東京は目黒。山手通りを大鳥神社から南へ歩いて少しのところ、歩道橋のたもとにこのお店がある。その名も「ラーメン・ゼロ」。魚介系ラーメンの旗手・前島司氏のお店だ。写真では一見、普通のラーメンに見えるが、調味料が一切使われておらず、具材の味だけのラーメンだ。食すと誰もがその「新しさ」を感じる味と思う。それは一口に「ワイルドな味」だ。食べてて自分が原始人のようになった気がした。しかし、決して荒っぽい味ではない。むしろ繊細な味だ。魚介系から肉系・野菜系の様々な味が融合していて、「きっと原始時代、超グルメな人が調理するとこんな味になったのかな」と思わせる「ワイルドな味」だ。「素材の味をいかす」という擦り切れた言葉があるが、「ラーメン・ゼロ」は、それがモロ(直接的)な味で、英語では“naked taste”(裸の味)という言葉が合う気がする。
私の嫌いなラーメン。それは最初の一口はおいしいが、だんだんくどくなり、最後まで食べるのが大変なもの。そして私の好きなラーメン。それは最初はやんわりとおいしく、食べ進むと時間とともにそのおいしさが深くなり、食べ終わったときにちょうど満足感を得られるもの。無論「ラーメン・ゼロ」は後者だ。前者の方は、「最初の一口がおいしい」と書いたが、実際には条件反射的に、そのおいしさをおいしいとは感じなくなっている。
あえて言うまでもないが、日本のラーメンは完全に一大文化だ。様々な志向を持った様々な人たちが様々なラーメンを食べる。そして様々なラーメンが生まれる。その多様さは、ヒットメイクまたは生き残りの厳しさとも常に背中合わせだ。そういう意味で、この「新しさ」は大胆に勝負に出ている。あとは客の反応次第。「ラーメン・ゼロ」、まずは一度体験してみたらいかが?
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