2020年8月21日金曜日

特別定額給付金で寄付

先日、特別定額給付金が出た。一人10万円。でまぁですね、何となくですが、私はその10万円がどうも気持ち悪い。もちろん、飲食店、観光・旅行関係、興業関係などなど、このCovid-19で売上や仕事が激減して、おカネに困った方が多くいらっしゃるので、この10万円は意味あるものです。しかし、私の場合はというと、仕事の業績は落ちてはいるものの、それらの方たちほどは金銭的に困っていない。そこに、10万円。何となく、国から「困ってんだろ、ほら、小遣いだよ。これで文句はなかろう」と言われてるように感じてしまった。小遣いもらった子供は嬉しいだろうが、大の大人の私は、嬉しいというより、変な気分だ。気持ち悪い。

Covid-19関連の情報収集に、私は、しばしば山中伸弥氏のwebサイトを見るのだが、5月だか6月だったか、特別定額給付金が決まった頃、山中氏がそのサイトに載せた医療関係の専門家の意見の中に、「10万円は、是非、医療機関へ寄付しましょう」という下りがあって、気持ち悪く思っていた私は、「そうだな」と思った。

特別定額給付金を含め、これだけ国がカネを使えば、いずれは増税という形で跳ね返ってくるだろう。10万円はそのときの資金として取っておくのが賢明なのかも知れない。また、借家住まいの我が家は特別裕福なわけでもなく、カミさんと子供二人の四人家族だが、私以外のお三方は寄付を考えてはいない。しかし、自分自身の10万円は、どう考えてみても、気持ち悪いことに変わりはない。

緊急事態宣言が発令された4月頃、私は「終息までどのくらいかかるのだろう?」と思いつつも「早ければ夏頃までかな?」と、今思えば楽観的に考えていた。(当時の山中氏のwebサイトには、「長期戦です」とあったにも関わらずです) でも、その夏も過ぎようとしている今は、「これは、長期戦だ」との思いにすっかり変わっている。きっと多くの人がそうだと思う。「ワクチンや治療薬が開発されるまで」との意見もあるが、それらが開発されたからといって、その後どのくらいで終息するのだろう。

よく「医療(健康)と経済を天秤にかけて」と言われる。休業補償などの経済面は、短期的なものだと思う。数年続けられるとは考えにくい。しかし、医療面は、Covid-19が続く限り行われないとならないものだ。だから、長くなれば長くなるほど、その天秤は、医療の方に傾いていくように思う。業種別に見た経済面の不公平さは確実にあるものの、いつまでもその不公平の是正に行政が注力することは難しく、徐々に何とか自分たちで考えなくてはならないことだ。そう考えると、私が寄付するとすれば、それは医療ではないかと思った。

私にとって、この場合の医療とは、特にPCR検査可能数を増やすことだ。現在は、すでに症状がある人など、保健所が検査を必要と判断した人しかPCR検査を受けられない。それもすぐには出来ず、検査と決まっても3日間待機させられたなどの話も聞く。さらに、多くの感染者が無症状・軽症という中、このままで感染を収束に向かわすのは難しいのではないかと思う。例えば、ひと頃、韓国が、町中にPCR検査センターを多数設置し、収束に向かわせたように、出来るだけ検査を多く行い、(隠れ含む)陽性者を出来るだけ把握すること。PCR検査の的中率は7割だからと揶揄する向きもあるが、現実的にPCR検査可能数が今の日本、特に感染者がダントツに多い東京に一番欠けていることなのではないだろうか。無論、PCR検査は医療従事者がリスクを抱えながら行うことなので、PCR検査数を増やすと、医療従事者の負担も増す。この手のことは先述の山中伸弥氏のwebサイトでも、しばしば指摘されていることでもある。

それで、いざ、医療へ寄付と思ったものの、こういった自分の思いをのせられるような具体的な寄付先は、簡単には見つからなかった。

まず思いついたのは、私が住む東京都昭島市だった。無策な国のカネ(10万円)を地元に回すイメージだ。が、Covid-19医療の中心は、主に東京都管轄の保健所で、昭島市には、私が希望する医療に絞った寄付の受け皿はなく、いわゆる「ふるさと納税」になるとのことだった。Covid-19医療とは指定できない「ふるさと納税」ではパッとしない。それを知った当時、昭島市(人口約12万人)の感染者数は、10人ぐらいだったか。市議会議員にも相談したが、このぐらいの感染者数だと医療というよりは地元経済という感覚だ。「PCR検査センターの設置」なんて遠い話。また、東京都管轄の保健所がCovid-19医療をコントロールしているのだから、わざわざ市がしゃしゃり出る必要もない面もある。しかし、私は、市独自に動いたっていいと思っていた。(今でも) 感染者が少ないからこそ動きやすいということもあるはずで、それが感染拡大を抑えると。(ちょうどこの頃、感染者数が多い東京都世田谷区は、区独自に「誰でも いつでも 何度でも(PCR検査)」の検討を始めたという報道があった)

そして東京都には、医療面に絞ったその受け皿があった。


8月10日現在で、寄付合計は、3,763件、843,054,527円とある。
(マスコミには、こういうことも気張って報道して欲しいと思う)

自分たちが払った税金からとは言え、国から出た10万円を、地元の医療に回すことは自分の意に合っている。それは、東京都でもあるが、昭島市の方がより身近なのだが、受け皿がない。「これは、東京都へだな」と思っていた今月初め頃、昭島市の広報誌(8月1日・15日合併号)にあったのが、下の囲み記事。


これには、医療面の「感染拡大の防止や、医療従事者の皆さんへの支援」だけでなく、経済面の「新型コロナウイルスの影響を受けた市民生活・ 地域経済への支援など支援」もあったが、同じ号の「市長メッセージ」に、下記があったのも目に付いた。

<以下、抜粋>
また、市におけるPCR検査体制につきましては、6月1日に医療機関と協定を締結し たところであります。更には、今後の感染拡大に備えて医療機関との連携を強化し、市民の皆様が速やかに検査を受けられる体制を整えております。

「まずは医療」と思っている私だが、この基金の設立と「市長メッセージ」で、“合わせ一本”という気持ちになり、昭島市に10万円寄付をした。

そして、その直後、8月12日付けで、昭島市は、「新型コロナウイルス感染症に関する検査実施体制を整えました」と発表があった。

それによると、「これまでのように保健所の指示を受ける手続きなどが省略され、検査を受けることができます」とある。最初は、市内の内科医の受診が必要で、その医師が「新型コロナウイルス感染症に関する検査を受ける必要があると判断した場合は、その医療機関が協定医療機関に連絡し、検査を予約します」とある。

アイデアのない国に、タラタラ不満を言ってても、猛暑がさらに暑くなるだけだ。
「富裕層の方々、こういった非常時に受け取らない人もいるんじゃないか」、「10万円、私はもらわない」などと言ってた人もいた。

この寄付で、すごく遠回しながら、私は少し、自分の思いが通じたような気がした。

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