グルジアは旧ソ連から独立した国だが、その後、ロシアと武力衝突があった。「グルジア」という呼び名は、ロシア語由来で、現地語での呼び名は「サカルトベロ」というらしい。国際会議などでは、英語読みの「ジョージア」と呼ばれることが多いということで、日本政府としては、「ジョージア」にした、ということだ。この経緯を知ってからは、単に「響きが」とは思わなくなった。「サカルトベロ」が一番通な呼び名か。
さて、そのジョージアへ、今年の秋だか冬だかに、うちのカミさんがグループツアー旅行に行くらしい。「ジョージアと言えば、ワイン」との連想の元に、カミさんにきいてみると、当然のようにワイナリーにも行くらしい。ジョージアは、ワイン発祥の地と言われている。
私は、数年前にこのブログでも書いたが、ロシア料理レストラン(新宿・スンガリー)で、グルジアのワインをグラスで一杯だけ飲んだことがある。その遠い記憶での印象は、素朴な味わいだった。「素朴」。あまりにぼんやりした記憶だったので、今度はちゃんと一本入手して飲んでみようと思った。
早速、近所のワイン店(立川・おぎの)へ行って、きいてみた。「ジョージアのワインありますか?」。すると、店主はニヤッとして、「前のグルジアでしょ。ありますよ」。店主は、かなりのワイン通で、フランスやイタリアなどのワインは、等高線が細かく入った地図でブドウ畑の場所の説明からその年の天候の説明までしてくれるのだが、行ったことがないジョージアのワインについては、また別アングルの説明。
「まー、ジョージアはワイン発祥の地と言われていますけどね・・・・(得意分野ではないらしい)。ただ、作り方が昔ながらの手法が残っていて、それがおもしろい。今でも(ラベルにあるような)壺に入れて仕込んでます。そして、この通称オレンジワインと呼ばれる白ワイン。通常、白ワインは、(皮や種を除いた)果汁のみのジュースから作られるんだけど、これは、(赤ワインのように)皮・種ごと仕込んでます。だから、通常の白ワインにはない色(黄みがかった皮の色)と味(種のタンニンの味)があるんですよ。最近はイタリアあたりでも、こうしたオレンジワインを復活させてる作り手も現れてるんですよ」
「へぇ〜、さすがおぎのさん。これ飲んでみます」
と、白(オレンジ)を1本買った。そのラベルが冒頭の写真。壺のイラストがありますね。そして、下がコップに注いだオレンジワインとボトルの裏面の表示。オレンジというか、黄金色のようにも見える。
まずは一口、口に含むと、意外な感じ。おぎのさんの言うとおり、タンニンをしっかり感じるのだ。今まであんまり考えたことがなかったが、タンニンが効いた白ワインってのは飲んだことがなかった。皮の成分も手伝ってか、味全体にボリュームを感じる。洗練された感じはないものの、複雑さも感じる素朴な感じ。「へえー、へえー」とその珍しさを確かめるように次々飲んでたら、残りほんのちょっとのところでシャッターを切ったのが上の写真。
思えば、現代のほとんどの白ワインは、なぜ皮・種を除去して、赤ワインはしないのだろう? それに慣らされている私は、「そういうものだ」と勝手に思い込んでいた。それには必ず何か理由があるハズだ。その土地の食べ物との関係もありつつ、ジョージアでは当然のように引き継がれている製法の理由があるんじゃないかと思えてきた。半年先ながら、カミさんの土産話が楽しみだ。