2013年9月19日木曜日

築地・マグロの競り見学


一回飛んじゃったけど、8月29日のエントリ(マグロの競り見学は何時に行くか?)の続きです。8月に、築地のマグロの競りの見学に行った話。

そのエントリでも書いたとおり、朝3時半に市場に着き、2時間待合室で待った後の5時半、ガードマンさんたちの引率によりいよいよ見学が始まった。ほとんどの見学者が外国人なので、待っている間や見学スタートの際に、ガードマンさんたちに言われる注意事項は全て英語。「写真はいいが、フラッシュは禁止」とか、「通ってもいい場所は限られている。それ以外は立ち入り禁止」など諸々の注意事項が何度かにわたって言い渡されたが、毎度最後のフレーズ(または決め台詞)は決まっていて、少しの笑顔と共に「And enjoy.」。見学者の人たちはほとんど気にしてなかったみたいだけど、私にとっては、それは噺家さんの「お後がよろしいようで・・・・」みたいな感じがして、忘れられない。まぁ、さんざんうるさく注意事を言ってるけど、本当は「楽しんでね〜」と思ってるんだよ、いう感じが私には伝わってきた。

思えば、何年か前までは、「見学者が競りや市場で働く人たちの邪魔になって問題になってる」というニュースを耳にしたことがあった。その後、こうして見学がシステム化されたという経緯があるから、それら注意事にうるさくなるのは自然のなりゆきでもある。

さて、マグロが並んだ競り会場に着くと、当然のことながら、冷凍室だった。8月という暑い時期には心地よい。そうだな、150〜200尾ぐらいの大小のマグロが、10〜20尾ぐらいの各店のグループ別に行儀よく並んでいた。各グループの近くの柱にはお店の名前が貼ってある。サイズは、平均150センチ、デカイので2メートル以上といったところか。

メモ帳とペンを持った仲買人は、輪切りになってるマグロの尻尾部分の肉を、「尖った金属がついた道具」(下写真参照)でかき出し、それを手の平で何度もクチョクチョ握ってはその様子を見たりしている。これで脂のノリ方などが分かるのだろう。仲買人同士はすれ違いがてらに二言三言会話をしたり、次々とマグロを品定めしながらメモっている。全てのマグロにはでっかく番号が書かれている。

一番手前の人が細い鎌のような「尖った金属がついた道具」を持ってます
私たち見学者は指定された場所で10分ほど様子を眺めていると、お店の前で踏み台にのった競り人(?)が、手持ちの鐘をガランガラン鳴らす。この店の競りが始まりますよの合図だ。それは競り独特の発声法だが、日本人なら一度は聞いたことがある市場声だ。発声法は独特だが、何を叫んでいるかと言うと、ほとんどが数字だ。つまり、今、何番のマグロの競りを始めているか。そして、仲買人は、寡黙に片手を挙げて、その指で1から9までの数字で値段を示す。人差し指一本で「1」などだが、「6」は親指だけ(thumb up状態)になったりなど、決まり事がある。ただ、「一桁だけで、分かるのか?」という疑問が湧く。でも、相場を熟知している間柄で、「桁を間違えることは絶対ない。一桁で十分わかる」らしい。つまり、10万円と100万円を誤解するようなことはない、ということだ。しかし、120万円ということはないのだろうか。それは 「2」になるのかな。分からない。

仲買人から値段の提示があると、競り人の叫ぶ番号は、マグロの番号からその値段へと変わる。そしてそれ以上の値段を示す者がいれば、更新された値段を叫ぶ。しばらくいなければ、それで落札。次の番号のマグロの競りが始まる。

その様子は、以下の動画で。


30分ほどの見学が終わると、その冷凍室を出て、市場の中を通り、最初に見学の受付をしたあたりまで、戻ることとなったが、このあたりで気がついた。全員が男性ではないか。市場の中には見事に女性が一人もいない。築地では常識なのかも知れないが、ここは男だけの仕事場なのだ。

今回は、イタリアから日本に観光に来た友だちのリクエストによって、このマグロの競り見学をした。なぜか外国人の評判はすこぶる高い。そのイタリア人に「何が面白かった?」ときくと、「競りの雰囲気やあの声(発声法)だよ〜。独特だね」と答えた。私はそれ以上突っ込んできく気も起こらず、慣れない早起きにボォーっとしながら、場外へ向かって一緒に歩き始めた。「さっ、朝飯は何食おうかな」。

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