけ。炭酸水割りもいい。もちろんオプションで氷。赤ジソの色も鮮やかだ。私は、外出時、水筒に入れても持って行く。これをつい去年の夏に思いついた。今年は、炎天下でサッカーしている息子にとっても必需品になっている。私は、梅干しを作り始めて15年目ぐらいだが、これまで梅酢は結構余りがちだった。何でこんなおいしくて、こんな簡単なことを、去年まで思いつかなかったのだろうとつくづく思う。唯一のコツは、最初は梅酢を入れ過ぎないこと。ほんの少しだけ。ゴクゴク飲めるように。この猛暑の中、欠かせない水分&塩分補給を、梅のクエン酸、赤ジソのアントシアニンなどととともに出来る。また糖分もないので、食欲増進にも繋がる。最近流行りの「経口補水液」の味を、好きになれない私にとって、とても有り難い。

私の梅干しは、きょうで土用干し2日目だが、梅酢は、土用干しを始めると瓶詰めされ、使い始めることが出来る、いわば梅干しの副産物だ。つまりは、梅干しの「汁」。我がカンホアの塩のサイトでも、梅酢の使いみちとして、「赤梅酢ご飯」と「本物の紅生姜」を載せているが、去年思いついた水で割るだけのこの「梅酢ドリンク」は、その究極の使いみちのように思う。

飲み物のおいしさには色々あると思うが、「梅酢ドリンク」のおいしさは、「上品でさっぱりとした味」のおいしさだ。これ以上さっぱりした飲み物が他にあるだろうか、とさえ思ってしまう。

ところで、「梅酢ドリンク」という名前がダサイ。例えば「梅酢ジュース」の方が聞こえはいいのだが、用途としてはゴクゴク飲むスポーツドリンクに近いので、やっぱり「梅酢ドリンク」か。梅・塩・赤ジソの梅酢と水だけの原材料、それも自分で梅干しを作った人は、それらの原材料は自分で選んだものだ。だから、「梅酢ドリンク」は、自分で梅干しを作った人の特権とも言えると思う。糖分フリーなところは、スポーツドリンクとは異なることを付け加えておきたい。

この時期、梅干し自体もとってもいいのだが、水分が欲しくなる。この「梅酢ドリンク」は、水分も同時に摂れるというスグレモノ。梅干し作っている方には特に、一度試してもらいたい。梅干し作っていなくても、作っている人に分けてもらうか、市販のを買うかして試してもらいたいサッパリ感です。