2008年12月8日月曜日
傷は消毒しない 〜 続編
12月1日付けで「傷は消毒しない」というのを書いた。そしたら、何人もの人からメールやコメントをもらった。その方々の反応は、「いざとなって、消毒しないなんてできやしない」というのが大方で、「私も消毒しない」は少数派。また「私の治療法は、○○すること」など秘技を教えてくれた方もいた。こうなってくると、ぼくは医者ではないから、ちゃんと返信は出来ないが、先日の新聞記事の引用だけでなく、せめて「全文を載せなきゃ」と思いました。左がその新聞記事の全文です(2005年7月31日付け東京新聞から)。読むときはクリックしてください。
私の場合「消毒」がキッカケで化膿が一気に進んだが、3年前の新聞記事そしてその担当の外科医は「湿潤治療」というのをすすめている。それは「消毒しない」ことと並んで「傷を湿潤に保つ」ことが骨子だ。
ついでに、私の経験も少しつけ足します。
その外科で治療に使われたのは、「プラスモイスト」(瑞光メディカル社)という傷に接する面が特殊で乾かないようになっているシート状のもの。A4サイズぐらいで、適当な大きさにハサミで切って使う。一見特別なものには見えない。また、その病院(昭島病院)の売店(薬局ではありません)ではこの「プラスモイスト」を1枚ずつバラ売りしていて、私は1枚を¥1000(1袋ではない)で買い、しばらくは自宅で張り替えて使っていた。売店で売ってるぐらいだからそれ程難しいものではない。でも、そんじょそこらで売ってるものでもない。詳しくは、こちらをどうぞ。また、この新聞記事にもあるとおり、ジョンソン・エンド・ジョンソン社からキズパワーパッドというのも出ていて、こっちの方がポピュラーらしいのだが、担当の外科医は「プラスモイスト」をすすめた。理由をたずねると、「こっち(プラスモイスト)の方が断然安い」とのこと。まぁ、ちょっとした傷なら、A4サイズが1枚もあれば、相当使える。私の場合、4分の1を使った後、治った。問題は、その治り具合だが、私の場合、化膿した部分を切除したので、最初は浅い穴が開いてた状態だった。手術後1週間ぐらいで下の肉が盛り上がり、さらにその3日後には完治した。やはり治りは早かったのではないかと思っている。
2008年12月1日月曜日
傷は消毒しない
きょうは、食べ物の話ではない。
実は先日、あと一歩で危うく歩けなくなりそうになった。そしてそのときの教訓が何と「傷は消毒しない」。これを読んでくれた方も、もしかしたら役に立つかも知れない、いやきっと役に立つに違いないと思い書きつづります。
ちょうど1ヶ月ほど前のこと。私の左足のクルブシ辺りにできてた、いわゆる「座りダコ」が痛くなった。正確には、座りダコの下の皮膚の辺り。最初は「座りにくいなぁ〜」程度で1週間ほど過ごした。そしてそれとは別に、次の週末に私は家族で温泉へ行こうと宿の予約などをすでに済ませていた。なかなか痛みがひかなかったものの、温泉行くのに下手に切られでもしたら楽しくなくなるだろうなと思い、そのままさらに放っておいた。そして出発3日前(水曜日)になって「まぁ何もしないよりはいいだろう」と、薬箱の隅にあった消毒薬(マキロン)とヨードチンキでその座りダコ辺りを丁寧に消毒した。
すると次の日(木曜日)の朝、私の左足は象の足のようにパンパンに大きく腫れ上がってしまったのだ。痛みも前日の比ではなくじっとしていても辛い。「こりゃ〜、もー放っておけない」と思いながらもその日は仕事で病院に行けず、次の日(金曜日)の朝、何とか近くの大きな病院に駆け込んだ。診断を終えた外科の先生いわく、「座りダコが下の皮膚を徐々に押して傷をつけたようです。そこからバイ菌が入って化膿したのが最初で、その後消毒したことでその化膿が助長されたようです。このクルブシの辺りは皮の下がすぐ骨で肉がほとんどない。骨は骨膜というもので覆われていますが、あと一歩でそれに到達していたところでした。そうなってたら、歩けなくなるので即入院でリハビリでしょう。すぐに手術しましょう」とのこと。私は有無を言うことなく手術台に横になった。しかし、「消毒したことでその化膿が助長された」という言葉が気になって、先生に改めてたずねた。すると「傷は消毒するということが一般的ではありますが、実は逆効果なんです」「声の大きい医者(その先生の言葉をそのまま引用)は、そうはなかなか言いませんが、我々臨床の者の間ではそうなんです」。「声の大きい医者」とは学会などで偉い医者のようだ。
私は、その答えを聞いて、ハッとした。3年以上も前に読んだ新聞の記事を思い出したのである。その切り抜きは自宅のファイルに保存してあった。(2005年7月31日付け東京新聞)内容としてはだいたい以下のとおり。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
傷・ラップあてるだけ?
