今年もドブロクの季節がやってきたぁ〜。
上の写真は、今朝の仕込みが終わった状態。三段仕込みの初添えが終わったところ。
何せ素人だから、一番雑菌が繁殖しにくい、一番寒いときが造りやすい。今ですね。プロの酒蔵でもこの時期が中心だが、素人に空調はない。すでに十数年続いていて、それなりの進歩もあるから、「素人じゃない」とおだてる知人もいるが、酒造りはそんなに甘くはない。いくら十数年進化をとげたドブロクも、市販の旨い酒にはとてもかなわない。でも、市販のおいしくない酒よりはおいしい。自分で造ると愛着も湧くから、そのせいもあろうが、やっぱりおいしくない酒よりはずっとおいしいと思う。
そして、ドブロクを造り始めてから何より思うことは、売ってる酒を飲むときの意識が変わることだ。
十数年前に、私はドブロクを造り始めたが、好みの酒を懸命に探し始めたのもちょうど同じ頃だった。自分でドブロクを造ると、酒を造っている人たちへ思いを馳せる。玄人さんが使う酒の原材料と素人が使うドブロクの原材料はどれひとつ同じものはないが、「米のデンプンを麹が糖化し酵母菌がアルコールと炭酸ガスを発生させる」という基本原理は一緒だから、ドブロク仕込んでるときも、「こういうとき、玄人さんはどうしてるんだろうなー」など、素人なりにいろいろ想像もする。そうすることで、酒やドブロクをよりじっくり味わうことになり、酒を飲むときの意識が変わる。そう思っている。
現代は、何でも「買う」ことが当たり前になってますね。便利って言えば便利だけれど、本当は、「自分で作る」がまずありきで、「自分で作れないもの」を「買う」ということだと思う。
何でも「買う」が当たり前の世界では、「自分で作る」イメージは存在しない。もし、少しでも「自分で作る」イメージが残っていれば、自分では作れないからこそ「買う」という気持ちになれる。それがあれば、同じものを買うんでも、謙虚になれるし、その商品の「ありがたみ」とともに自然と感謝の気持ちも湧くものだ。つまり私がドブロク造るのは、市販のお酒に敬意を表するためでもある。
ドブロクのススメ。
それは造る楽しみとともに、自分流のおいしいドブロクが飲める幸せだけじゃない。市販のお酒を飲んで、「あー、旨いな〜。このお酒(そして造り手)と同じ時を生きてて幸せだなー」としみじみ思えること。これら両方の幸せが故の、ススメなのです。
関連エントリ:
●natural salt cafe: 冬はドブロク(2010年1月29日)
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