2012年4月12日木曜日

瓶替え


先週末、一昨年に仕込んだ梅干しの最後の1個を食べた。てなわけで、今週からは昨年仕込んだ梅干しを食べ始める。このタイミングで瓶を移すのだが、我が家では、それを「瓶替え」と呼んでいる。(・・・・なんて言うとカッコいいでしょ。でも実は、そう呼んでいるのは私だけ) この十数年間、この時期に毎年行っているちょっとした作業だが、この2〜3年、「瓶替え」がとても愛おしく思うようになった。

冒頭の写真、お行儀よく並んだ我が家の3つの瓶。左から、「ドブロク用」、「梅干し仕込み用」、「梅干し保存用」だ。この他に、「味噌用」もあるが、最近は味噌を仕込んでないため、すぐに出てこなかったので、欠席。

さて、梅干しの「瓶替え」は、真ん中の「梅干し仕込み用」からその右の「梅干し保存用」に移す作業だ。のどかな春の日がとても似つかわしい。

食べ終わって空になった「梅干し保存用」をあらかじめ水洗い水切りして干しておく。(まだ食べ終わってない場合は、その梅干しを取り出しておく) 「梅干し仕込み用」には、昨年土用干しを終えた梅干しが一旦戻され保存されている。こいつを洗った「梅干し保存用」に移す。(食べ終わっていない場合は、残っている少数の梅干しを新たに保存する梅干しの上にのせるか、別の小さな容器に移す) 最後に、空になった「梅干し仕込み用」を水洗い水切りして天日に干す。(→これが次の仕込みの始まりになる。)この作業が「瓶替え」だ。

余談だが、3つの瓶の大きさや形が違うのには各々理由がある。まず真ん中の「梅干し仕込み用」は、梅漬けの工程で重石が平均に押してくれるように寸胴型。そして、重石がのるスペースがあった方がやりやすいので、やや大きめになっている。これで梅3キロ(我が家の一年分)がちょうどいい。

一番右の「梅干し保存用」は、保存するだけだから一回り小さくて、取り出しやすいよう口の方が広く底の方が絞ってある形。この「梅干し保存用」に移すときは、最初にシソの座布団を底に敷いた後(下の写真)、適当にシソをからませながら移していく。


また、一番左の「ドブロク用」は、発酵中、毎日かき混ぜるので、上部がすぼまってる方がいい。これで4〜5升仕込めるサイズ。

さてさて、この「瓶替え」の作業をしていると、「あ〜、そろそろと梅干し仕込むシーズンがやってくるんだな〜」と思う。実際に行うのは、2ヶ月先だから、特に今しなきゃならないことはない。でも、この時期にこう思って、どんな梅を使おうかなど、一度イメージしておくと、いざ始めるとき楽に始められる。

梅干しは毎年作っているが、こうして続いているのは、作り方を知ってるというだけではないと思う。必ず毎年いろいろな変化があるから、その変化に応じていろいろ考えるのが楽しみだから続いている。その楽しみがないと、とても続けられないと思う。大ざっぱに作り方だけを知るなら、簡単に調べられる。でも、必ず疑問は残る。だからその先は自分で考える。そこが面白い。作り始めの2〜3年は、作り方に追われ、考える暇もなく作っていたから、しんどかった。しかし、最初のうちは、気持ちもフレッシュで、勢いもあるから何とかやりとげられたんだと思う。梅干し作りはその後から面白くなる。

毎年の変化はさまざまだ。例えば、同じ農園の同じ品種の梅でも毎年違うし、仕込むときの天気も違うなど、他動的な変化もある一方、材料を変えてみたり、新しい工夫をしてみたりなど、自動的な変化もある。それは、ドブロクも同じ。

一番暑いときの梅干し、一番寒いときのドブロク。

初夏に梅が出回り、その後シソが登場。梅雨時をくぐり抜けた後、一番暑いときの土用干し。一方、なるべく雑菌が繁殖しない一番寒いときに仕込むドブロク。一番暑いときも一番寒いときも嫌な季節だ。でも、一番暑いとき、一番寒いときだからこそ上手く出来ることがある。それに写真の3つの瓶は欠かせない。そして、その間の時期(例えば今)に、ゆっくりとその「楽しみ」が始まる〜♪。

「瓶替え」は些細な作業だが、やっててこんな風に思うようになっちゃった。老けちゃったかな〜。

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