さっき、先のエントリ、とりあえず3つの麹菌を読み返していて、ひとつ書きそびれたことに気がついた。それは「最近の黒麹」についてだ。先のエントリは、河内源一郎商店の池田社長のレクチャーを聴いて書いたものだが、その後、私は思った。「最近は“黒麹仕込み”と称した焼酎がたくさんあるよな。それって、“A. アワモリ(黒麹)”のことかな?」という疑問を持ったのだ。wikiってみると、「麹」のページに下記の記述があった。
「A. カワチ(白麹)」が使われるようになった後のこととして、
「河内源一郎商店二代目社長が白麹菌から更なる突然変異株を発見して新種の黒麹菌培養に成功する。昨今の焼酎ブームと相成り、黒麹焼酎が増えている。 泡盛黒麹と焼酎黒麹は、同じ属性だが種が違う為、学名も違う。遺伝的には、泡盛黒麹が祖、白麹が親、焼酎黒麹が子ともいえる。」
つまり、「最近の黒麹」は、「A. アワモリ(黒麹)」ともちろん近いが、異なる黒麹なのだ。話しがややこしくなってきたので、整理すると、上記wikiにあるとおり、順序として、「A. アワモリ(黒麹)」→「A. カワチ(白麹)」→「焼酎黒麹」となる。ここまで来ると、この「焼酎黒麹」の学名も知りたくなったが分からない。誰かおせーて。何しろ、「焼酎黒麹」も河内源一郎商店二代目社長が発見ということだから、現在の焼酎は、河内源一郎商店なくしては考えられない。
さて、前置きが長くなったが、きょうは、麹菌の味だ。
正直に言おう。私は、漠然と「麹は甘いもの」と思っていたが、「麹は甘いものもある」の方が正確だ。下は、先のエントリ冒頭の写真と同じもの。
そのレクチャーで配られた3種類の種麹菌。おさらいになるが、左から「黒麹(A. アワモリ)」、「白麹(A. カワチ)」、「黄麹(A. オリゼ)」。まずは、黒麹を一粒食べてすごく驚いた。酸っぱい。それもほんのりじゃなくしっかりと酸っぱい。米一粒だけなのに。黒麹の親戚でもある白麹、これも同様に酸っぱい。最後に、黄麹、これは私が知ってる甘さだった。
その酸味と甘味を舌の上に残したまま、講師である河内源一郎商店の池田社長の解説に耳を傾けることとなった。まず、酸っぱいのは、クエン酸とのことだ。レモンや梅干しの酸味だ。でも、泡盛や焼酎はちっとも酸っぱくない。それは、蒸留すると、アルコール・水は蒸発するが、クエン酸は母液(モロミ)に残るというのだ。つまり、クエン酸の沸点がアルコールや水より高いということだろう。そして何より、このクエン酸が、モロミの腐敗を防ぐのだ。連想するのは、日本酒のモロミの乳酸だ。生もと造りでは、乳酸菌が作る乳酸が腐敗を防ぎ、アルコール発酵へと繋げていく。速醸法では、乳酸自体をモロミに加えて腐敗を防ぐ。
焼酎用の黒麹や白麹は、デンプンを糖化する酵素だけでなく、クエン酸をも作り出すことによって、モロミの腐敗を防いでいるのだ。先のエントリでは、さらっと「泡盛のモロミが腐敗しない」と書いたが、それは「黄麹(A. オリゼ)」は作らないクエン酸を、「黒麹(A. アワモリ)」、「白麹(A. カワチ)」は作り出すからなのだ。そして、そのクエン酸は蒸留されると、モロミに残る。
そんな訳で、河内源一郎商店には「紅酢」という商品があるが、これは黒麹系の麹が作ったクエン酸の爽やかな酸味だ。通常の酢の酢酸の酸味とは違う。
もうひとつ。河内源一郎商店の池田社長のお話を聴いて驚いたことがあった。それはまたこの次。
2 件のコメント:
面白いですね、麹がすっぱいの知りませんでした!源一郎さんとこの酸っぱいクエン酸は麹のもやしづくりのときにできたもの、麹も自給の寺田本家さんのマイグルトは生もと造りのアレンジ製法だと思います。
> あまねさんへ
そうですね。寺田本家さんが麹も自給されているってことはとても大変なことだと思います。逆に言えば、だからこそ、もやし屋さんがいる。乳酸菌は、フリーな感じがしていいですね。
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