2020年3月16日月曜日
「You've got a friend」と「昭和枯れすゝき」
この春から、息子が小学生から中学生へ、娘が中学校生から高校生になる。この機会に二人が個室を持てるようにと、家中の配置を再編成した。それにともない、私は持ってた本・音楽CD・服類などを半分処分した。それは、眠っていた本や音楽CDを整理し、見直す機会にもなった。
それで、たまたまキャロル・キングのカーネギーホールのライブ録音(1971年録音)のCDを久しぶりに聴いた。後半に、ジェームス・テイラーがサプライズ登場して、「You've got a friend」を一緒に歌う。
それ聴いてて私は、「あっ、これ、さくらと一郎だ」と思った。「昭和枯れすゝき」だ。
久しぶりに「昭和枯れすゝき」を聴きたいと思って、Youtubeで検索したら、二代目さくらさんの映像がほとんどだった。少なかった初代さくらさんのをやっと見つけたが、全然違う。二代目さくらさんは、とっても頑張っているんだが、残念ながら特別な感じがしない。初代さくらさんは特別だった。
さてさて、「You've got a friend」は、いろいろな事情があるアメリカ社会の中で、アメリカの良心を歌っていると感じる。それは至って穏やか。一方、「昭和枯れすゝき」は、いろいろな事情ある日本社会の中で、日本の情愛を歌っていると感じる。それは至って強烈。
この2曲、男女のデュエットという点が共通。男女のデュエットというのは、何となく、女性と男性の代表者が歌っているようにも感じる。片方の独りよがりでは成り立たないというか。それが説得力にも繋がっているように思う。
とは言うものの。この2曲は、歌詞の内容も曲調も全く違う。むしろ対照的だ。しかし、何かが同じと感じてしまうのはなぜだろう。至って私の感覚的なことなので、客観的なタイミングを調べてみた。
キャロル・キングの録音は前述のとおり、1971年。
そして、「昭和枯れすゝき」は、1974年のリリース。
3年の違い。同時代ということか。
太平洋の東と西ということはあっても、どちらもポップミュージック、大衆に好まれた曲だ。最近は、ポップという言葉も死語だろうか。代わってポピュリズムが使われる。大衆迎合主義と訳されるポピュリズム。大衆に迎合したっていいはずなのに、どこか危険さを孕むように感じる。
しかし、「You've got a friend」も「昭和枯れすゝき」も危険さを全く感じない。「昭和枯れすゝき」には、「死」という言葉さえ歌詞に含まれるが、危険な感じがしない。
切取り方だ。
ふとそう思った。いろいろある社会の中で、「アメリカの穏やかな良心」を、そして「日本の強烈な情愛」を切り取って曲が出来ている。その切取り方が、この2曲は実に見事で、「いろいろある事情」など思い浮かべる余地なく、しっかりとその世界観だけに浸らせてくれる。そういう力を持っていることがこの2曲の共通点なような気がしてきた。切取り方、それはいい役者がそうであるように、切り取った世界観の人物への成り切り方とも言える。
切取り方、成り切り方。それは純粋さでもある。ネット社会になって、情報が溢れている環境では、物事を純粋に捉えることが難しくなっているんじゃないか。たまには昔のように、雑音(情報)をオフにして、静かに自分の中にある純粋な感情に光を当てることがあった方がいいように、または今の自分にはそれが不足しているように、思った。
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