2013年11月11日月曜日

「乳を飲む」ということ

先のエントリ、しゃぶりつき生乳の続き・・・・。

「乳を飲む」ということはどういうことなんだろう?
子どもは、「乳飲み子」から、いつしか「乳離れ」する。そして一度「乳離れ」した後は、拒絶するものだ。しかし、牛乳は大人になっても飲み続ける。

私は、想いやりファーム、長谷川氏と話していて、思い出したことがあったのできいてみた。

「牛乳は、牛の赤ちゃんのための飲物なのだから、人間には合わない(飲まない方がいい)という話を聞いたことがありますが、どうなんでしょう?」

すると、(昼食中だったこともあり)目の前のご飯を指さして、

「では、お米は誰のためのもの(植物)でしょう? 特に決まってこの世にある訳ではありませんね。乳もそれと同じで、特に誰のものと決まってこの世にある訳ではないですよ」

なるほど。そりゃそうだ。ハチミツだって同じことが言えよう。

ところで私は、25年ほど前、インドを旅行したことがキッカケで、2年間ほど、(インド流)ベジタリアンだったことがある。インドのベジタリアンは、ミルク、乳製品(非レンネット)を食すベジタリアンだ。そのインドの旅行中に知った、インドのミルク・乳製品については、以前このブログでも書いたが(下記参照)、今思えば、「想いやり生乳」と関係深く感じる。

●牛を語らずしてヨーグルトは語れず(2013年3月19日)

上記エントリで、インドのミルクが日本より格段にうまい理由は、「最低限の加熱」と「(放し飼いで)ストレスが少なく、(変な飼料ではない)いい食生活をしている牛」と書いた。上記エントリの時点で、私は「想いやり生乳」を知らなかったが、「想いやり生乳」はそれはと繋がった。

「想いやり生乳」は、「最低限の加熱」さえしてないし、長谷川氏曰く、

「牛にストレスを与えないんです。牛小屋へ入らせるにも、お尻を叩いたりしない。自分で入るまで待つんです」

そして、食べ物。「想いやり生乳」の牛の食べ物については、冒頭の写真にもあるが、そのビンにある記載を下記に引用します。これ以上のものはないかも知れない。

「牛への配合飼料・遺伝子組み換えや動物性飼料、牧草への農薬や肥料は使用していません」

この点、インドの牛は、草だけでなく新鮮な野菜くず(おそらく農薬使用)なども食べるから違う。ただ、日本の一般の乳牛の飼料と比べたら、かなりマシだとと思う。

だから、インドのミルクは日本の一般の牛乳より格段にうまいのだ。そして、だからインドの町では、牛が放し飼いにされているのだ。

改めて、「乳を飲む」ということを考える。

子どもは、「乳飲み子」から、いつしか「乳離れ」する。そして一度「乳離れ」した後は、拒絶するものだ。

私は、毎晩二人の子どもの仕上げハミガキをしている。6歳の息子は、つい先日初めて乳歯が1本抜け、その永久歯が生え始めているところ。そして、9歳の娘は前歯が全部永久歯になったところだ。ほとんどがまだ乳歯の息子は、母乳のような「想いやり生乳」を飲んで、「おいしい! もっとないの?」と言う。そして、半分永久歯になった9歳の娘は、「嫌じゃないけど、もう要らない」と言う。9歳の娘は母乳から大人の食べ物へと移行しているのかとも思える。

しかし、牛乳は大人になっても飲み続ける。

大人になると、牛乳を飲む飲まないは好みの問題だ。しかし、ここで言う「牛乳」とは、一般の殺菌された牛乳だ。フランスやイタリアでは、生乳は日本よりずっと身近なものらしいが、今の日本で、一般の牛乳と生乳の違いを知っている大人は、いったいどのくらいいるのだろう。私は、つい先日知ったばかりだ。

先述の「牛乳は、牛の赤ちゃんのための飲物なのだから・・・」という、私が長谷川さんにした質問は、私の質問が間違っていた。主語の「牛乳」が間違っていたのだ。正しくは、「生乳は、牛の赤ちゃんのための飲物」。もうこの時点で、「牛乳は、牛の赤ちゃんのための飲物なのだから」という理屈は通用しない。

生乳(想いやり生乳)と母乳は酷似している。そして、その両者と(加熱された)牛乳は、別物だ。つまり、私が飲んだうちのカミさんの母乳と一般の牛乳で、私が感じた違いは、人間の乳と牛の乳の違いなのではなく、非加熱の乳と加熱された乳の違いだったのだ。それは3つを飲めば分かる。

生乳と牛乳の違いを体感してしまった私にとって、大人にとっての「乳を飲むこと」は、純粋に好みの問題だ。ただ一つ、付け加えておきたいこととして、「生乳を飲んだことのない大人は、まずは生乳を飲んでから、その好みを判断すべし」と言いたい。

★関連エントリ: 「想いやり生乳」と母乳(2013年10月8日)
★関連エントリ: しゃぶりつき生乳(2013年10月18日)