左が果物屋で、右が魚屋
左が買い物が終わった客で、オートバイのハンドルに鴨などを引っかけてる。そしてその右2つが八百屋さん。
写真はどれも「カンホアの塩」の専用塩田の近くにある市場で撮ったもの。ベトナムのどこにでもある普通の市場である。では、「普通ではない」市場はと言うと、大きな町にある大きな市場、例えばサイゴンではベンタイン市場など。確かに大きな市場は品揃えが豊富だし、高級品や季節外れの果物などすぐに見つかる。でも、私はあえて、このドップリとローカルな市場のことを伝えたい。
前のブログ(6月3日「ベトナムの普通のご飯」)で、こう書いた。
『日本よりベトナムの方が断然暑いし、冷蔵庫・冷凍庫も普及していない。しかし皮肉にも、より涼しく冷蔵庫・冷凍庫が普及している日本の方が食材の鮮度が劣るのだ。この大いなる矛盾をどう見よう。それはベトナムの市場に行くと分かる』
その「市場」とは有名なベンタイン市場ではなく、上の写真のような、ベトナムの地方にはどこにでもある普通の市場のことだ。ご覧のとおり、この市場には冷蔵庫なんてありゃーしない。しかし、肉屋もあれば魚屋もある。そしてこの市場周辺で、つまりこの市場の客の家で、冷蔵庫のあるところは半分ないだろう。たとえあったにしても、ときどき停電があるので、日本のように信用のある存在ではない。そしてこのあたりは一年中暑い。一番寒く(?)ても20℃ぐらいで、最高は40℃以上にもなる。つまり一年中日本の夏のようなもの。だから、生鮮品が悪くなるのも早い。
しかしだ。
「だから、生鮮品が悪くなるのも早い」は全くもって「冷蔵庫があって当たり前」が染みこんだ私のような人間の言葉で、ここで暮らしている人たちは、それで不自由はしていない。朝は市場のお店にたくさんの生鮮品が並ぶが、昼近くになると肉屋・魚屋の並んだあたりはすっかり静まりかえって誰もいなくなる。八百屋も残り物を売ってるところがちらほらぐらいだ。つまり、基本的に生鮮品は「その日のうちに売り切る」のだ。買う方も「その日に使う」食材を買う。ベトナムは暑い。暑いからこそ、この循環が続く。それがここでは当たり前なのだ。したがって、私がこの辺りに滞在している間は、いつも新鮮な食材を食べさせてもらうことになる。上の写真の店はどれもオママゴトのように小さく見えるかも知れない。確かに冷蔵庫がたくさんある大きな町の市場の店はもっと大きい。しかし、「1日分」だからこそ、この小回りの利く循環があるのだ。
上の写真に、鴨を買った女性客がいる。鴨は生きてるまんま買い、「料理する前にしめる」。毎朝、豚肉や牛肉の大きな固まりを忙しく小売用にさばいているのが肉屋さん。またここは海、漁村が近い。朝あがった魚がこの市場に運ばれ、写真の魚屋になっている。
また「暑い」ことは、生ものを腐らせるスピードとともに植物を育てるスピードをも促す。どんどん出来てくる農作物を小出しにどんどん流通させる。例えば、米の二毛作は当たり前。三毛作だってある。一年中暑いから、農作物は小刻みに育てられ、小刻みに収穫・出荷される。フォー屋(ベトナムの米粉の麺の汁そば)のテーブルに盛られるハーブ類は、その日の朝に採れたものでも夕方になるとしおれてくるが(ときどき水をかけたりして頑張らせているが)、それと冷蔵庫に1週間眠ってもまだ黄色くなってないホウレン草とどっちがおいしいんだろう。新鮮な野菜を間違えなく食べたいのなら、畑の近くか、暑くて冷蔵庫のないところへ行こう。
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