梅干しの仕込みのクライマックス、「土用干し」。カンカン照りの下、3日間行うのが一般的だ。梅を天日干しするタイミングが土用の頃が適していると、そもそもこの名前がある。しかし、私が感じるに、ここ数年の土用の頃の天気が差ほどよくなく、土用干しに苦労している。私が住む東京でのことだ。
これまでの私の感覚では、7月20日から25日ぐらいの学校の夏休みが始まる頃、梅雨が明け、7月末から8月初旬ぐらいまでの間、カンカン照りの日が続くというものだった。概ねこの頃が暦の上で夏の土用と重なる。しかしここ数年、梅雨明けが滅法早くて、7月初め。その後2週間ぐらいカンカン照りが続いて、「え〜、こんなに早く梅雨が明けて、この夏は暑い日が長くなりそうだ」との心配とは裏腹に、その後は結構雨や曇りが多くてそんなに暑くならない。カンカン照りが何日も続くことがほとんどないので、なかなか土用干しが出来ない、または途切れ途切れの土用干しとなる。東京では、7月末から8月初めに大きな花火大会が多いが、雨の中の決行もしばしばだ。
土用干しが出来ない、または長くかかるということは、梅が瓶の中に漬かったままになる時間が長くなるということ。そうなると、カビの心配が増すこととなる。
・・・・という訳で。
今年2018年は、思い切って、7月上旬に梅雨が明けるとの予想の下、7月上旬に干す計画を立ててみた。つまりは、その前段階の梅の塩漬け、そして赤ジソ投入のタイミングを少し早めた、とういことだ。
先週金曜日、しっかり白梅酢が上がったところで、赤ジソを投入し、赤ジソと梅が梅酢にギリギリ浸かる程度の重石をした。その5日後の今朝の状態が、冒頭の写真だ。しっかり赤ジソの成分・色が梅酢に移っている。一週間後ぐらいに、土用前だが土用干しをする予定なので、完全に重石を外した。それが下の写真。
こうすると、ご覧のように、赤ジソと梅が梅酢の水面から出てしまうので、その箇所がカビのキッカケになりやすくなるのだが、重石がのった状態だと、梅と梅がくっついて、そのくっついたところに赤梅酢がしみ込みにくくなる。だから、去年から土用干し前の最後の一週間に限って、重石を外すことにしている。こうすると、梅に赤ジソの成分がしっかり染みこみ、真っ赤になる。
これで、「土用前の土用干し」の準備は整った。
去年の最後の一週間の「重石外し」、そして、今年の「土用前の土用干し」。今年で、18年目になる私の梅干し仕込みだが、毎年、いろいろと試してみたくなることがある。もちろん、その梅干しを食べるための仕込みなのだが、試したいことがあるので、止められないという側面もある。
ちなみに、今年2018年の(夏の)土用は、7月20日から8月6日。この「土用前の土用干し」を、何と呼べばいいのか? うまい言葉が見つからないので、ちょっと長いけど、「土用前の土用干し」と呼ぼうと思う。
今年は、一週間後(7月初旬)の梅雨明けを前提にここまで来たが、そうなるとも限らない。一週間後に、改めて報告のエントリを書きたいと思っている。
次エントリ:梅干し、土用前の土用干し(土用干し編) (2018年7月3日)
参考:正統派・梅干しレシピ | 天日海塩 カンホアの塩
3 件のコメント:
初めまして。
たくさんの有益な情報を大いに参考にさせて頂いております。
今年の経験なのですが、
土用干しの数日前にビニール袋の重石を外した途端に、
梅酢がかぶっていない部分は見事にカビが生えました・・・
焼酎や湯で洗いまくって天日干ししてみましたが、
残念ながらカビは消えませんでした。
ところがビニール袋の重石をしたままのほうはカビませんでした。
ビニール袋の重石は破れが怖くて敬遠していましたが、
梅にピタっと沿うのでちょうど密封状態のようになって
空気に触れにくい為、カビが生えにくいようです。
減塩13%。
土用干しの数日前にビニール袋の重石を外した途端、
梅酢に浸かっていない部分が見事にカビました。
ビニール袋の重石は破れが心配でしたが、
梅に隙間なく密着して空気に触れにくいので、
そのままにしたほうはカビが生えませんでした。
落下した完熟梅は熟させすぎるとズルズルになったり、
規格外の安い梅は熟しが足りなかったのか硬く仕上がったり、
梅干し作りは簡単なようで奥が深いものです・・。
今年得た経験を教訓に、来年に生かしてまた頑張ります。
ところで重石をしたまましそ漬けすると、確かに梅同士のくっついた部分が
染まりにくいですが、土用干しで家に取り込むたびにしそ梅酢に梅を
戻して翌朝また干すを繰り返すと、むらなくしっかり染まりました。
> 匿名さま
コメントに気づかず、お返事遅くなりました。失礼しました。
最初に、一番気になることから。ビニール袋について。
重石にしているビニール袋の中には「水」が入っているんですよね。
以前、私の知人が、同じようにビニール袋に水を入れた重石で梅を漬けてました。(重さを計るのにとても都合がいいですね)
その知人は普通に市販されているぐらいのあまり厚手でないビニール袋だったのですが、漬け始めて2〜3週間後だったと思います。
ビニール袋の中の水が染み出てきたのに気がつき、慌ててビニール袋重石を取りだし、川原へ行って重石を探しました。
ビニール袋は水を通します。例えば、ビニール袋に水を入れて、口を縛って吊しておくと、何日か後には水が滴ってきます。
梅酢は塩分が高いので、ちょうど浸透圧の実験のように、ビニール袋の中の水は外に(梅酢の方に)染み出るのではないかと推測します。
もちろん、ビニール袋の厚さや素材にもよって違いはあろうかと思います。確かに、梅に密着するので、密着部分はカビが生えないと思いますが、密着していない部分から水が染み出たとすると、その水分でそこにカビが生えやすい環境が生まれたかも知れないとも思います。(推測です)
余談ですが、「カンホアの塩」のサイトで、自家製・味噌レシピを載せてますが、その作り方の特徴はビニール袋を使うこと。味噌種を密封状態にして、カビを生えにくくするためです。原理としては共通点があります。
さて、カビ対策は、作業する前の手洗いと、容器や重石を使う前にしっかり熱湯消毒することが肝要と思います。またカビが生えやすいタイミングは、赤ジソを投入した後が一番です。(おそらく、赤ジソに、有用菌だけでなくカビ菌を含んだいろんな微生物が付いているのでしょう) したがって、熱湯消毒の他、赤ジソ投入後は、少なくとも2〜3日に一度はチェックして、もしも小さくてもカビが生え始めていたら、スプーンなどでとってしまうことが大事と思います。(早期発見) そして、もしもカビがひどくなってしまったときは、梅酢をコーヒーフィルターなどで濾過した後、火に掛けるといいと思います。(沸騰前まで) カビ菌は熱に弱いです。また、コーヒーフィルターでの濾過は結構時間がかかるので、気長に。
> 土用干しで家に取り込むたびにしそ梅酢に梅を
> 戻して翌朝また干すを繰り返すと、むらなくしっかり染まりました。
それはよかったです。
土用干し後に梅を梅酢に戻すと、より色・味濃くなりますね。
ただし、この場合は、梅が土用干しで乾燥した状態から梅酢を吸うことになるので、シットリタイプの梅干しになると思います。
毎年、条件は変化します。その変化の中で、あれやこれや考えながら仕込むのはとても楽しいものですよね。
その感覚が伝わってきて、嬉しく思います。また来年も、よろしくお願いします。
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