消毒液もガーゼもいらない「湿潤治療」
「自然治癒力に任せる」万能ではないけれど
「消毒液は細菌(細胞)を殺す毒で、それは人間の細胞も殺してしまう。そのため、消毒するとかえって傷が治りにくくなる。ケガをした後の傷からは、傷を治すために必要な成分が含まれた浸出液が出る。そこにガーゼをあてると、治癒に必要な成分が吸収され、傷が乾燥してしまう。湿潤治療の本質は、傷面を湿潤に保つこと」
「出血している場合は、傷口を直接押さえて圧迫止血する。傷周囲の汚れは水道水で湿らせたガーゼなどで払い落とす。傷口に砂や泥が入っていたら、水道水できれいに洗う。ラップを傷にあてる。このとき、ラップにワセリンを塗ってからあてたほうが、痛みがすぐなくなる。ラップの周囲をばんそうこうで固定する。暑い時期には一日に二回以上取り換え、その際は傷周囲の皮膚をよく洗って、あせもの発生を防ぐ」
「これで、早くきれいに痛くなく治せる。病院に行くより数段早い」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
消毒しちゃいけないのだ。それは治癒に必要なその浸出液の細胞をも殺してしまう。私の場合、消毒がキッカケになり、悪い菌が一気に繁殖してしまい、一夜にして象の足になってしまった。またこの「湿潤治療」というのも気になる。wikipediaにもありました。ご興味のある方は、コチラ
さて、座りダコと化膿した箇所の摘出手術が始まった。「この『臭い』からすると、飲み薬では追いつかない。きょうから3日間は毎日抗生物質の点滴が必要ですね。本当に危なかったですよ」。そして私は温泉出発の直前と帰宅直後に点滴。(それが冒頭の写真)もちろん温泉では、左足にビニール袋。輪ゴムでとめて。湯船に浸かれただけでもメッケもの。「紅葉狩り」なんて悠長なことはあり得ない。しかし「入院・リハビリ」の言葉は重く、自然と「不幸中の幸い」という感覚が私の心を占めた。
それにしても、新聞の切り抜きまでしておきながら、いざとなると丁寧に消毒していた。こんなもんかと思う。また、あと数日早く病院に行ってれば、手術なんかしなくて済んだ。いろいろあるが、「傷は消毒しない」と心に刻まれた。ちょっとした傷で命に関わることは少なかろう。でも、傷なんてものは誰でも日常茶飯事。進行して重くならないよう、また早くきれいに治るようにするためには「消毒しちゃいけない」のです。にわかに信じられない方も多いだろうが、身をもって経験してしまった私としては、心にとめておいた方がいいと思う。
最後に、その新聞記事の最後の注釈を以下に記します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・人間や動物にかまれた傷
・骨折や神経損傷などが疑わしい傷
・骨や腱のような組織が露出している傷
・すでに化膿している傷
・木くずなど異物が傷の中に残っている場合
・さらに傷口がバックリと開いている場合など
・素人が見ても『これは大変』と直感するようなケガの場合
・乳幼児の場合など
以上のような場合は、病院で受診したほうが良いでしょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
安易な消毒には、くれぐれもご用心。
実は先日、あと一歩で危うく歩けなくなりそうになった。そしてそのときの教訓が何と「傷は消毒しない」。これを読んでくれた方も、もしかしたら役に立つかも知れない、いやきっと役に立つに違いないと思い書きつづります。
ちょうど1ヶ月ほど前のこと。私の左足のクルブシ辺りにできてた、いわゆる「座りダコ」が痛くなった。正確には、座りダコの下の皮膚の辺り。最初は「座りにくいなぁ〜」程度で1週間ほど過ごした。そしてそれとは別に、次の週末に私は家族で温泉へ行こうと宿の予約などをすでに済ませていた。なかなか痛みがひかなかったものの、温泉行くのに下手に切られでもしたら楽しくなくなるだろうなと思い、そのままさらに放っておいた。そして出発3日前(水曜日)になって「まぁ何もしないよりはいいだろう」と、薬箱の隅にあった消毒薬(マキロン)とヨードチンキでその座りダコ辺りを丁寧に消毒した。
