今月半ば、1週間ほどベトナムへ出張していた。主に「カンホアの塩」の生産現場、カンホア・プロヴィンス(省)のホンコイ村の滞在だ。日本からベトナムへ観光で訪れる人はたくさんいるが、仕事だと、こうしていつも同じ場所へ行き同じ人たちと会うことになる。もう10年間、20回はここに通ってるが、毎回必ず何かしら変化があり、未経験なことも必ずある。
今回の滞在中、6月18日が満月だった。毎月陰暦の1日と15日、つまり新月と満月の日は、終日菜食になるという習慣がベトナムにある。仏教関係の習慣だが、必ずという決まりは特にない。だから、何となく私の感覚だと、40〜50人に1人やってるかやってないかぐらいの習慣だと思う。十四夜の日、いつも私たちの食事を料理してくれているニームさんという女性が、「明日は15日だけど、菜食にする?」ときいてくれた。私は、ベトナムで1日中菜食をしたことがなかったし、とても興味があったので、「是非」とお願いした。
明くる朝、出してくれたのが、上の写真のフォー(ベトナム風米粉のうどん)である。フォーは通常、鶏か牛。ベトナムでは豚も好んで食べられるが、不思議と豚のフォーはない。しかし、これは完全に動物性タンパクゼロのフォーだ。ヌクマム(魚醤)ももちろん使われていない。出汁は、キノコ類や根菜のなどからなる極めてサッパリとしたフォーだ。サッパリさもいいが、連日猛暑の中の仕事だったので、ちょっとした胃腸の休憩にもなる。こういうものは、スルスルと食べられる。もう毎日でもいいぐらいだけど、毎日にすると一緒に食事をするここの人たちもつきあわなければならず、なかなかそうもいかない。そして、下の写真は、昼食時。
中央左の肉のスライスのように見えるものやその右のハムのように見えるものは、いわゆる大豆タンパク。そして、見にくいけど右奥のエビを春巻きの皮で包んで揚げたように見えるものもエビの代わりにやはり湯葉の唐揚げのようなものが包まっていて、食感はまるでエビ。このようにいわゆるモドキ料理が多い。この傾向は、中国、台湾などにもあるが、肉や魚介類を食べたいところを菜食しているのだろうか。またはそれは一種の洒落のようなものか。モドキにしなくても、それはそれでおいしいんだけど。
この「カンホアの塩」の生産地、カンホアのホンコイ村は、かなりの田舎だからないが、ちょっとした町へ行くと、菜食の食堂は結構ある。“co'm chay”の看板が目印だ。“co'm”はご飯、“chay”は菜。毎年1〜2回は来るベトナムなので、要所には行きつけの“co'm chay”屋さんもある。また、全然知らない町でも、確率的に一番多いのは、お寺の近く。しかし菜食だからと言って、みんな同じような食堂とは限らない。味付けのセンスもその店次第だ。当たり前だけどね。インドもそうだが、アジア、特に暑いところには、菜食の習慣が多く残っている。宗教的な意味あいもあったりするが、暑いところは単純に消化のいいものがいいという面もある。身体が健やかだと気持ちも健やかな感じになる・・・・・。ん、それが宗教的な意味合いか。
1 件のコメント:
ベトナムの素朴なおいしさが伝わってきますね。
伝統の良さを活かしながら、発展していってもらいたいものです。
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