2020年1月31日金曜日
ベトナムのプラスチックごみ対策
上の写真は、去年12月に入ったホーチミンのカフェでのもの。ストローがステンレス製。続けて、下の写真、これは白い紙製。
もひとつ。下のは、同じ紙でもちょっとポップなストライプ柄。
今や、ベトナムの都市部のカフェでは、プラスチック製のストローが消えている。私は、去年6月にもベトナムに行ってるのだが、そのときには全くなかった現象だったので、たった半年のうちに、こうも変わっているに、もービックリ仰天。
日本では、去年、「○○社は、プラスチックのストローを○○年までに廃止すると発表」などの報道があったが、ベトナムは、「○○年」とかじゃない。「すぐ」だ。無論、ストローだけじゃない。下は、去年12月にベトナム人宅にあったポリ袋。
私からすると、なんか急に「ECO FRIENDLY」とか書き出しちゃって・・・・と思えなくもなかったが、いいことだ。「100% biodegradeable」。100%生分解するってんだから、スゴい。日本では、こんな袋がどのくらい出回っているんだろう。そして、上の写真のオレンジ色の袋の右下をよく見ると、日本の「プラ」マークがついる。その下に「PE」とも。「プラ(PE)」で本当に100%生分解するんだろうかとの疑問も湧く。そして、その「プラ」マークの右には、なんと日本語。よく見ると、かなり怪しい日本語だ。アップでみると、下の写真。(クリックすると拡大します)
せっかく印刷するんなら、「ちゃんと書けばいいのに」と思ってしまうが、たぶんこれはただの『飾り』。ほとんどのベトナムの人たちはこの日本語を読めない。「HONDA」のニセモノで「HANDA」みたいのがあったが、何となく、「日本っぽい」のがベトナムではいい印象なんだということ。とすると、先述の「プラ(PE)」は無意味で、本当に100%生分解するようにも思える。
さてさて、ベトナム進出の日本企業も例外ではない。下のイオンさんの袋。「USE less plastic bag. Make more Green Environment」と書いてある。やる気満々。ちなみにイオンのロゴの下にあるベトナム語は、「日本の大手小売業者です」ぐらいの意味。
私は、22年前、「カンホアの塩」を作り始めてから、ベトナムに通っているが、これまでベトナムの人たちのプラスチックへの感覚は、ほとんど空気や水のようなものだった。そこいらへんに、プラスチックの袋が落ちていても、誰も拾わない。それは私の仕事上もそうで、「カンホアの塩」の塩田の周りにプラスチックごみが落ちていると、私一人が拾っていたこともあった。しかし私は、ここにずっといる訳ではないので、「少しでも落ちてたら、拾ってね」と言い続けていたものの、なかなか真剣に聞いてもらえなかった。
それがだ。去年12月、「カンホアの塩」の生産者の代表と話をしている際、「プラスチックの問題は深刻だ」と私の方に語りかけてきたので、ビックリ。どんな風の吹き回しかと思ったら、どうも去年、ベトナム政府が、国を上げて、プラスチック削減に取りかかったらしい。ベトナムは共産党の一党独裁国家。いったんこうなったら、話は早い早い。それで、カフェのストローも、ポリ袋も、たった半年の間にすっかり変わったのだ。生産現場でも、私がプラスチックごみを指摘すると、正面を向いて聞いてくれた。
ご存じの方もいると思うが、日本はプラスチックごみをベトナムへ輸出していた。12月に、あるベトナム人に言われた。「もう、日本からプラスチックごみは輸入しないよ」と。どう考えたって、自国で処理できないプラスチックごみを輸出しちゃいけない。この件は、明らかに日本がよくない。
プラスチックの問題は、地球温暖化の問題と密接と言われているのは、去年、下記のエントリでも書いたとおり。
新素材の前に(2019年8月30日)
それを思うと、ベトナムの足、オートバイはどうなるか? 車も年々増えているが、ホーチミン市では、地下鉄工事が始まっている。ベトナムのプラごみに対する意識がは確かに急に変わったが、物理的な変化は、まだまだこれからだと思う。しかし、日本は、このプラごみの問題もそうだけど、原発の問題、桜の問題と、動きがあまりに鈍すぎやしないか。そんな日本を尻目に、これからもベトナムは、どんどん変わっていく。
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