豆腐の【味噌漬け】と【塩粕漬け】
きょうは何ともマニアックな話題。まぁ、だいたいいつもマニアックか。さて、豆腐の漬物・・・・【味噌漬け】と【塩粕漬け】をよーく比べてみた、そのレポートだ。「おいしさ」という至って主観的なことを、あえて取り上げてみた。
4月16日付けの当ブログで、「塩粕」というタイトルで書いたとき、豆腐の【塩粕漬け】についてこう書いた。
「物足りない」と感想をしている。そしてその理由を、「味噌漬けに慣れているせい」と思った。ただ、その豆腐の【塩粕漬け】は、実際に【味噌漬け】と並べて比較した訳ではなく、あくまで私の中の想像だった。どーも漠然としたひっかかりが心の中に残っていたので、「よーし、この2つを目の前に並べて味を比べてみるぞー」と思い立ち、やってみた。そしたら思った以上におもしろかったので、それを報告してみようと思う。
・・・・ということで、上の写真。左側が【塩粕漬け】、右側が【味噌漬け】。見た目はほとんど同じだが、若干左の【塩粕漬け】の方が茶色が濃い。味噌は麹が6〜7割ほどの甘めの白味噌系。もちろん両者同じ豆腐。水切りしやすく漬かりやすいように、今回は豆腐を平べったく半分に切った。しっかり水切りした豆腐をサラシに包み、その周りに塩粕と味噌をそれぞれ塗りたくった後、ラップに包んで冷蔵庫で1週間。それを開いたのが写真の状態だ。サラシの上にスライスした豆腐を各々のせている。
【味噌漬け】は何度も食べているので、まずはそれを再確認。
ん〜、おいしい〜。舌の上にのせた瞬間、口の中にうま味と麹の柔らかな甘みが広がる。うま味が強いところは2年以上熟成されたチーズのようでもある。酒が欲しくなるが、しっかり酸ののきいた力強い日本酒かワインならタンニンがしっかりした赤もいけそうな感じ。濃厚な味わいなので、キレイな感じの酒では負けてしまうだろう。
次に、【塩粕漬け】。
口に入れた瞬間、【味噌漬け】のように「口の中にうま味が広がる」ということはない。味というより、むしろ酒粕の香りを感じる。それで「あ〜、酒粕だ〜」と思っていると、ジワジワと塩気とうま味を感じ始める。最初から一気に来た【味噌漬け】とは違い、右肩上がりのグラフのように徐々に徐々に味が舌の上に広がっていく。【味噌漬け】を食べた後ということも手伝って、甘みは少なく感じるが、ゆっくりと広がっていくおいしさの変化のような世界がある。「これでどうなるんだろう?」と思いつつ、口の中で豆腐がすべて溶け終わると、ほのかに豆腐の甘さがやってきた。おいしい。味の余韻も【塩粕漬け】の方がスッキリ、酒で言えば、キレがある。
【味噌漬け】は、最初からドーンと来るうま味。濃厚さコクではコッチだ。口に入れたときのインパクトにパンチがある。一方、【塩粕漬け】の最初は、何気な酒粕の香り。そして少しずつ熟成された酒粕の味がやってくる。そしてそして何と言ってもその余韻がいい。味噌に比べ甘さが少ない分、キレがはっきりしていて、「塩粕が去ったかな〜」と感じ始めると同時に、豆腐が持つ大豆の淡い甘みがフィナーレを飾ってくれる。
こうして改めてじっくり食べてみると、以前とは明らかに印象が違ってきた。私が以前、【塩粕漬け】の方を「物足りない」と思ったのは私が安直だっただけかも知れない。例えばその余韻まで感じる余裕が心になかった。と言っても、【味噌漬け】の方だって、これはこれでおいしい。口の中に入れた瞬間に感じさせてくれるおいしさとしては、【味噌漬け】の方が分かりやすい。でも、漬かった豆腐を口の中で溶かしながら、時間の経過とともに感じる味としては、【塩粕漬け】の方が楽しませてくれる。そして余韻の中で、豆腐の味を思い起こさせてくれるところは、【塩粕漬け】の方の特徴のように思う。そう思うと、【味噌漬け】はパンチが強い分、淡い味が隠れがちになるのかも知れない。
「人は見かけによらない」とはよく言うが、ものの味も口に入れた瞬間だけで判断するのは、もったいない。「吟味」とは必ず時間を含むものだ、と改めて心に刻んだ。
それにしても、今回の味見は、仕事場でやった。つまり酒なしだった。自宅でやってると何かとせわしく、子供も黙ってないし、なかなか落ち着かないのだ。子供が元気なのは何よりいいことだが、今夜は子供が寝静まってもちょっと頑張って起きてて、残った2つの漬物をアテに、チビチビやろおっーと。
