2020年12月10日木曜日

フジバカマと和菓子


フジバカマ。ふと気がつくと、庭の片隅にいつの間にか咲いている。夏の激しい暑さが遠い日のことように思えるようになった頃、ふとそこに、色も形も控えめなこの花の存在に気がつくと、他にはない安堵感を感じる。昔から好きな秋の花だ。

何年か前に、新聞のコラムだったと思うが、「生花のフジバカマに香りはないが、乾燥させると、いい香りを放つ」と知り、やってみた。長年好きだっものの、香りのことは知らずにいたので、長年付き合った恋人の未知の面を知ったようでワクワクした。

香りを放つのは花ではなく葉。

逆さに吊して乾燥させたフジバカマの葉に鼻を近づけると、その香りに、記憶があった。

「何かの和菓子の香りだ。それも高級じゃない、町中の普通の和菓子屋さんで売ってる和菓子。スアマかな。いや違う・・・・」

と、そこまでは思い至ったものの、具体的には思いつかずモヤモヤしたが、そのまま時は過ぎた。数年経ったこの秋、再び乾燥したフジバカマの葉の香りを嗅ぐと、やはり「和菓子だ」との思いが蘇った。そして、モヤモヤも再燃。

数年の間、思いつかなかったが、ネットで検索。すぐに分かった。桜餅。桜餅の桜の葉の香りは、乾燥したフジバカマの葉が放つ香り成分(クマリン)と共通とのこと。本来はここでスッキリ〜となるはずだったのだが、違った。分かってから、「あー、安易にネットで調べないで、自力で分かるまで待った方がよかったな」との思いがよぎった。もちろん後の祭り。たしかにモヤモヤしたけれど、春になって桜餅を食べたとき、「あっ、これ、フジバカマだ」と思いついた方がどれだけ感動的だったことか。なんか幸せをひとつ逃したような気分になった。

塩漬けになった桜餅の桜の葉。たしか大島桜と言ったかな・・・・。たしか伊豆の松崎町で、全国の桜餅の8割方の桜の葉が栽培されてるような・・・・。松崎町には、学生時代の友人が住んでいるので、薄っすら記憶に残っている。これもネットで検索するか否かで、再びモヤモヤし始めてる。

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