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昨日の夕方、東京・多摩は奥多摩バイパスを東へ向かって車で走っていたら、前方の空を見て少し「ハッ」とした。頭では、「残暑も今年は終わりかな」と思っていたが、この空を見て、「もう秋だ」との感覚に襲われた。空の青さが否応なく私の目に訴えていた。
「ハッ」としてから、「早く信号で停まらないかな」という思いが湧き起こり、赤信号で撮った。何か撮っておきたい衝動に駆られたのだ。
正面奥に微動だにしない入道雲。その入道雲の手前には雨雲のような雲がふたつ、右から左に急いでいるかのように流れている。そして天高くに、白い薄雲が大きく広がっている。
私には、遠目の入道雲と、「そろそろ私たちの出番よ」と語っているかのような天高い雲が、去りゆく夏とすでに到来している秋を教えてくれているようだった。そしてこの空の青さは、天高い雲のための色に映った。真っ白な入道雲を背景に、ネズミ色した2つの雨雲は、入道雲の季節と天高い雲の季節に慌ててボーダーラインを引くかように、目に見えて左へ左へと流れていく。
夏は終わった。
この時期、振り返ってみると、夏の間は熱病にかかっていたかのように感じる。この空を見て、やっと正気に戻ったような。