すると次の日(木曜日)の朝、私の左足は象の足のようにパンパンに大きく腫れ上がってしまったのだ。痛みも前日の比ではなくじっとしていても辛い。「こりゃ〜、もー放っておけない」と思いながらもその日は仕事で病院に行けず、次の日(金曜日)の朝、何とか近くの大きな病院に駆け込んだ。診断を終えた外科の先生いわく、「座りダコが下の皮膚を徐々に押して傷をつけたようです。そこからバイ菌が入って化膿したのが最初で、その後消毒したことでその化膿が助長されたようです。このクルブシの辺りは皮の下がすぐ骨で肉がほとんどない。骨は骨膜というもので覆われていますが、あと一歩でそれに到達していたところでした。そうなってたら、歩けなくなるので即入院でリハビリでしょう。すぐに手術しましょう」とのこと。私は有無を言うことなく手術台に横になった。しかし、「消毒したことでその化膿が助長された」という言葉が気になって、先生に改めてたずねた。すると「傷は消毒するということが一般的ではありますが、実は逆効果なんです」「声の大きい医者(その先生の言葉をそのまま引用)は、そうはなかなか言いませんが、我々臨床の者の間ではそうなんです」。「声の大きい医者」とは学会などで偉い医者のようだ。
私は、その答えを聞いて、ハッとした。3年以上も前に読んだ新聞の記事を思い出したのである。その切り抜きは自宅のファイルに保存してあった。(2005年7月31日付け東京新聞)内容としてはだいたい以下のとおり。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
傷・ラップあてるだけ?
消毒液もガーゼもいらない「湿潤治療」
「自然治癒力に任せる」万能ではないけれど
「消毒液は細菌(細胞)を殺す毒で、それは人間の細胞も殺してしまう。そのため、消毒するとかえって傷が治りにくくなる。ケガをした後の傷からは、傷を治すために必要な成分が含まれた浸出液が出る。そこにガーゼをあてると、治癒に必要な成分が吸収され、傷が乾燥してしまう。湿潤治療の本質は、傷面を湿潤に保つこと」
「出血している場合は、傷口を直接押さえて圧迫止血する。傷周囲の汚れは水道水で湿らせたガーゼなどで払い落とす。傷口に砂や泥が入っていたら、水道水できれいに洗う。ラップを傷にあてる。このとき、ラップにワセリンを塗ってからあてたほうが、痛みがすぐなくなる。ラップの周囲をばんそうこうで固定する。暑い時期には一日に二回以上取り換え、その際は傷周囲の皮膚をよく洗って、あせもの発生を防ぐ」
「これで、早くきれいに痛くなく治せる。病院に行くより数段早い」
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消毒しちゃいけないのだ。それは治癒に必要なその浸出液の細胞をも殺してしまう。私の場合、消毒がキッカケになり、悪い菌が一気に繁殖してしまい、一夜にして象の足になってしまった。またこの「湿潤治療」というのも気になる。wikipediaにもありました。ご興味のある方は、コチラ
さて、座りダコと化膿した箇所の摘出手術が始まった。「この『臭い』からすると、飲み薬では追いつかない。きょうから3日間は毎日抗生物質の点滴が必要ですね。本当に危なかったですよ」。そして私は温泉出発の直前と帰宅直後に点滴。(それが冒頭の写真)もちろん温泉では、左足にビニール袋。輪ゴムでとめて。湯船に浸かれただけでもメッケもの。「紅葉狩り」なんて悠長なことはあり得ない。しかし「入院・リハビリ」の言葉は重く、自然と「不幸中の幸い」という感覚が私の心を占めた。
それにしても、新聞の切り抜きまでしておきながら、いざとなると丁寧に消毒していた。こんなもんかと思う。また、あと数日早く病院に行ってれば、手術なんかしなくて済んだ。いろいろあるが、「傷は消毒しない」と心に刻まれた。ちょっとした傷で命に関わることは少なかろう。でも、傷なんてものは誰でも日常茶飯事。進行して重くならないよう、また早くきれいに治るようにするためには「消毒しちゃいけない」のです。にわかに信じられない方も多いだろうが、身をもって経験してしまった私としては、心にとめておいた方がいいと思う。
最後に、その新聞記事の最後の注釈を以下に記します。
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・人間や動物にかまれた傷
・骨折や神経損傷などが疑わしい傷
・骨や腱のような組織が露出している傷
・すでに化膿している傷
・木くずなど異物が傷の中に残っている場合
・さらに傷口がバックリと開いている場合など
・素人が見ても『これは大変』と直感するようなケガの場合
・乳幼児の場合など
以上のような場合は、病院で受診したほうが良いでしょう。
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安易な消毒には、くれぐれもご用心。
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