2010年6月11日金曜日
空豆の天ぷら
2〜3日前、カミさんが空豆の天ぷらを作ってくれた。いや〜、これはおいしいですねー。そもそも私は空豆が好物で、以前も「空豆の丸焼き」というタイトルでブログを書いた。丸焼きもおいしいが、この天ぷらもすこぶるおいしい。塩をパラパラ、レモンをギュー。お熱いうちにどうぞ。
空豆のおいしさは、芋類のようなホクホク感とほのかな甘み、少しだけ次の季節を感じる青い滋味、これに豆類のうま味がほんのりと・・・・ってところだろうか。これが天ぷらになると、衣でそれらの味が閉じ込められ、さらに油がうま味を後押しする。食感も外はカリッと中はホックリ。油でうま味がちょっと強めになるが、レモンを搾ればバランスをがとれる。そして塩が全体をまとめる。このハーモニーにあって、衣に卵は余計だ。
ところで、私が空豆を好きになったのにはキッカケがある。昔、二十歳ぐらいの頃、東京・九段下にあったレストランでウエイターをしていた。その店は、5月か6月から9月ぐらいまで、定番メニューに加え、生ビールと枝豆を出していた。
5月か6月頃、つまりちょうど今の時期、私がやや年配のお客さんのところに注文をとりに行くと、そのお客さんは「生ビールと空豆」と言う。空豆はなかったので、私は「すみませんが、空豆はございません。枝豆ならあるのですが・・・・」と応えた。するとそのお客さんは真っ赤な顔をして、「ナニー、この季節、生ビールを置いてて、空豆がないなんてことがあるのか!」と怒った。幸い、そのお客さんの連れの女性が、「まー、まー、(空豆は)ないんだから、枝豆でもいいじゃない」となだめてくれ、「生ビールと枝豆」に落ち着いた。
私は当時、空豆を特別視してなかったし、そのお客さんが真っ赤な顔をして怒った意味がよく分からなかった。でも、その尋常ではない怒り方は、決してただのイチャモンではなく、その特別さは私に十分に伝わった。それから空豆のことを忘れられずにいた私は後日居酒屋で空豆を注文した。私はそれ以前より注意深く空豆を食べた。「ん〜、おいしい」。枝豆より柔らかく大きい分、口の中がややモサモサするがそう感じたところでビールを飲む。後引くうまさではないか。
空豆の時期は短い。1ヶ月ぐらいか。この後出回る枝豆の前に、この「空豆とビール」の1ヶ月があってしかるべきだ、と思った。そして、怒ったお客さんの真っ赤な顔が頭に浮かんだ。二十歳の若者はこんなことの繰り返しで、いろいろな人に育てられたのだろう、と今になって思う。
さて、おいしい空豆。まずは「茹でて塩」だろうけど、オリーブオイルを含め油も合います。ミキサーでスープもおいしいし。今年は、もう一回ぐらいイケルかな。
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2 件のコメント:
店長殿は海原雄山のような方に出会ったのですなあ^^
そういう方が少なくなったので、旬のわからない料理屋が増えてしまったのでしょうなあ^^
空豆、今年は作りませんでしたが、来年は畑に蒔いてみようかなと思いました^^
では!~~ε=ε=ε=ε=┏( 菊・_・)┛
> サムライ菊の助 さん
そのお客さんは、海原雄山のように(?)大柄な人でしたが、子どものような人でもありました。無邪気な子どもが、「空豆がないの〜」と言って泣き出す代わりに怒ったように思います。ガキっぽいけど、今ぼくはその人のことを羨ましい、あやかりたいと思います。
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