4月16日付けの当ブログで、「塩粕」というタイトルで書いたとき、豆腐の【塩粕漬け】についてこう書いた。
まずは、豆腐の味噌漬け風に、絞った豆腐を「塩粕」に漬けてみる。・・・・正直、やや物足りない。たぶん味噌漬けに慣れてるせいだと思う。豆腐の味噌漬けに使う味噌は、糀が多めの味噌が好き。糀の甘さやうま味がしっかりあるからだ。それに比べ、「塩粕」はその甘さ・うま味が少ない分サッパリしている。
「物足りない」と感想をしている。そしてその理由を、「味噌漬けに慣れているせい」と思った。ただ、その豆腐の【塩粕漬け】は、実際に【味噌漬け】と並べて比較した訳ではなく、あくまで私の中の想像だった。どーも漠然としたひっかかりが心の中に残っていたので、「よーし、この2つを目の前に並べて味を比べてみるぞー」と思い立ち、やってみた。そしたら思った以上におもしろかったので、それを報告してみようと思う。
・・・・ということで、上の写真。左側が【塩粕漬け】、右側が【味噌漬け】。見た目はほとんど同じだが、若干左の【塩粕漬け】の方が茶色が濃い。味噌は麹が6〜7割ほどの甘めの白味噌系。もちろん両者同じ豆腐。水切りしやすく漬かりやすいように、今回は豆腐を平べったく半分に切った。しっかり水切りした豆腐をサラシに包み、その周りに塩粕と味噌をそれぞれ塗りたくった後、ラップに包んで冷蔵庫で1週間。それを開いたのが写真の状態だ。サラシの上にスライスした豆腐を各々のせている。
【味噌漬け】は何度も食べているので、まずはそれを再確認。
ん〜、おいしい〜。舌の上にのせた瞬間、口の中にうま味と麹の柔らかな甘みが広がる。うま味が強いところは2年以上熟成されたチーズのようでもある。酒が欲しくなるが、しっかり酸ののきいた力強い日本酒かワインならタンニンがしっかりした赤もいけそうな感じ。濃厚な味わいなので、キレイな感じの酒では負けてしまうだろう。
次に、【塩粕漬け】。
口に入れた瞬間、【味噌漬け】のように「口の中にうま味が広がる」ということはない。味というより、むしろ酒粕の香りを感じる。それで「あ〜、酒粕だ〜」と思っていると、ジワジワと塩気とうま味を感じ始める。最初から一気に来た【味噌漬け】とは違い、右肩上がりのグラフのように徐々に徐々に味が舌の上に広がっていく。【味噌漬け】を食べた後ということも手伝って、甘みは少なく感じるが、ゆっくりと広がっていくおいしさの変化のような世界がある。「これでどうなるんだろう?」と思いつつ、口の中で豆腐がすべて溶け終わると、ほのかに豆腐の甘さがやってきた。おいしい。味の余韻も【塩粕漬け】の方がスッキリ、酒で言えば、キレがある。
【味噌漬け】は、最初からドーンと来るうま味。濃厚さコクではコッチだ。口に入れたときのインパクトにパンチがある。一方、【塩粕漬け】の最初は、何気な酒粕の香り。そして少しずつ熟成された酒粕の味がやってくる。そしてそして何と言ってもその余韻がいい。味噌に比べ甘さが少ない分、キレがはっきりしていて、「塩粕が去ったかな〜」と感じ始めると同時に、豆腐が持つ大豆の淡い甘みがフィナーレを飾ってくれる。
こうして改めてじっくり食べてみると、以前とは明らかに印象が違ってきた。私が以前、【塩粕漬け】の方を「物足りない」と思ったのは私が安直だっただけかも知れない。例えばその余韻まで感じる余裕が心になかった。と言っても、【味噌漬け】の方だって、これはこれでおいしい。口の中に入れた瞬間に感じさせてくれるおいしさとしては、【味噌漬け】の方が分かりやすい。でも、漬かった豆腐を口の中で溶かしながら、時間の経過とともに感じる味としては、【塩粕漬け】の方が楽しませてくれる。そして余韻の中で、豆腐の味を思い起こさせてくれるところは、【塩粕漬け】の方の特徴のように思う。そう思うと、【味噌漬け】はパンチが強い分、淡い味が隠れがちになるのかも知れない。
「人は見かけによらない」とはよく言うが、ものの味も口に入れた瞬間だけで判断するのは、もったいない。「吟味」とは必ず時間を含むものだ、と改めて心に刻んだ。
それにしても、今回の味見は、仕事場でやった。つまり酒なしだった。自宅でやってると何かとせわしく、子供も黙ってないし、なかなか落ち着かないのだ。子供が元気なのは何よりいいことだが、今夜は子供が寝静まってもちょっと頑張って起きてて、残った2つの漬物をアテに、チビチビやろおっーと。
ラベル: 食のこと