2014年5月23日金曜日

有料ごみ袋の貧富

 私が住む東京昭島市では、ごみを出す際、有料の専用ごみ袋に入れて出すシステムになっている。ごみが多い家はその分負担せねばならない。ちなみに、同じ東京都でも23区内は、有料ごみ袋がない。(といっても地方税が無料なわけはないが)

でですね。冒頭の写真は、今朝出した我が家の「プラスチックごみ」の袋。一見何の変哲もないが、まぁ聞いてください。

我が家では、普段、分別しながらスーパーのレジ袋にごみを入れて溜める。何でそうするかと言えば、有料のごみ袋に入れるときは、極力小さくしたいからだ。ごみ袋は、「燃えるごみ」、「燃えないごみ」、「プラスチック」と3種類。各々「ミニ」、「小」、「中」、「大」と4サイズあり、無論サイズによって値段が違う。だから、我が家では、一旦レジ袋で溜めて、ごみを出す日の朝、どのサイズの有料ごみ袋に入れるのが一番安上がりかを検討する。当然のことながら、大きく膨らんだレジ袋をギューギュー小さくしてから有料ごみ袋に詰める。この作業は、しばしば、文字通りの「力ずく」になるので、私の担当となる。そして下の写真を見て頂きたい。
 これは、冒頭の写真の一段階前。つまり、右側のレジ袋に入ったプラスチックごみをギューギューして、左側でペシャンコになっている「プラスチック」の「ミニ」サイズに入れる前の状態だ。「えー、本当にこんな大きなのがこんな小さい袋に入るの?」とおっしゃる貴方は、勝ち組ですね。そんなんで驚いちゃいけませんよ〜。

ごみの中でも、このプラスチックは、ギューギューし甲斐がとてもあるのだ。ときには、上の写真のレジ袋2つ分も「ミニ袋」に入ることがある。本当に。そんなとき、私は、「あー、何てうちはセコイんだろう。貧乏くさいなー」と思う反面、何とも言えぬ快感に浸ることが出来る。分かるかなー、この満足感、充実感、達成感。

それで、です。ごみの日は、うちの近所はみんな同じだから、朝仕事に出るときなんか、周り近所のごみ袋が目に入る訳です。そのうちのひとつが下の写真(中袋か大袋です)。
「あー、何とリッチな家なんだろう! 袋の中の隙間が見て取れるではないか! オレなら、あと1サイズ、いやいや2サイズ小さくできるぞ!」

と、つい余計なことを考える。または、こっそり自分ちのごみをこの隙間に入れちゃおうかなーとか思ったりして。(マジでは、入れませんよー)

もしかすると、これが最近よく耳にする「格差社会」ということなのか。
または、お年寄りだけの住まいで、「力ずく」をしようにも困難なだけなのか。だとすると、私もある程度リッチにならないと、老後はろくにゴミも出せないぞ。

などなど、色々と考えてしまうのである。

さてさて、有料ごみ袋は、貧富を指し示す物差しのようなものなのか。
いやいや、ごみ袋だって、枚数少ない方が資源節約になるんだから、きっと我が家はエコな家なのだ。と、強がり言いながら、毎週ギューギューする私なのである。

2014年5月16日金曜日

ムクロジの定点観測(本編)

きょうは、前エントリの続きで、ムクロジの定点観測の本編です。前エントリにもあるとおり、いろいろ事情があっての定点観測だが、こうして1年を通して観測し、記録に残しているうちに、この木に対して、すっかり愛着が湧いた。観測場所は、東京は昭島市。

さて、冒頭の写真は、ムクロジの花。(2013年6月10日撮影)
小さな無数の花がついている。甘い香りもしたような。何せこの木が植わっているのは、隣の敷地なので、近づくことは出来ない。冒頭の写真は、ズームレンズの185mmで撮っている。
そして上の写真は、花の写真のおよそ1ヶ月後、7月7日の撮影なのだが、花は散って小さな緑色の実がなり始めている。実の形は先へ行くほどやや太くなっている。
上は8月18日。7月7日のあんな小さな実が、たった1ヶ月余りでこれだけ丸くなり、大きくもなった。重みで枝が垂れ下がっている。これだけ重くなると、強風などで地べたに落ちたものもあった。それが下の写真。最終的なサイズのすでに9割以上のサイズになっている。
残念ながら写真はないが、この緑色の皮を剥くと、中から白い汁が出る。それだけ水分もあるということ。しかし、それを皮ごと手の平で泡立てようとしても、ちっとも泡立たない。

