2009年9月8日火曜日

火炎樹とサルスベリ


写真は火炎樹。カンホアの塩田近くにある事務所の庭に植えられている。地面に花びらが落ちた様も素敵だ。南国では定番の木だが、ベトナムでその存在は、少しだけ日本の桜に似ている。

それは、ベトナムでは毎年学校の学年が終わる6月に咲くため、「卒業の花」とも言われるからだ。ちなみに6月、カンホアは一番暑い。暑さで頭がボォーっとしてても、この炎のような鮮烈な色の花を見ると目が覚める思いになる。桜は花だけで咲くが、ご覧のとおり火炎樹の花は緑の葉っぱとともに咲く。補色のコントラストがこの鮮やかさを増している。この下で卒業生同士が写真を撮ったりするんだろうな。そう言えば、ベトナムの小学生の制服で白いシャツに赤いスカーフ、ネイビーブルーのズボンまたはスカートっていうのがあった。火炎樹の赤は、あのスカーフの赤と似つかわしい。


ところで私の中で、日本で一番暑いときに咲く花と言えば、サルスベリだ。サルスベリの花は、白や淡いピンク、また紫がかったのもあるが、この写真のピンクが一番一般的だろう。サルスベリさんにはちょっと悪いが、どうもこのピンク色を見ると暑苦しく感じてしまう。いつも暑い中で見るから、単なる条件反射なのかも知れない。では、なぜ火炎樹を見て暑苦しく感じず「目が覚める思いになる」のだろう。サルスベリの花も緑の葉っぱと共に咲く。花の茂り具合や真っ赤とピンクの違いか。またカラッとしたベトナムの暑さと湿気のある日本の暑さの違いか。日本で真夏に咲く花は比較的珍しいから目に付きやすいのかな。写真は7月末に撮ったものだが、9月になった今は、ほとんど葉っぱだけになっている。

「美しさ」は「おいしさ」同様、主観的な問題だ。そしてあまりに見慣れたもの食べ慣れたものは、何となくその人の主観的な価値を下げがちな傾向がある。しかし、慣れたもの身近なものほど大事だったりする。桜は毎年咲くが「早く散るからいい」と言う。ベトナムの人がピンクのサルスベリを見たら、どう見えるだろう? 「涼しげだね〜」とか言われたら、私の主観も変わるかな。こういう主観はどんどんブレていい。

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