2019年5月31日金曜日

初めての、小梅の梅干し



一週間ほど前、群馬の農cafeさんの梅林へ行って、梅干しの梅をもいできた。もう20年、毎年梅干しを仕込んでいるが、小梅を使うのは今回が初めて。もいだ品種は、「甲州小梅」。農cafeさんは、2種類の小梅を育てていて、もうひとつは、「織姫」。「甲州小梅」より一回り大きい。ただし、より小さい「甲州小梅」の方が果実が肉厚。「織姫」の方が種が大きいとも言える。どっちももちろん、無農薬。

下の写真は、甲州小梅を収穫中の私と農cafeの岩田さん(右)。小梅を使うのは初めてと書いたが、梅もぎするのも初めて。脚立にのって、枝をたぐり寄せながら摘んでいく。脚立の移動はいちいち下りなきゃならないから面倒だが、だからといってあんまり欲張って一所で頑張るのも危ない。木になってる果実をもいでいると、本能が刺激されてか、夢中になってしまい、多少遠い枝の小梅も勢いで取ろうと思ってしまう。それにしても、天気もよくて気持ちのいい収穫だった。無農薬だからなおさら。


さて、冒頭の写真が今回収穫した甲州小梅だが、まだ青く、熟していない。普通サイズの梅の場合、梅酒に青い梅ということはあっても、梅干し用には多少なりとも熟した梅がいいとされる。でも、岩田さん曰く、「小梅は皮が破けやすいので、このぐらい青いうちに漬けるのがいい」とのアドバイス。追熟も脳裏をかすめたものの、小梅初心者の私はそのまま従った。このぐらいの青さだと、漬けて最初の2〜3ヶ月、果肉はカリカリらしい。それ以降はネットリになっていくとのこと。普通サイズよりも少し少なめ(15%)の「カンホアの塩」で漬けて、2日後には、梅酢が上がってきた。

ところで、私が今年初めて小梅で梅干し仕込むのには理由がある。来年から、我が娘は高校生の予定で、毎日弁当を持っていくことになるだろうという予想の下、主に弁当を用意することになるであろうカミさんから「今年は小梅で」とのリクエストがあった。群馬の農cafeから帰宅後、娘と二人で収穫した甲州小梅のヘタ取りをした。農cafe岩田さんは、「ヘタは取らなくても大丈夫。梅酢に浸かる頃には自然と離れるから、そのとき漉せば簡単よ」と言われていたが、選別を兼ねてのヘタ取り作業を一緒にやりながら、彼女の話を聞くのは楽しみなので、やりました。小梅は小さい分、ブルーベリーのように収穫(梅もぎ)作業もより手間がかかるが、それはヘタ取りも同様。普通サイズの同じ重さの梅のおそらく3倍ぐらいの数になる。おかげで今年はたっぷりと彼女の愚痴を聞くことが出来た。彼女と一緒にこのヘタ取り作業をして数年経つが、あと何回出来るだろうか。一緒にやらなく、やれなくなったら、岩田さんの言うようにヘタ取りしないで漬けることとしよう。

ところで、小梅のメリットは、弁当に添えるのにちょうどいいサイズというだけではない。小梅は南高梅や白加賀など普通サイズの梅よりも収穫のタイミングが2〜3週間早いので、土用干しも早めに出来ることだ。

私が「カンホアの塩」のwebサイト上で載せてる梅干しレシピにも書いてるが、この数年、梅雨明けが滅法早い。去年(2018年)なんかは、記録的早さで、関東甲信地方は6月29日だった。早いだけならまだしも、いざ7月末から8月初めの土用の頃になると、朝は晴れてても昼頃雲行きが怪しくなる日が多く、土用干しがしにくい。それがこの数年の傾向のように思っている。気象庁発表の過去の梅雨明けの日のデータを見ると、「少し早まっている」程度なのだが、梅干しの天日干しを前提にした私の感覚では、7月の初旬には(土用前の)土用干しをスタンバっていたい。それには、収穫時期の早い小梅は好都合だ。去年までは、九州のサムライ菊の助さんから無農薬の普通サイズの梅を送ってもらっていたが、それも、関東より九州の方が収穫時期が早いということがある。

梅の熟度、数的手間など、小梅ならではのことがあるが、もうひとつ、土用干し(天日干し)の度合いについて。「小梅は普通サイズの梅のように3日も干さない方がいい」という農cafe岩田さんのアドバイスがあった。3日も干すと梅干しの水分が極端に少なくなってカラカラになってしまうということだ。考えてみると、小粒の方が、梅の総表面積は広くなるだろうから、乾燥も早いはずだ。なるほど。1〜2日でよさそうだ。

現在、瓶の中の小梅は、梅酢がしっかり上がった状態になっている。1〜2週間のうちに、赤ジソを加えての本漬け。その2〜3週間後の7月初旬には、いつ梅雨明けしてもいい状態にしたい。

関連エントリ:
小梅の赤梅酢が足りな〜い(2019年6月14日)

