2010年6月25日金曜日
長い夏風邪
先々週の末に、風邪をひき、3日前まで寝込んでいた。寝込んだ日数は10日を超えた。俗に「夏風邪は長くかかる」と言うが、ほんとうに長かった。「悪い例」ということで、その経験をつづる。決して楽しい話題ではない。「ホラーもの」に近い。心臓の悪い方は読まない方がいいかも知れません。
最初に断っておくが、私はこれまで薬はもちろん、食べ物・花粉類を含め、アレルギーとは無縁だった。
【1〜3日目】
風邪のひき初めは、極普通。喉が痛く、やや熱っぽい感じ。風邪としては何も特別なことはなし。翌日からちょうど土日だったので、葛根湯や梅醤番茶(梅干し+醤油+生姜+番茶)をのみ、ゆっくり過ごしてみるも、熱は下がらず、喉の痛みもエスカレート、だんだん頭痛もするようになった。
【4〜5日目】
そこで、まずは行きつけの針医者さんへ2日(2回)行った。喉の痛みは治まるが、38℃を超える熱は続き、頭痛はやや増しているようだった。(後日回想:このときやや脱水気味だったのもよくなかった)
【6〜7日目】
そこで今度は近所の町医者(内科医)へ行った。抗生剤(エリカナール)と鎮痛剤(イブプロヘン)を処方された。朝、その薬を服用すると、胃が痛くなり、夕方には発疹が出た。その翌朝、同じ町医者へ行き事情を説明するも胃薬(アズクレニン)と整腸剤(ビオフォルミン)を追加で処方され、前日の抗生剤(エリカナール)などはそのまま飲み続けるよう指示を受ける。頭痛はやや治まりつつあるが、関節や身体の筋肉が痛み始めた。発疹は広がり、熱は下がるどころか上がり続けた。
【8日目】
その翌日には39.8℃に達した。
さすがに危機感を感じた。
午後、仕事を早めに引き上げてくれたカミさんに連れられ、今度は大きな病院へ行った。血液検査・尿検査・胸部腹部のX線。結果が出るまでの1時間、点滴をしながら、ベッドの上で待つ。点滴は最初は主に水分、次にステロイド剤(サクシゾン)。すでに2つの袋がぶら下がっている。もうひとつは最後に結果が出る血液検査の結果を待って決めるという。
血液検査の結果も出た。担当医の診断は、「抗生剤による副作用で、発熱や頭痛、筋肉の痛みが発症している疑いが強い。ただ、何らかの感染症の疑いもまだある」。先に点滴しているステロイド剤というのは、抗生剤の副作用、つまりアレルギー症状を抑える薬。私の身体はその抗生剤を拒絶し、発熱や頭痛、筋肉の痛みを起こしているのだ。その症状を抑えるためにこのステロイド剤を使っている。
そして3つめの点滴の袋、今度は副作用のあった抗生剤とは別タイプの抗生剤(正確には抗菌剤らしいが、シプロキサン)。これで悪い菌などの増殖を抑えようということだ。これら3つ袋の点滴が済むと、熱も38℃以下に下がり、気分がやや楽になってきた。数時間前には40℃近い熱だったので、前向きになって家路につけた。その夜は久しぶりにゆっくり眠た。
【9日目】
その翌日は、前の日に初めて投与した抗生剤(シプロキサン)を再び昼に点滴。この日はステロイド剤はナシだ。しかし帰宅後、午後には再び発疹と39℃の発熱。身体中の筋肉が硬直する感じと共に激しい痛みを感じる。再び大きな病院へ戻り診察を受けた。・・・・別タイプの抗生剤(または抗菌剤)でも再び副作用。前日はステロイド剤と一緒に抗生剤を点滴してたのでアレルギー(副作用)は出なかったが、この日は抗生剤のみでアレルギー症状が出た。医者もやや動揺していることが感じ取れる。もうこうなると抗生剤(または抗菌剤)の投与は出来なくなり、ひたすらステロイド剤(サクシゾン)を使っての治療となった。
【10日目】
ステロイド剤(サクシゾン)のみ点滴。ステロイド剤は、アレルギー症状を抑えるのが主目的だが、発熱も抑えるらしい。よくも悪くもすごい薬だ。
【11日目】
血液検査。体内でまだ炎症が起きているとの結果。この日から、(点滴ではなく)飲み薬のステロイド剤(冒頭の写真、プレドニン)を服用し始める。身体の中のステロイド剤が切れると、アレルギー症状が出る(身体が痛くなり発熱)。再びステロイド剤を飲むとその症状は抑えられる。でも、ステロイド剤を飲むと、身体がしびれる感覚になったりで、何となく気分がすぐれない。また、ステロイド剤は、免疫機能を低下させるらしい。だからできたら飲みたくない気持ちがある。
【12〜14日目】
この日から、日常生活を始めた。
ただし、飲み薬のステロイド剤(冒頭の写真)を服用しながら。熱も痛みもないが、どうも気分がすぐれない。
【15日目】
医者の指示は、「この日まで服用」だったが、ステロイド剤を「この日からやめた」。でも、この日何も悪いことはなく一日を過ごせた。つまりもうステロイド剤なしで、普通に生活をおくることが出来ることが分かった。「治っていたんだ」と思った。この「治る」は、もはや風邪ではない。アレルギー症状のことだ。
「8日目」以降、ステロイド剤を投与され服用し続けたのは、アレルギー症状を抑えるためだ。風邪を治すためではない。つまり、最初は風邪の治療から始まったが、気がつくと、その薬(抗生剤)のアレルギー症状を抑える治療にすり替わっているのだ。今回は、2種類の抗生剤でアレルギー症状が出たから、なおのこと長くかかった。
