「ずっと地球で暮らそう。」
これを見て、「えー、いつか地球で暮らせない日が来るの?」と少し怖くなった。おそらくガソリンスタンド側の意図としては、ずっと地球で暮らすために、地球環境を大事にしましょう、といったことだと思う。または、ガソリンを供給するその会社は、地球の環境問題に取り組んでいます、という主張も含まれているのかも知れない。さて、私はこのシャッターを見て、数年前に読んだ本を思い出した。 私は生命誕生の謎についてはとても興味があるので、この本を手に取った。しかし、一番印象に残っているのは、「火星に移住するとしたら」の章だった。この対談スタイルの本で、そのひとりの著者・高井研氏が、宇宙飛行士の若田光一さんとかつて直接話をした機会があり、「なるほどな」と納得したと書かれている。その若田さんの話とは以下。
「いつか地球に小惑星が衝突するといったカタストロフィー(破滅的危機)が訪れたとき、人類という種が生き残るためには地球外惑星への移住しかない。有人探査を行う理由の一つはそのための基盤技術を構築するためです」
高井氏は、上記の若田さんの話を聞いたときのことを、下記のように書いている。
「人類が生き残るためには、そうした事態まで想定しておかなければいけない。有人を含めた宇宙探査は、単なる夢とロマンと科学技術の進歩だけではないということを悟りましたね。」
つまり宇宙開発の目的は、(漠然とした)夢、ロマン、科学技術の進歩だけでなく、「人類という種が生き残るため」という極めて重大な「実用性」があるんだという主張だと思う。そしてその実用化のために、今は少しずつでも、「基盤技術を構築する」必要があると。
ちなみに、移住先が火星と仮定されている理由は、比較的地球から近く、水や二酸化炭素がありそうな条件も他の近場の惑星に比べると、環境的にも地球に近いからということだ。
将来、仮に火星移住が現実的になったとする。そして仮に若田さんが例に挙げたような、小惑星の地球衝突が、その100年後に起こると予測が出来たとする。この場合、時間をかけて徐々にでも、火星に移住なんてことがあるのか? あると仮定した場合、いったい何人が火星へ移住するのだろうか? または出来るのだろうか? 仮に、1000人が移住する場合、その1000人をどうやって決めるのか? 技術的・経験的に、宇宙開発の研究者が多く移住ということになるのか? まさか途方もない大金を積んだ者だけが火星へ移住出来るなんてことが起こるんだろうか? 様々な疑問が湧いてくる。
あるとしてもそれはずっと先のことで私は生きてないだろうが、もしも小惑星の地球衝突前に、ある程度の安全性が保証された火星移住の一般募集があった場合、私は手を挙げるだろうか? 挙げないとすると、それは小惑星の衝突を地球で待つことになる。その「衝突までを待っている時間」とは、いったいどんなものなのだろう?
「ずっと地球で暮らそう。」
地球で人類が暮らせなくなる原因は、環境問題だけに限らず、核戦争や小惑星(または大惑星)の衝突などがあるにはある。その衝突で地球が木っ端微塵にならなくても、地軸が変わって、大きな環境の変化が起こるだろう。その地球で、何とか生きる術を見つけようと努力することしか私には想像出来ない。または、その末に死んでしまうのならそれはそれで仕方ないとも思える。
いずれかの理由で、人類という種が絶滅する場合、微生物を含む全ての生物が絶滅するようなことは考えにくい。そしてそこからまた新たな進化が始まる。その進化が進む先に、人類のような生物が果たして生まれてくるのだろうか。
1 件のコメント:
ですよね。
火星のテラフォーミングだ、月開発だといってますけど、下条さんのおっしゃる通りと思ってます。
火星や月にはそれぞれ、自然環境があります。環境を変えようとすると、それをもとの自然に戻そうとする力がはたらきます。人が住める環境に作り変えると思うのは、まさに思い上がりでしかないですね。自然のしっぺ返しは決定的に帰ってくるもの。
ちょうど地球で起こってる温暖化とおなじでしょう。この先起こるであろう、地球のしっぺ返しとどう向き合うかという、最も身近なお題にどうこたえられるか。それこそが、火星移住ができるか否かの答えです。
火星移住ができたとして、地球人と火星人との利害のぶつかり合いで、宇宙戦争が起きるようなことになるんでしょうね。その場合、ダースベイダーはどちらになるんでしょうか。まったくばかばかしいとしか言えません。
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