2018年5月7日月曜日

ニセアカシアを想う人間の気持ち

♪アカシアの雨にうたれて、このまま死んでしまいたい〜

ちょうど今、東京の多摩川河川敷では、ニセアカシアの花が、甘い香りを放ちながら咲き乱れている。あっちでもこっちでも。「あっ、アカシアだ」と呟いた後、「本当はニセアカシアだったっけ」と呟き直す。もう何度、同じ呟き直しをしたことだろうか。ニセでない、本家のアカシアを、私は見たことがない。

少し気になったので、その違いについて。
wikipediaによると、

明治期に日本に輸入された当初は、このニセアカシアをアカシアと呼んでいた。後に本来のアカシア(ネムノキ亜科アカシア属)の仲間が日本に輸入されるようになり、区別するためにニセアカシアと呼ぶようになった。しかし、今でも混同されることが多い。本来のアカシアの花は放射相称の形状で黄色く、ニセアカシアの白い蝶形花とは全く異なる。

どうも、西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」の「アカシア」も、「ニセアカシア」らしい。人間にとって、言葉の影響は大きい。ニセと付くだけで、どこか悪者の雰囲気が漂う。また、この外来種は、繁殖力が強いため(在来種の繁殖を妨げるため)、しばしば駆除の対象になる。刺さると痛いトゲもある。バラは「美しいものにはトゲがある」と例えられるのだが。

さて、一週間前、そんなニセアカシアが咲き乱れた多摩川の河川敷で、たまたま待ちぼうけをくらった私は、その花を集めてみようと思い立った。最初は「天ぷらかお浸しか」などと思ったのだが、待ちぼうけの勢いで、ひと抱えの花の付いた枝を車に積んだ。車の中はスゴイ香り。あまりの香りなので、帰路、家の隅に置いておくだけで、アロマな感じになりはしないかと思った。トイレなんかもいいんじゃないか、とかね。

帰宅後、枝から花の房だけを取った後、カミさんに相談したら、「それだけあるとアカシア酒がオススメ」とのこと。また、少しだけ、水で溶いた小麦粉を絡ませたものを、油をひいたフライパンで焼いてくれた。天ぷらにすると、「デレッとなっちゃうから」。なるほど。これまで何度か天ぷらを食べたことがあったが、たしかにデレッとなってた。何しろ、甘い香りが強烈なので、食べると、半分お菓子のような感じ。ひとかけ食べた中二の娘は「ポン酢がうまいと思う」と提案。甘さが中和される感じで、たしかにうまい。
それで。本命のアカシア酒。カミさんは35度の玄米焼酎がいいと言うのだが、そんな準備はないので、近くの酒屋さんで、25度の麦焼酎を買ってきた。残念ながら、25度でも米焼酎はなかった。彼女が持ってる果実酒の本によると、漬けるのは一週間がいいらしい。その後は、苦味が出てくるとのこと。
 一升の麦焼酎に浸り切れないほどのニセアカシアの花。その浸かり切れてない部分が気になって、一日2〜3度、天地をひっくり返して、一週間経ったのが、昨日。
花のガクの緑色がしみ出たのか、やや黄色を帯びた。ここから花を取り出す。
これで完成と思いきや、ここから3ヶ月寝かせて、完成らしい。とは言え、ちょっと飲んで見たが、ほのかに甘い香りがついている程度。

在来種の繁殖を妨げる外来種のニセアカシア。どうやって駆除しようか日々腐心されてる人たちもいる。ただ、その繁殖力の強さゆえに、我が家で「アカシア酒」になってもいる。3ヶ月後、この酒はどんな味を醸し出していることだろうか。

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