2010年7月22日木曜日
クリームチーズ奴を食べながら
この間、その前はよく通るが一度も入ったことのないお蕎麦屋さんへ入った。この日はたまたまこの近くで用事があり、「こんなときは」とその暖簾をくぐった。「手打ち」とも書かれていない普通のお蕎麦屋さんだが、外観から何かがちょっと普通ではない感じがしていた。
入ると古い写真が何枚か掛かってて、創業何十年の老舗らしい。そして何より、店員さんの接客がとてもよかった。こういう「愛想のいいお店」って何か懐かしくもあり、最近は少なくなったなーって、つくづく思う。年取ったのかなぁ。
さて、メニューを見ると、「クリームチーズ奴」なんてのがあったので、最初に注文した。暑かったから、ビールと一緒。神亀がメニューにあったのが気になったが、4号瓶のみだったので、さすがに頼めなかった。でも4号瓶とはいえ、神亀を置いてるというのは普通じゃない。
で、「クリームチーズ奴」が出てきた。
大葉が敷かれた小鉢に蕎麦つゆ。その上に一口大にカットされたクリームチーズ。その上に糸がき(血合い部分なし)がこんもりのっている。箸で糸がきを少しつまんでクリームチーズに絡ませ、蕎麦つゆにチョンチョンしてパクッと食べた。スポンジの役割をした糸がきに蕎麦つゆが染みこんでいた。
オッケーです。ちょっと濃厚なクリームチーズに鰹の利いた蕎麦つゆがサッパリと感じる。糸がきがあってちょうどいい量の蕎麦つゆと一緒になる。また、醤油じゃなく、蕎麦つゆってところで「料理」な感じになっている気もする。ビールと一緒だったけど、神亀の方が合っただろう。
ところで、これを食べながら、20年以上前のことを突然思い出した。気温40℃は超えた北インドで、パニールに醤油をかけて食べたのを思い出したのだ。パニールとは、インド版カッテージチーズ。だから、いわば「パニール奴」だ。北インドの4月末、暑くて食欲がなかったとき、下宿仲間の日本人が、冷たいパニールに醤油をかけて、「冷や奴みたいでおいしいわよ」と食べさせてくれた。いつものマサラ味じゃなく、久々に口にする醤油で、さらに加熱もしないでそのまんま・・・・という食べ方に興奮し、猛暑も手伝って味が分からず、「すごい(特別な)ものを食べたー」という記憶だけある。パニールはクリームチーズよりアッサリしてる分、豆腐に近かっただろうに・・・・。
食べ物っていうのはスゴイと思う。この「クリームチーズ奴」を一口食べたら、普段はすっかり忘れている20年以上も前のことを、突然思い出すんだもの。その場所の雰囲気、また「パニール奴」を食べさせてくれた人の顔をハッキリと思い出した。
ビールがあと2〜3口になって、せいろを頼んだ。まもなくせいろが出てきたところで、「もう一枚」。私のよくやるパターンだ。ちょうど1枚目を食べ終わったところで2枚目登場・・・・ん〜、満腹。会計の際、店員さんに「せいろは大盛りもありますよ。ちょっと足りないかも知れませんが・・・」と笑顔でアドバイスされた。
「せいろは大盛りもありますよ」は、『2枚頼むより大盛りの方が安上がりですよ』の意味、また「ちょっと足りないかも知れませんが・・・」は、『2枚より1.5枚(大盛り)の方が少ないですが・・・』の意味なのは迷わず分かる。そのすがすがしい笑顔のアドバイスに、「はい」と答えて店を出た。
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