少しムクロジから話しはそれるが、ムクロジの他に、エゴノキというやはりサポニンを含む実をつける木がある。同じく夏に実るエゴノキの実は、少し薄い緑色でムクロジのよりやや小ぶりだが、やはり剥くと白い汁が出る。これは皮ごと泡立てると泡立つのだ。この点が、似て非なるこの2つの木の実の大きな違いのように思う。

極めて個人的な話しだが、25年ほど前、都会育ちの私が頑張って山の中で暮らしていた夏の日、山暮らしが長い友人が、信州から訪れてくれた。そして、たまたますぐそこにあったエゴノキの実を手にとって、私にこう言った。

「タケシ、これはエゴノキっていう木の実でね。ほらこうして実を剥いて手の平で擦ると泡立つんだよ。昔、信州ではこれを石けんのように使ってたんだよ」

私は魔法を見たかのようだった。都会育ちの私だから、山での暮らしをしてみたくてしていたのだが、その魔法の感動が大きいほど、「私は山のことを何も知らない」と思い知らされ、自然に対して謙虚になれた思い出がある。そしてその数年後、先天性の病を患っていたその友人の訃報を聞いた。しばしは「まさか」と思ったが、「ありがとう」。

さて、話しをムクロジに戻す。
季節は変わった。上の写真は、11月16日の撮影。緑色の葉っぱも、部分的に黄色くなり始めている。そして、夏に緑色だった実は、黄色から茶色の色合いになった。こうなると実のサイズもMAXだ。ただ、その実には、夏場ほどではないにしろ、剥くと汁が若干出るほどは水分が残っている。しかしそれを泡立てようとしても、エゴノキの実のようには泡立たない。
そして、上は、12月1日。葉っぱはすべてすっかり黄色く色づいた。この直後から、この大ぶりの葉っぱが、隣の家の木とはいえ、我が家の庭を一面に覆うことになる。実の水分はかなり抜け、葉っぱとともに地面に落ち始める。この頃になって、ようやくその実が泡立つようになる。実と言っても、泡立つのは(サポニンを含むのは)、黄味がかなり抜けアメ色になった実の皮の裏側だ。夏場と違い、水分はほとんどなくなっているので(触った感じは蝋状)、水を加える必要がある。つまり、汁になるほど水分が残っているうちは泡立たず、汁が出ないほど水分が抜けた状態になってサポニンが生成されるようだ。

それにしても、これ以降の実の落ち方はすごい。普段は静かだが、風の強い日は、我が家の張り出したトタン屋根に大雨のような音をたてて落ちまくる。それにまだ慣れてない頃の夜中、その音を聞いて「何が起こったか」と飛び起きたこともあったぐらいだった。
さて、年が明けて、徐々に暖かくなり、桜も散った今年2014年4月12日の写真が上。4月だと言うのに、まだ実が残っている。そして新芽が出始めているの、分かりますか? 新たな一年の始りだ。

そして、きょう、5月17日、観測最後の写真を撮った。それが下の写真。上の写真からたった1ヶ月で、すっかり葉が生い茂った。まさに春の勢い。そしてこの時期に及んでもまだ枝についた去年の実がある。12月頃からこの実にサポニンが含まれるが、半年もかけて少しずつ落ちるのだ。・・・・なので、少しずつ拾うことになる。「竿でつついて落とせばいい」とか言わないでくださいね。何せ隣の家の木ですから。
以上で観測報告は終わります。
以下は、オマケ。
今、小さめのバケツ一杯に、我が家の庭に落ちたムクロジの実がある。前のエントリにあるとおり、コイツを割って、皮だけを布の小袋に詰め、洗濯機に入れる。そして洗濯が終わったら、洗濯物と一緒にその布袋を干して、次の洗濯に備える。