2019年5月14日火曜日

駅の「カッコウ」

先週末、東京・立川からモノレールに乗ろうと、プラットホームで待っていると、「カッコー、カッコー」と聞こえてきた。最近は、極たまにだけど、カッコウの声を自宅(立川の隣の昭島)で聞くことがあってビックリしたことがあったが、そのプラットホームのカッコウは無論、録音だ。

以前春に、東京のどこかの駅で、ウグイスのさえずりが聞こえてきて、「えっ、こんなところで」と、一瞬だまされたことがあったが、同じ鳴き方が続くので、すぐに録音と分かった。

こーゆーの、どーなんだろー。

プラットホームで録音のさえずりが聞こえてくると、いつも思っていた。せっかくの鳥のさえずりだが、同じ鳴き方が続くと余計に無機質に感じてしまい、「こんなBGM、ない方がいいのじゃないか」と不快にさえ思えてきた。

で、話を先週末の立川に戻す。

たまたまその「カッコウ」の音源の方に視線を移したとき、「あれっ」と思った。それが冒頭の写真だ。「↑エレベーター」、「↓出口」の看板の上に、長方形の白い箱がある。六角形に穴が開いたスピーカーの左には、ブルーの視覚障害者のマーク。(写真をクリックすると、拡大されます)

「あっ、そーいうことだったのか」

この看板の下は、ちょうど出口へ下りてく階段が始まるところだ。この「カッコウ」は、私なんかのために流されているんじゃなくて、視覚障害者の人たちのために、「ここから下がる階段が始まりますよ」という合図だったのだ。そう思うと、「カッコウ(郭公)」が、「滑降」のシャレにも思えてきて、ひとりほくそ笑んだ。

もうこれからは、駅の「カッコウ」を、不快に思うことはない。

2019年5月9日木曜日

タコ焼きプレートのお好みアヒージョ


上の写真。よくあるタコ焼きプレートの穴に、いろんな食材が入っている。

先のゴールデン・ウィークに、我が家でパーティした。最初はタコ焼きパーティのつもりだった。大人数人に子供も数人いたので、腹を空かせた子供たちに、まずはタコ焼きを焼きまくる。もちろん、子供たち自身でも焼く。その間、最初からサーブされた鰹のたたきやサラダを皆で食べる。子供らがタコ焼きでお腹一杯になった後、上の写真のように、タコ焼きに替わって、いろんな食材を穴に入れる。基本は、アヒージョ。オリーブオイルとニンニクのスライスで煮る。

通常、アヒージョは、耐熱陶器や小さなフライパンを使うが、それをタコ焼きプレートの小さな穴にして、多くの種類の食材をちょこちょこ食べるのはいいんじゃねぇ〜かという狙い。「タコ焼きだけじゃ、酒飲みにはつまらないな」と思って浮かんだアイデアだった。何となく、この一口サイズ単位のチマチマしたところが、にぎり寿司っぽいというか、箱庭っぽいというか・・・・で、いいと思いませんか? ホットプレートだと、直火より温度管理が簡単というメリットもある。

タコ焼きでお腹一杯になった子供たちは、子供たち同士で遊び始め、大人たちは好みの食材をちょこちょことアヒージョしながら酒を飲む。そこにときどき、子供たちがつまみに来る。そして、最後に、残しておいたタコ焼きの材料で、大人は締めのタコ焼きを食らう。つまり、タコ焼き→アヒージョ→タコ焼き。というのがこないだのパーティだった。だったが、アヒージョしたオイルもおいしいから、締めにタコ焼きなんてことしないで、パンにオイルを吸わせて食べてもいいだろう。そっちの方がアヒージョらしい。

あとは、アヒージョする食材だ。写真では、サイコロに切った牛肩ロース、鶏モモ肉、ツブ貝、エビ、エリンギ、舞茸、ズッキーニ。レモンを添えて。ツブ貝は冬のイメージだが、とてもうまかった。この後終盤戦には、オイル&ニンニクなしで、カマンベールチーズをトロトロにしてみたが、これもいけた。

たいした注意点もなく、だいたいうまくいくが、強いて言えば、ニンニクのスライスは一回ずつ取り出すこと。ついアヒージョされた食材だけを食べてしまうが、オイルにニンニクを残したまま次の食材を入れると、そのうちニンニクが焦げて香ばしい以上になってしまう。また、タコ焼きはプレートを熱くしてから生地を入れるが、アヒージョの場合、温度をあまり上げずにゆっくりと加熱し、加熱し過ぎないこともおいしく食べるコツだ。

タコ焼きプレートでタコ焼き焼くのは当たり前なので、ついついアヒージョを強調したが、よーく考えてみたら、タコ焼き焼きながらアヒージョするっていうハイブリッドな手もあるな。例えば、冒頭の写真のタコ焼きプレートの穴は30個。10個の穴でタコ焼き焼いて、20個の穴でアヒージョするってとかね。

30年ぐらい前、「関西では、各家庭にタコ焼きプレート(主に鋳物のやつ)がある」と関西の知人から聞いたとき、東京人の私はビックリしたが、大阪の人に「タコ焼きプレートのお好みアヒージョ」なんて話をしたら、怒られるだろうか?