これまで私は、アレルギー症状とは無縁だった。「7日目」の町医者(内科医)の診断は間違っていたと思うが、私自身も「(自分に)アレルギーはない」と思い込んでいた。しかし、「そういう(過去にアレルギーと無縁の)人であっても、未経験のアレルギー物質はあり得るし、またまれではあるが、何らかの体調の変化で、過去に経験のある物質でもアレルギーを発症することがある(大きな病院の担当医談)」らしいから、思い込みはよくない。
長かったな〜。
世界一周したような、長〜い、2週間だった。
今は、ゆっくりと確実に完全復帰したい気分だ。
2010年6月11日金曜日
空豆の天ぷら
2〜3日前、カミさんが空豆の天ぷらを作ってくれた。いや〜、これはおいしいですねー。そもそも私は空豆が好物で、以前も「空豆の丸焼き」というタイトルでブログを書いた。丸焼きもおいしいが、この天ぷらもすこぶるおいしい。塩をパラパラ、レモンをギュー。お熱いうちにどうぞ。
空豆のおいしさは、芋類のようなホクホク感とほのかな甘み、少しだけ次の季節を感じる青い滋味、これに豆類のうま味がほんのりと・・・・ってところだろうか。これが天ぷらになると、衣でそれらの味が閉じ込められ、さらに油がうま味を後押しする。食感も外はカリッと中はホックリ。油でうま味がちょっと強めになるが、レモンを搾ればバランスをがとれる。そして塩が全体をまとめる。このハーモニーにあって、衣に卵は余計だ。
ところで、私が空豆を好きになったのにはキッカケがある。昔、二十歳ぐらいの頃、東京・九段下にあったレストランでウエイターをしていた。その店は、5月か6月から9月ぐらいまで、定番メニューに加え、生ビールと枝豆を出していた。
5月か6月頃、つまりちょうど今の時期、私がやや年配のお客さんのところに注文をとりに行くと、そのお客さんは「生ビールと空豆」と言う。空豆はなかったので、私は「すみませんが、空豆はございません。枝豆ならあるのですが・・・・」と応えた。するとそのお客さんは真っ赤な顔をして、「ナニー、この季節、生ビールを置いてて、空豆がないなんてことがあるのか!」と怒った。幸い、そのお客さんの連れの女性が、「まー、まー、(空豆は)ないんだから、枝豆でもいいじゃない」となだめてくれ、「生ビールと枝豆」に落ち着いた。
私は当時、空豆を特別視してなかったし、そのお客さんが真っ赤な顔をして怒った意味がよく分からなかった。でも、その尋常ではない怒り方は、決してただのイチャモンではなく、その特別さは私に十分に伝わった。それから空豆のことを忘れられずにいた私は後日居酒屋で空豆を注文した。私はそれ以前より注意深く空豆を食べた。「ん〜、おいしい」。枝豆より柔らかく大きい分、口の中がややモサモサするがそう感じたところでビールを飲む。後引くうまさではないか。
空豆の時期は短い。1ヶ月ぐらいか。この後出回る枝豆の前に、この「空豆とビール」の1ヶ月があってしかるべきだ、と思った。そして、怒ったお客さんの真っ赤な顔が頭に浮かんだ。二十歳の若者はこんなことの繰り返しで、いろいろな人に育てられたのだろう、と今になって思う。
さて、おいしい空豆。まずは「茹でて塩」だろうけど、オリーブオイルを含め油も合います。ミキサーでスープもおいしいし。今年は、もう一回ぐらいイケルかな。
2010年6月4日金曜日
ユキノシタのおひたし
2〜3週間前からうちの庭にユキノシタの花が咲いている。人間が作ったピアスにあるようなデザイン・・・と言ったらユキノシタに失礼か。美人というより、チャーミングで純真な美しさだと思う。石垣の隙間に咲いていることもあるが、このユキノシタは地面に生えている。だから立っていてはこの花を見ることは出来ない。上から見て、「咲いてるな」と気がつくと、しゃがむ。しゃがんでこの花と同じ目の高さになって見ていると、「あぁ、また会えましたね」という気分になり、一年ぶりの再会をやけに嬉しく感じる。
花との再会を嬉しく感じた後、私の視線は、すっかり暖かくなって新しく育っているその葉っぱにいく。それはまず、天ぷらが定番だろう。山菜類を天ぷらにするのが多いのは、結構クセやエグ味が強いから。ユキノシタも例外ではない。この葉っぱは、つい先日のブログに書いた「ミョウガタケ」とはずいぶん違うから、「ほんの少しの塩だけで・・・・」なんてことは言ってられない味だ。
とは言え、私は葉っぱをおひたしにする。うちのカミさんはどうも好きではないらしく、子どもが好む味でもないので、私は個人的に、柔らかそうな葉っぱを選んで摘んで、軽く塩ゆでして冷水にさらして、ポン酢を少々かけて食す。ただ塩ゆでしただけのものは苦味・エグ味が強いが、不思議とポン酢と合わせると、「ん、まぁこれはこれなりのもの」になる。ちなみに葉に付いたケバケバも気にならない。食べる葉っぱは5〜6枚。たくさんは食べられない。手軽に出来るし、ちょっとした突き出しには十分になる。
ユキノシタは、冬も枯れずにその葉もいくらか残っている。でも、そのチャーミングな花との再会がキッカケで葉っぱをゆがき、ひとりで食べる。1年に1度だけの逢い引きのようなものかも、とふと思った。来年はカミさんに内緒で食べよっおっーと。
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