2009年8月10日月曜日

真夏の夜の酒


暑い。
こう暑い日が続くと、胃腸も疲れ気味になるのが分かる。ビールが進む、ということもあるが、どうもそれだけでは心身共に落ち着かない。そんな真夏の夜の、私の密かな楽しい時間は、就寝前の15分にある。家族が寝静まった、だいたい夜10時前後。洗濯機のタイマーを翌朝にセットし、歯も磨いた後だ。

築40年は楽に越えてる愛すべき我が文化住宅的借家には、自作の月見台がある。畳2枚弱の、板張りの小さなスペースにちゃぶ台を置き、60ワットの電球にスイッチを入れる。それまで意識の向かなかった虫の音が響き始め、遠音に電車の音がときどき聞こえる。その音源の多摩川にかかる鉄橋は2kmほど離れているが、この時間になると風向き次第で聞こえてくる。まさに静寂を演出する音だ。これに少しの風がそよぎ、風鈴がちょっと音を立ててくれば「とてもいい夜」になる。隣の家の夫婦喧嘩もご愛嬌、と思っていたら・・・おっと〜、蚊取り線香つけるの忘れてた。

さて、ここでの主役は、酒だ。肴は雰囲気だけでいい。冬場はここで酒を飲むことはないが、春秋は焼酎・ウィスキー・ブランデーなど蒸留酒を主にストレートで味わう。コテっと寝る前の一杯だ。しかし、この2〜3年の夏場は胃腸の疲れを考えて、日本酒を飲むことが多い。酒は秋から春までのお燗もいいが、こんな真夏の夜は、涼しめのときで常温、暑いときはロックにしたり(上の写真)、疲れているときはさらにソーダで割ったりする。

私は、普段から酒は純米酒しか飲まないが、特にこうして氷やソーダで薄まるときは味のシッカリした純米酒がいい。いや、そうでないとダメだ。上品な端麗タイプやいわゆる「きれいなお酒」は、たとえ純米酒であってもこの飲み方にはそぐわない。純米吟醸は芳しいが、食中はかえってただの純米酒かせいぜい特別純米止まりの方が、食べ物とのバランスがよく、食が進む。だから、普段純米吟醸はあまり買い置きしない。したがって、こうして一人静かに酒を楽しむときも特別純米止まりになる。純米酒だって香りがない訳じゃない。こういうときはかえってその微妙な香りがいとおしく思えたりもするものだ。

これを書いてて、「たまにはこの時間のために、純米吟醸を1本買ってみるか」と思い立った。あまり買わないので、酒屋さんで迷いそうだ。そんなこと思ってたら長い針が下を向いている。おやすみなさーい。

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