2014年5月2日金曜日

ムクロジの定点観測(序章)

ムクロジという木をご存じだろうか?
その実の皮は、サポニンを多く含むため、昔は石鹸(洗剤)代わりに使われていたという。結構大きくなる木だ。上の写真は、その実の皮を半分に割って、中の種を出したところ。実の直径は15mmぐらい。この黒い種は、お正月の羽根突きの玉になるという。それで、この飴色とも言えるこの皮を手の平にのせ、少量の水とともに、拝むように両手で擦り合わせると、白い泡が立ってくる。んー、サポニン。ご存じの方も多いと思うが、“サポニン(saponin)”は“石鹸(soap)”の語源だ。

たまたまなのだが、築52年の我が借家(東京・昭島市)の隣の地主さんの庭に、このムクロジの大木がある。それは我が家との境の塀近くにあるため、その実がうちの庭にたくさん落ちる。不思議なもので、丸い実を地べたに見つけると、人間っていうのは拾いたくなるのだ。これは本能だと思う。そして、「この実、何だろなー?」と思って調べてみたら、石鹸になるということが分かり、それ以来、下記のように、10個分ぐらいの実の皮だけを小さな布袋に入れて、洗濯機を回すときに入れている。
そんなことしているうち、この我が家の庭の事実を知らないある知人が、コイツで商売をしようと思いついた。そして、この聞き慣れないムクロジという木を紹介したいからと、その木を探していた。

「それならうちの隣にあるよ」

ということで、私は、その知人女性が行うムクロジ紹介のために、1年かけての定点観測を頼まれた。しかしながら、その1年が半分ぐらい経過した頃、この話はとんでもないオチになった。彼女は、私にそう頼んでおきながら、(儲からないと気がついたのか)その商売をあっさり諦めた。まー、よくある話ではあるけれど。

最初の目的は失ったものの、ムクロジは、落葉樹だし、花も咲けば、もちろん実もなる。何しろ大木だ。人間からの距離が遠くなるせいか、その枝には様々な野鳥がとまってはさえずってくれる。例えば、春先にはウグイス、一週間前にはホトトギス。また、数年前の夏頃だったと思うが、あまりに美しいさえずりにうっとりした私は、思わずネットで調べたことがあった。クロツグミだった。

そんな季節によって、いろいろな姿を見せてくれるこの木を、観察とともに私はだんだん好きになってしまった。最初の目的など、もうどうでもよくなっていた。だから、あっさり商売を諦めた知人には、(直接伝えるまでもないものの)私の中では感謝している。

そして、その記録もしまっておいたままではもったいないので、何かの役に立てばと、この場を借りて、ムクロジって木を私が紹介しようと思う。

前置きが長くなったので、本格的な観測記録は、次のエントリにしようと思う。きょうは触りだけということで、花の写真。隣の地主さんの庭には、巣箱があるせいで、ミツバチがブンブン音を立てて花の蜜を集めてる。ピーク時には、おそらく100匹以上がブンブン。すごい音でもある。この写真の撮影は去年の6月10日。次のエントリは、この写真からスタートしようと思う。乞うご期待・・・・なんて、期待してくれる奇特な方が何人いるのやら。

3 件のコメント:

cox さんのコメント...

はじめまして、こんにちは。
少し前から時々こちらにお邪魔して、楽しく読ませていただいています。

石鹸になる木の実、初めて知りました。
お話の続き、楽しみにしていますね~。

buonpaese さんのコメント...

期待しまーす(^^)/

下条剛史 さんのコメント...

> 奇特なcoxさん、buonpaeseさんへ

こちらこそ、はじめまして。こんにちは。

“cox”と聞いて、思い出すのは、バングラディッシュ東南部にある町、Cox's Bazar。1988年の9月に訪れたことがあります。モスリムの町でありながら、町のあちこちにストゥーバ(仏塔)が立っていたのが印象に残っています。お陰さまで、久しぶりにその旅のことを思い出しました。

全くの余談でした。
コメントありがとうございます。