我が家の洗濯機は、ドラム式の全自動だから、「洗濯」→「すすぎ」→「脱水」と続けざまに全行程を終了する。・・・・ということはですよ。「洗濯」スタート時に投入されたその布袋は、「すすぎ」→「脱水」のときもそのままだ。ムクロジの皮は、粉石けんのように溶け切ることはないから、「すすぎ」のときもサポニンを働かせながら洗濯していることになる。かと言って、「洗濯」が終わったところで、いったん洗濯機を止めて、布袋を取り出すのも面倒だ。

でも、あ〜ら不思議。「脱水」までの全行程が終わると、サポニン感(石けんぽさ)が残ってるということもなく、洗濯物はすっかりきれいになっている。そう、これがムクロジの魔法なのだ。・・・・お後がよろしいようで。

2014年5月2日金曜日

ムクロジの定点観測(序章)

ムクロジという木をご存じだろうか?
その実の皮は、サポニンを多く含むため、昔は石鹸(洗剤)代わりに使われていたという。結構大きくなる木だ。上の写真は、その実の皮を半分に割って、中の種を出したところ。実の直径は15mmぐらい。この黒い種は、お正月の羽根突きの玉になるという。それで、この飴色とも言えるこの皮を手の平にのせ、少量の水とともに、拝むように両手で擦り合わせると、白い泡が立ってくる。んー、サポニン。ご存じの方も多いと思うが、“サポニン(saponin)”は“石鹸(soap)”の語源だ。

たまたまなのだが、築52年の我が借家(東京・昭島市)の隣の地主さんの庭に、このムクロジの大木がある。それは我が家との境の塀近くにあるため、その実がうちの庭にたくさん落ちる。不思議なもので、丸い実を地べたに見つけると、人間っていうのは拾いたくなるのだ。これは本能だと思う。そして、「この実、何だろなー?」と思って調べてみたら、石鹸になるということが分かり、それ以来、下記のように、10個分ぐらいの実の皮だけを小さな布袋に入れて、洗濯機を回すときに入れている。
そんなことしているうち、この我が家の庭の事実を知らないある知人が、コイツで商売をしようと思いついた。そして、この聞き慣れないムクロジという木を紹介したいからと、その木を探していた。

「それならうちの隣にあるよ」

ということで、私は、その知人女性が行うムクロジ紹介のために、1年かけての定点観測を頼まれた。しかしながら、その1年が半分ぐらい経過した頃、この話はとんでもないオチになった。彼女は、私にそう頼んでおきながら、(儲からないと気がついたのか)その商売をあっさり諦めた。まー、よくある話ではあるけれど。

最初の目的は失ったものの、ムクロジは、落葉樹だし、花も咲けば、もちろん実もなる。何しろ大木だ。人間からの距離が遠くなるせいか、その枝には様々な野鳥がとまってはさえずってくれる。例えば、春先にはウグイス、一週間前にはホトトギス。また、数年前の夏頃だったと思うが、あまりに美しいさえずりにうっとりした私は、思わずネットで調べたことがあった。クロツグミだった。

そんな季節によって、いろいろな姿を見せてくれるこの木を、観察とともに私はだんだん好きになってしまった。最初の目的など、もうどうでもよくなっていた。だから、あっさり商売を諦めた知人には、(直接伝えるまでもないものの)私の中では感謝している。

そして、その記録もしまっておいたままではもったいないので、何かの役に立てばと、この場を借りて、ムクロジって木を私が紹介しようと思う。

前置きが長くなったので、本格的な観測記録は、次のエントリにしようと思う。きょうは触りだけということで、花の写真。隣の地主さんの庭には、巣箱があるせいで、ミツバチがブンブン音を立てて花の蜜を集めてる。ピーク時には、おそらく100匹以上がブンブン。すごい音でもある。この写真の撮影は去年の6月10日。次のエントリは、この写真からスタートしようと思う。乞うご期待・・・・なんて、期待してくれる奇特な方が何人いるのやら。