2010年8月5日木曜日

真夏の秋刀魚


10年も前のことだが、とある酒屋さんのレジで、前の客が会計するのを待っていたら、その客と酒屋店主との会話が耳に入った。

「この時期の秋刀魚が・・・・何とも言えないんスよねぇ〜」

あとで店主にきいたら、そのお客さんは近所の料理屋さんとのこと。10年ぐらい前のことだが、8月の初旬、ちょうど今頃で一番暑いときのことだった。そのお客さんの言葉が、しみじみとした感情とともに、私の耳に入ってきた。それまで「秋刀魚は秋口に脂がのって、安くなってから」と思っていた私は、その翌日に秋刀魚を求め、焼いてみたことがある。それ以来、この時期になると秋刀魚が気になって仕方がない。

先週末、スーパーへ行ったら、初お目見えしていた。ちゃんと「新物・北海道」のシールが貼ってある。1尾450円也。決して安くない。ただ、新鮮そうだったので思い切って買っちゃった。ん〜、うまい。脂ジュージューの「秋物」とは違い、青魚というより、やや白身っぽく、サッパリ。脂が少ない分、やや身がしっかりしているように感じる。カマスか小ぶりのカレイにも近いような。脂・うま味が強いんではなく、秋刀魚独特の味・香りがおいしいのが最大のポイントだ。

あと、付け加えなくてはいけないのは、「やっぱ年のせいもあるかな」ってこと。三十代までは、脂ジュージューの「秋物」の腹の部分を箸でとって、ワタをのせ、さらに大根おろしをたっぷりのせて醤油を垂らす。それをパクつくのが秋刀魚だった。今でもそれがないわけじゃないけど、その白身な味を味わいながら、「サッパリしてて食べやすいなぁ〜」なんて言ってる今日。

さてさて、7〜8月の秋刀魚の漁場は、まだ根室・釧路あたりだ。これが八戸・那珂湊・銚子と徐々に南下し、海水温も下がって脂がのってくる10月には半額以下になる秋刀魚。だけど真夏の450円の贅沢。この450円はコストパフォーマンスがとてもいいように思えてならない。

・・・・なんてことを思いながら新聞見てたら、「今年の秋刀魚は例年にない不漁」という記事が載ってた。

それで思い出したが、先月参加した漁業関係の講演でのこと。日本は魚を捕り過ぎてるらしい。捕り過ぎてるせいで、魚がいなくなっちゃってるらしい。1〜2年とか休漁すればいなくならないらしいが、現実的になかなかそうもいかないらしい。

「真夏の秋刀魚」からすっかり話がそれた。

ただ、今年の秋刀魚の不漁もその影響なのだろうか・・・・・と考えてしまった。

0 件のコメント: