2020年2月19日水曜日

ベトナムの田舎の普通のカフェ


ベトナムにはカフェがたくさんある。今や大きな町には、スターバックスもあるし、スターバックスのような店も、日本のようにたくさんある。数年前には、ホーチミンに、スペシャルティコーヒーを出すカフェも登場した。しかし、ベトナム独特の文化とも言える、「ベトナムのカフェ」は、そういうものじゃない。

私がベトナムに通い始めた22年前は、大きな町でも、道端に小さな椅子とテーブルが並んだ屋台のカフェがたくさんあったし、露天でなくても、こじんまりした小さなカフェがたくさんあった。ベトナムは暑いから、町中の(路上でない)お店のカフェでも、入口にはドアも壁もなく、とても開放的。だから、カフェの前を通り過ぎる人々を眺めながらコーヒーをすするなんてこともよくあった。仕事の途中のちょっとした時間に一人で、カフェでぼおーっとして、気分転換をはかる。そんな気軽な存在のカフェが、ベトナムのカフェ文化だと私は思っている。そんなカフェは、店先を無数のオートバイが走りまくるの喧噪の中でも、不思議と「静けさ」があって、落ち着く。

そして今から10〜15年ぐらい前になると、ちょっとした町には、エアコンが効いたカフェがどんどん増えていった。エアコンとなると、入口にドアも壁もないという訳にはいかないから、閉鎖的にならざるを得ない。椅子はよくなったものの、大音量のBGMもかかるようになった。

そして現在、町中の路上のカフェはほとんど見なくなった。入口のドアや壁のないカフェもちらほら。ただ、田舎へ行くと違う。私が作る「カンホアの塩」の生産地は田舎なので、まだまだ開放的なカフェが普通にある。

冒頭の写真は、「カンホアの塩」の塩田と宿泊したホテルの途中にあったカフェの看板。これまで何度もこの道は通ったが初めて見た。何とも味わい深くて、二度三度オートバイで行き来している間、この看板が気になって仕方なかった。時間が出来たところで、入ってみると、雰囲気が何とものどか。コーヒーもおいしい。入店後しばらくしてきいたら、何と30歳前の若くて真面目そうな男性がやり始めた新しいカフェだった。たどたどしいながらも英語も話してビックリ。「この看板が気に入って、入ったんだよ」と言うと、照れくさそうに、「それはとりあえず描いただけで、今度もっといいのにしようと思っているんだ」と応えてくれた。私からすると、コレが味わいがあっていいのだけど・・・・。

これは去年2019年の12月のこと。今頃、新しくなってるかも知れない。こういう味わいあるものって、寿命というか、時間制限があるんだと思う。だから、次々と生まれても、運がいいと出会えるし、そうでないと知らない間になくなっている。

この田舎には、エアコンが効いたカフェはほとんどないが、もっと人通りのあるところにある大音量が鳴り響いているカフェは、賑やかだけど、私は落ち着かない。そんな中、こんなのどかで落ち着くカフェでコーヒーが飲めて、私はとてもラッキーだった。ご参考まで店内のパノラマ画像を下に(クリックすると拡大します)。入口どころか、四方に壁がないから風通しがとてもよく、しっかり日陰が作られていて、気持ちいい。12月とは言え、このときの気温は30℃ぐらい。左にいるお客さんたちは将棋を指している。


最後に、9年も前のことだが、ベトナムのカフェでコーヒーを注文する際の流儀をこのブログに書いたことがあったのを思い出した。以下に引用する。初めてベトナムへ行くコーヒー好きな方は、知っておくと役に立ちます。

ベトナム・コーヒーの流儀【基本編】(2011年6月16日)

ベトナム・コーヒーの流儀【応用編】(2011年6月21日)

ベトナム・コーヒーの流儀【上級編】(2011年6月30日)