2007年8月30日木曜日
胎盤の味
先日、息子が産まれた。自宅出産。いわゆる出産予定日というやつの8日後だった。「予定日の1週間前後には生まれるだろう」との予測のもと、出張を予定日の1週間後から組んでいたため、残念ながら今回私は出産に立ち会えなかった。母子ともに無事の出産からちょうど1週間後、赤ちゃんとの初対面を楽しみに出張から帰った私を、意外にも待っていたものがあった。
冷凍保存された胎盤。昔から「身体にいい」とか「おいしい」とか聞いたことがあったが、出産に立ち会ってくれたカミさんの姉が「はい」とテーブルの上にワサビ醤油とともに出してくれた赤いモノを見ると、何とも特別で不思議な感じ。猛暑の最中だったし、量も10g程度だったので、すぐに自然解凍されたものだった。
ペロリ。
香りはない。食感は柔らかめの赤貝と言うか生のレバーのちょっと固めと言うか。味はいたって淡泊でワサビ醤油の味が勝ってる。「肉っぽさ」はまるでない。淡泊でもヒラメのようなうま味や赤貝のようなクセがあるわけでもない。何とも例えようがないんである。ただただ特別な緊張感があって、その微妙な味が分からなかっただけなのかも知れない。
胎盤を食う。それに対する反応は人さまざまである。「涙が止まらない」「絶対に出来ない」という人もいれば、「あれはうまいね〜」、また縁起物のように「食うと風邪ひかないんだ」と言う人まで。私は、涙も出なければ抵抗感もほとんどなかったけど、「うまい」とも思わなかった。でも、その独特の緊張感や地球の外から来たものを食べているような説明できない特別な感覚を味わった。今思い返しても、その味がしなかったのか、感じられなかったのか分からない。
さてさて、生まれたての赤ちゃんは特別だ。抱いていて、この子の全てが正しいと感じる。胎盤を食うことなんか「何のこと?」って思ってんだろうな。
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