この冬二度目の大雪に見舞われた東京。金曜日が降雪のピークで、上の写真はその翌日土曜日の東京・立川近郊だ。当日、私は電車で一駅の立川で待ち合わせしていたのだが、その電車が動かず、立川まで1時間歩いた。私だけでなく、多くの人が繋がって黙々と歩いていた。
歩道は雪で埋まってたので、車がほとんど走らない車道の轍(わだち)を歩く。ときどき私と逆方向に歩いている人とすれ違わねばならぬが、そんなときは、まずはお互いの靴を見る。私は長靴だから、相手が革靴だと私が積もった雪に除けて道を譲る。お互い長靴だと、年配の方や女性、子供には譲る。逆に、相手が長靴を履いた若い男性だと、譲ってもらう。立川まで歩いた1時間、そうした暗黙のルールが静かにキッチリ働いていて、微笑ましくも可笑しかった。
さて、それから2時間も経った頃だろうか、私は待ち合わせしていた人とようやく会えた。彼は札幌の人で、2日前に上京していた。
「東京は除雪車がないし、こうなっちゃうと大変です。しかし、(東京では)チリトリで雪かきしてるの見ました? スゴイですよね?」
と言うと、
「もうそれは、事件です。土産話が出来ました」
と応えた。
私は、学生のとき、スキー場で4シーズン(1〜2ヶ月ずつ)アルバイトをしていたことがあり、雪かきは雪国レベルの経験がある。「事件です」には思わず笑った。スコップがないのは分かる。ホームセンターでも売り切れなのも分かる。でも、同じ状況でも雪国の人は、決してチリトリでは雪かきしない。
では何でするか。たぶん、板きれなんかを探してきてやるだろうなー、と思う。そして、チリトリしかない場合は雪かきしないだろう。
「北海道の雪は、こんなベトベトじゃなくてサラサラ。まぁ、春先はこういうときもあるけど、ほんの短い間です」
何人もの北海道の人から聞いたことがあるフレーズだった。
雪国の人のささやかなプライドに触れた気がした。
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