2015年4月24日金曜日

ベトナムのコンデンスミルクとおいしいチーズ

ベトナムのコーヒーと言えば、アルミのフィルターをコップの上にのせて・・・・というスタイルを連想する方も多かろう。また、深煎りの豆のドロッとした濃厚なコーヒーに、砂糖やコンデンスミルクを入れた甘〜いコーヒーを連想する方も。

●関連エントリ:
ベトナム・コーヒーの流儀【基本編】 (2011年6月16日)

そうなんですね。ベトナムでミルクと言えば、コンデンスミルクが常識。ついでに言うと、1988年のことながら、私はバングラデシュを一ヶ月ほど旅したことがあるのだが、そこでもミルクと言えばコンデンスミルクだった。バングラディッシュにはインドから陸路で入ったので、国境を越えたとたんにチャイのミルクがコンデンスミルクになったのには驚いた。ベトナムと違い、バングラデシュはインド文化圏なので、コーヒーではなくチャイ(紅茶)に加える。その点、やっぱインドはスゴイ。相当辺鄙なところへ行かない限り、フレッシュミルクのチャイが飲めるのだから。インドにいるとついそれを忘れてしまうが‥‥。いきなり話しがそれてきたが、インドのミルク事情は下記エントリ。

●関連エントリ:
 牛を語らずしてヨーグルトは語れず(2013年3月19日)

さてさて話しを戻して、コンデンスミルクだ。ベトナムやバングラデシュなど暑い地域のミルクがコンデンスなのは、日持ちが理由だ。冷蔵庫のない暑いところで、フレッシュミルクをいつも飲めるようになるには、それこそインドのように町中に牛がうろうろ歩いてるぐらいでないとならない。ベトナムの場合、最近は大きな町では(まだたまに停電があるものの)冷蔵庫が常識化してる。でも、ベトナムで、コーヒーのコンデンスミルクは、元々の冷蔵庫事情よりもその「味」が定着しているようなのだ。だから、自宅に冷蔵庫があっても、コーヒーにはコンデンスミルクを入れる。また、ベトナムはフランスの影響からプリンがとてもポピュラーで、天秤棒に自家製のプリンをのせて売り歩いているおばちゃんも珍しくない。だが同時に、そのプリンも、コンデンスミルクから作られていることも珍しくないというからビックリだ。そのぐらいベトナムには、コンデンスミルクが定着している。

話しを裏返そう。

ベトナムで一般的に売られているパスチャライズもののミルクは、あまりにまずい。よく町中で、四角い紙パックに入って「フレッシュミルク」と称して売られているのがあるが、それがおいしくない、というか変な味。生乳や低温殺菌まで望んでいるのではない。パスチャライズものだが、「120℃で2秒殺菌」などの味ともまた違うのだ。その四角い紙パックの「フレッシュミルク」は、冷蔵庫に入っていないこともあったりする。

そのくらい、ベトナムの人たちは、(冷蔵庫の歴史的理由も含め)フレッシュミルクにこだわりがない。でも、私が小学校から中学校まで給食で毎日牛乳を飲んでいたことも、今になって思えば、異常だった気がしている。その影響で、逆に日本人には過剰に牛乳が身近になっていて、ベトナムの人たちにはこだわりがないと思ってしまうのかも知れない。冷蔵庫は必ずあった方がいいとは限らないことを、私はベトナムで学んだ。

●関連エントリ:
ベトナムの普通の市場(2009年6月5日)

前置きがえらく長くなってしまった。
というか、何が本文だか分からなくなっている。これもきっと春のせいだろう。

さて、そんなベトナムにも、変な味ではないフレッシュミルク(パスチャライズもの)がスーパーに並び始めていると聞いた。主な客層は富裕層で、まだまだ一般的ではない。でまぁ、こーしてフレッシュミルクが徐々にでも広がり始めると、気になるのは乳製品だ。朝食に、バゲットと一緒に銀紙に包まれたプロセスチーズや、プラスチックの容器に入った昔の日本にあったような砂糖入りヨーグルトはときどきあるが、ベトナムで乳製品はないのと同じ。そもそも乳製品を作るには気温が高すぎるのだ。しかし、ベトナムは暑い場所ばかりではない。

サイゴンから200〜300キロのところにダラットという高原の町がある。標高は1500メートルぐらい。この町の郊外で、ちゃんとしたチーズを作っている人がいる。外国人(日本人)だ。そこのチーズが食べられると聞いて、1月の出張時、サイゴンのピザ屋に行った。実は2〜3年前からこの店の評判は聞いていたが、「お客さんは日本人ばっかり」という情報も入ってきてて、わざわざ行ってなかったが、チーズはダラットのチーズ工房から直送されていることを知ったら、どうしても行きたくなった。場所は、日本人ビジネスマンも多く住む、レタントン通りの露地を入ったところ。

Pizza 4P’s(ピザ フォーピース)
8/15 Lê Thánh Tôn, P. Bến Nghé, Q. 1
http://www.pizza4ps.com/

冒頭の写真のマルゲリータは、そのときのものだ。モッツァレラは水牛じゃない。でも絶品のピザ。本物の味のチーズ。またトマトソースだけでなく、ちゃんと生地もおいしい。この小麦の味は、ベトナム産じゃないだろな。今や日本でもナポリで食べるようなピザが食べられるが、ナポリのと日本のと、この4P'sのピザを並べて食べてみたい。先に長々とベトナムのミルク・乳製品のことを書いたが、そんなベトナムでこんなピザが食せるとは、もービックリ。食べてる間、ベトナムにいることをすっかり忘れた。これがグローバル化ということか。

このお店のことは、また改めて。