2015年5月15日金曜日

木更津の潮干狩り(本編)〜貝の固まりと網袋

さてさて、先のエントリの続き、木更津の潮干狩りだ。私は小学生のとき以来なのだけど、そのときの経験を覚えていて、それが役に立った。今も昔も変わらなかった。それがよかったか悪かったかは別にして。

先のエントリ冒頭の写真のように、あれだけの人が潮干狩りをしているのだ。アサリ・ハマグリは自生ではなく、当然のことながら、人の手で撒かれているだろう。潮干狩り場の干潟に入った私たちは、まずは足下の空気穴がポツポツ空いているところを熊手で掻く。誰もが掘ったような場所だ。これを続けていると確かにたまに捕れるのだけど、たくさん捕ろうとしたら、こんなことしてちゃダメだ。私は、カミさんと子供2人をもっともっと人が来てないような入口から遠くの場所へと誘う。でも、3人は、たまに出現するアサリが嬉しいので、私に文句を言う。「私たちを置いて一人で勝手に行くな」と。それでも私は一人でどんどん遠くへ行こうとする。「こんなところにいては、MAXの6キロは捕れないぜ」と一人でも私はどんどん進む。バスツアーなので時間が限られている。特に、この日は、何でもない日なら東京から1時間で着くところを3時間半かかっている。とまぁ、欲と隣り合わせのストレスを感じながらも、帰り時間は迫ってくる。

そして、ついに、到着した。撒いたであろうアサリ・ハマグリの場所。それが冒頭の写真だ。分かりますか。この固まり。熊手が置かれているあたり。

もしも私がここで貝を撒く仕事をしていたら、どうやって撒くか、想像してみる。それは、潮が満ちて干潟に十分な海水が満ちてから、船で移動しながら撒くだろう。撒くときは、アサリやハマグリを一粒ずつ撒いていたら日が暮れる。おそらく、バケツのようなものに一杯にして、水を撒くようにバサーバサーと撒くだろう。ということは、そのバケツ分のアサリが固まっている場所がある、ということになる。それが上の写真なんではなかろうかというのが私の推測だ。そして、ひとつの固まりを見つけると、その2〜3メートル先には、また別の固まりがあったりする。おそらく次に撒いたバケツ分の固まりだ。

もう少し写真をアップにしよう。
もう、貝と貝がくっついてギッシリと砂に埋まっている。こうなるともう探す必要はない。この場所を見つけたら、ただただ貝を網袋に入れ続ければいい。

でもね。
そもそも潮干狩りってこういうものだろうか?

たまたま、この固まりを見つけた隣合わせた家族のお父さんが、「おーい、こっち来いよ。いっぱいあるから。どんどん捕れるぞー」と興奮気味に娘さんを呼んでいた。すると、彼女は、「えー、パパ、この貝おかしいよ。こんなに固まりになってるハズないじゃない。気持ち悪いからこの貝捕るの止めようよ」。そう言われたお父さんは「そぉかー」とか言いながらしばし捕り続けた後、残念そうにその場を立ち去っていった。

んー、難しい。「この潮干狩り場の貝は、みんな人が撒いたもんだよ」と、わざわざ子供に言うのもねー。かと言って、せっかく来たのだから、捕れるだけ捕ったるぞーという気持ちにもなる。少数でも「見つけた感」を大事にするか、ガッツリ捕って充実するか。裕福系の家族は前者であり、貧乏系の家族は後者なのかな〜。

うちの子供たちも、その隣合わせた家族の娘さんのように、固まりに着くと、それまでたまに見つけてたときの「見つけた感」は完全に薄れ、砂遊びを始めたりしている。まー、「気持ち悪いから止めようよ」とまでは言わなかったし、貧乏系のカミさんと私は、ひたすら貝を捕りまくった。「何のために来たのか? 子供たちが潮干狩りしたいって言うからさ‥‥」と自問自答をしながら。それでも時は過ぎ、バスに帰る時間が迫り、計測場へと向かった。そしたら、何と計ったようにMAXピッタリの6キロ。ああ、貧乏系の満足感。下の写真はその一部。これで3キロぐらいかな。
そして、下の写真が、翌日自宅で砂抜き中の6キロのアサリ(と、少しのハマグリ)。塩はもちろん「カンホアの塩」。きっちり計って、海水と同じような3%の濃度にする。
活き活きと潮をピューピュー吹いてるアサリたちを見ていると、子供心が湧いてきて楽しくなる。似ているが、ひとつひとつ違う柄なところがたまらず、見ていて飽きない。まるで公園の鳩の群れのようだ。中にはカタツムリのように歩いてるアサリもいる。ちなみにこのステンレスのボウルは業務用で、直径70〜80センチほどある。一家族にとって6キロは大量だ。一家族だけで食べるなら、大きめの冷凍庫が必要になるだろう。我が家は、ここぞとばかりに、近所にお裾分け。連休中だったが、運よく、隣近所の多くが出掛けていなかった。もちろん生き物だ。今回はたまたま近所が在宅だったが、たくさん捕る気で潮干狩りに行くのなら、あらかじめお裾分け先に当たりをつけておいた方がいいかも知れないと思った。

そしてレアなハマグリはこれ。
こうしてじっくりと見てみると、「ハマグリ」は、「浜栗」から来てるのかと思った。よーく見ると形はアサリとは明らかに違い、栗のような形をしている。ご覧のとおり貝の柄もアサリとは異なる。また、ややスベスベした手触り。

さて、話しは潮干狩りだ。そう忘れちゃいけない、この6キロをクーラーボックスに移した後、海水を入れるのだ。カートがなく、15〜20キロぐらいになったクーラーボックスのベルトを肩に掛け、ひたすら高く長い橋を上り、歩いた。私は4〜5度は休憩したな。天気がいいのも考えものだと、汗をぬぐう。

ところで、橋を越えてからバスの駐車場への短い道の端で、地元の人たちが潮干狩りグッズを露店で売っていた。行きしなにもここを通ったのだが、そのときは、橋を越えたところの潮干狩り場の入口に、レンタルの熊手があって、捕った貝を入れる網袋も売っていると聞いていたので、この露店は素通りした。でも、その網袋がとってもオシャレだなと思った私は、潮干狩りが終わったこの帰りしなに、この店に立ち寄った。
上がそのオシャレな網袋の写真。左が、潮干狩り場入口で買ったもの。そして、右がその露店で買ったもの。どちらも同じく200円。右の方が断然しっかりしているのが写真でも分かると思う。私たちは左の華奢な方を実際に使ったのだが、貝で満たされた網袋は破けた。右のしっかりした方だったら破けなかったかも知れない。

で、どっちにしてもこのエンジ色の網は、昔はえらく普通に漁村にあったものだが、最近はとんと見かけない。また、その網に付けている竹を編んだ輪っかも趣がある。すっかり気に入った私は、店のオジさんにそのことを尋ねた。すると「そうなんだよ。これは昔使っていた網でね。今じゃ使ってない。で、この網袋は、(潮干狩り用に)特注で作ってもらってるんだよ」とのことだった。潮干狩りは終わったものの、こういうのを見つけると、どうしても買いたくなる。潮干狩りとは別の使い方を考えるのが好きだ。例えば、庭で摘んだハーブ類などをこれに入れて、ぶら下げておけば、うまく乾燥できそうだし、旅行用の小物入れにもいいかな‥‥、てなこと考えていたら、バスの出発時間が迫ってきた。バスの前で添乗員のお兄さんが手招きしてる。バスに急ぐ。

次は渋滞編。考えようによっては、ゴールデンウィーク中の木更津の潮干狩りは、これが一番のキモかも知れない。

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