
先のエントリ、「生物多様性」という思想、の続きです。
GM作物の問題を考えるとき、当然のことながら、農業の規模は大きな要素だ。アメリカの農業はひたすらデカく、日本は小さい。この対比の上に立って、日本の農業を空想してみたいと思うのです。GM作物に対して反対派の私だけど、もしも現実的にGM作物が今後どんどん広がっていくとしても、こんな手があるんじゃないかという空想です。
最初に断っておきますが、私は農業に関しては、全くの素人です。でも、GM作物に詳しくない私が「詳しくない」なりにGM作物について書くように、それなりに思うことはあるのです。強いて言えば、ド素人または消費者だからできる空想ってものももしかしたらあるかも知れない、という淡ーい期待をエネルギーにして、自信な〜く書こうと思います。
GM作物の農業の長所はその生産性・効率性。だから、農業の規模は大きいほど有利になります。ヘリコプターで農薬撒くんだからね。それは日本の農業と比べると、同じ「農業」という言葉を使っていいのか疑問になる程違います。前々回のエントリ、遺伝子組み換え作物(GM作物)、の下の方に、GM作物の主な生産国のランキングがあるけど、ほとんどでっかい国ですね。(ロシアがないのが不思議だけど) まぁ、言うまでもないけど、GM作物の生産で日本がデカイ国にかなわないのは明白です。でも、かなわないというだけじゃ面白くない。
さてさて前置きはこのくらいにして、はじめましょう。
まず、あえて日本では、少なくとも国内でGM作物は作らない。禁止する。つまり、国内の農業は全て非GM作物。よほど特殊な作物でない限り、日本はGM作物の輸出国にはなれないだろうけど。何しろこれがファーストステップ。
次に、生産禁止とは言っても、日本は現在でもGM作物の輸入はしているので、これは最低限にしなくてはならない。そして大切なのは、国内での非GM作物との交配は絶対に起こらないようにコントロールしなくてはいけません。技術大国日本は、そのコントロールに英知を注ぐのです。ここが大きなポイントになります。世界中の人たちは、正直な気持ちとして、「できたら、非GM作物を食べたい」と思っています。ただ、経済的に安いGM作物でないと懐が厳しいという事情があります。しかしどの国・地域でも富裕層という人たちはいるので、そういう人たちは非GM作物だけを食べます。つまり、GM作物が広がれば広がるほど、非GM作物の商品価値は上がるのです。
“made in Japan”ならぬ“cultivated in Japan”の農産物は、非GM作物だけに特化し、しかもGM作物との交配の心配が全くない。非GM作物だけでなく、有機栽培・自然農法ものなどそのバリエーションも豊富にする。日本の農業は、小規模がゆえにそのコントロールにはかえって都合がいいのです。当然、島国という立地条件も、大陸の国に比べたら有利でしょう。
さらに、これからの日本の国内事情として、人口は減る一方です。ということは、もちろん将来の食料は今より少なくていいのです。人口が急激に増えてる大きな国に比べ、その食料確保に躍起になる必要は断然少ないハズ。
また、今の日本の経済(GDP)は下降気味です。人口が減る限り、デフレ基調が続く限り、またモノが豊かになったこの国の雰囲気として、GDPを急激に上げるのは難しいでしょう。だから、付加価値の大きいブランド非GM作物を作り、世界の富裕層たちに買ってもらう。もしかすると、世界中の大金持ちたちは、少しでも新鮮なものをと日本に引っ越してくるかも知れません。そうすれば、日本の税収も増えます。また“cultivated in Japan”の農産物は日本で消費される限りは、輸送・貯蔵コストは低くなるので、日本に住んでる人にとって、その分は安く買えるという恩恵もあります。
こう書くと、金持ちのための農業と思われるかも知れませんが、それだけではありません。そうこうしているうちに、日本は、高品質な農産物の生産技術と非GM作物とGM作物との交配を防ぐ技術は、折り紙付きの世界一になりますから、その技術セットを、「GM作物はやっぱりヤバイ」となったとき、必要になった国・地域に譲与するのです。だからある程度の技術に達したところで、日本は世界に向けそれを宣言します。つまりは、その技術を磨くために世界の富裕層に非GM作物を売り、その間養った農業技術を還元するのです。これが結果的に富・サービスの再配分ということになります。言葉をかえれば、日本の農業は「GM作物はやっぱりヤバイ」の安全弁という役割を担うのです。
この空想の一番のネックは、日本の政治かな。
繰り返しますが、以上、私の空想でした。