2010年7月16日金曜日
愛着のコスト
4年前にホンダのモビリオという車を中古で買って乗っている。ホンダの車はこれが初めてだけど、結構気に入ってるんです。1500ccにしては走りは満足、車内は広めで荷物も結構積める、燃費もいい(長距離15〜16km、街中12kmぐらい)。いざとなると何と7人乗れる(1500ccだけどね)。そして、ヨーロッパの路面電車が元というデザインも、そう言われるとそんな気がするところがいい。
半年ぐらい前、この車の運転席ハンドルの右側にあるドリンクホルダーが壊れた。ドリンクホルダーとは、500ccぐらいのペットボトルや缶コーヒーなどを置いとくところ。引き出し式になっていて、不要なときはしまっておける、まぁちょっとした内装グッズだ。下の写真は、ボトルなどを支えるその部品。結構チャチに出来ている。壊れたのは、このチャチな部品を支えるプラスチック部が0.5mmほど欠けたため、この部品を支えられなくなったからだった。
この部品が外れるようになったのが半年前、その後は、ボトルをそお〜っと置くなどして、だましだまし使っていたが、2週間ほど前、ついにその「だまし」も通用しなくなり、完全に使えなくなった。そこで、1週間前、私は自宅近所のホンダへ行って、このドリンクホルダーの修理の見積もりを出してもらった。そして、驚いた。
部品代:3,003円
技術料:28,350円
合計: 31,353円
この麦茶なんかをちょっと置くプラスチックの部品の交換に、3万円以上かかるのだ。いくらなんでも高けーだろー。この見積もりを見て私は即座に「これ、あまりにも高くないですか?」と言った。担当者は、「おっしゃるとおりですね。私も高くてビックリしました」なんて言う。「この修理(部品交換)は、運転席側からではなく、パネルの裏側から行うので手間がかかってしまう」らしい。このままでは埒があかないと思い、その見積もりをいったん受け取って帰宅し、ホンダのサイトから、本田技研工業株式会社(お客様相談センター)へ、メールを送った。
「こんな日常的に使う部分にもかかわらず、部品のプラスチックは華奢(きゃしゃ)な作り。さらにそんな壊れやすい箇所の修理をパネルの裏から行うようになっていて、部品代3000円の修理に工賃3万円なんてどう考えても高すぎる。これは明らかに設計の段階のミスだと思います。不当に高いこの工賃、何とかなりませんか?」という内容。
2日後、返事が来た。そのまま引用する。
「モビリオのご愛用有難う御座います。このたび、カップ(ドリンク)ホルダーの交換に付きまして大変ご迷惑をお掛けしております。カップホルダーの見積もりに付きまして、部品代より工賃がはるかに高いとのお話、大変申し訳御座いません、カップホルダーの取り付けがインストルメントパネルの裏側から、ビス止めになっている為交換に工数で3,1時間も掛かるために、料金も掛かってしまい、申し訳御座いません。○○様のご意見に付きましては、関係部門に打ち上げさせて頂きます。宜しくお願いいたします。」
このメールの署名欄に電話番号があったので、すぐに電話した。「工賃が不当に高いという理由で、それが少しでも安くなることはあり得ますか?」
「ありません」
「分かりました。同じ状況に陥ったモビリオのオーナーの多くは、簡単に取り付けられるホルダーをオートバックスなどで購入すると思います。でも、私はなるべく長くこの車に乗り続けたいと思っているので、簡単にオートバックスにという気持ちになりません。だから3万円出してでもしっかり修理しようか考慮中です。少なくとも、こんな設計は二度としないように技術の部署に伝えてください」と最後のセリフを残し、電話を切った。ちなみにモビリオは、2008年に生産終了になっている。
私の乗ってるモビリオは7年前のものだから、その車自体、もうかなり減っている。今、28,000円の工賃を半額にするだけで、ホンダの車に乗り続ける人が減らなければ、「(ホンダにとって)それほど多くの出費にもならず、それなりに意味のあること」ということにならないかな・・・・という淡い期待があってホンダにメールを出した。が、全然ダメでしたー。同じようなことがトヨタであったらどんなだったかなぁ〜。リコールなんて程じゃない、1〜2万円ぐらいのことなんだけどなー。こういう些細なことって金額的にはたいしたことなくても大事なことだと思うんだけどなー。 考えようによっては、「1〜2万円で、もう一台、車が売れる」。
「28,000円は、おっしゃるようにあまりに高いです。まだご不満はおありでしょうが、今回の修理の工賃は半額の14,000円にさせて頂きます。大変失礼いたしました」なんて言われたら、「次もホンダにしよう」って思うだろうなー。金額じゃない、大手自動車メーカーが、そのぐらいの柔軟性があることに「1票」なのだ。
3万円出してキッチリ直すかな〜、さっとオートバックス行こうかな〜・・・・まだ考え中だ。
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4 件のコメント:
アフターケアについては、大手でも企業によってまったく対応が異なりおもしろい(?)ですね。
ホンダの対応は、意外に感じます。今回の下条さんのご意見はメーカーにとって有益なものですので、半額、いやいやえいやーっと無料!で修理いたすます、、、でもいいくらい。
ウチは自動車メーカーとはあまり縁がないのですが、、、、おもちゃメーカーではバンダイはクレーム対応早いし、ちょっと感動的なほどお客様本位、、、、と感じたことが何回かありました。この辺はいずれまた(別にバンダイの味方ではないのですが、、、、)。
> 鈴木 雄さん
鈴木さんが、ホンダのお客様センターにいてくれたらよかったのにー。
少しホンダの立場になると、今回の場合、「いいか悪いか?」または「安全か危険か?」というより、「3万円が適当か、高すぎるか?」ということが焦点だと思うので、かえって微妙さ難しさがあるんだと思います。
3万円、明らかに高いと思ってますが。
この事象と全く同じ経験者です。
①まず、ドリンクホルダーが簡単に壊れる事。使う人はかなりの率で同じ個所破損で他社では聞いた事が無い。
②フロント側で使う物を裏止めしている無神経な設計。設計者失格レベルでその設計能力があったのか疑問。
③自社設計がまずかったのに、交換に手間が掛かるとの理由での高額な工賃。クレームしても無対応。
交換し難いものであれば、せめて簡単に壊れないように設計・製造すべきであり、その意識が感じられない。
こんな部品に限って交換すると、こっそり補強されていたりするのです。
以前、N社でドアロック用ワイヤーの固定部分がプラスチックで簡単に破損→交換品は同じ部分が金属製。
同じモビリオのエンジンマウント(振動吸収のゴム)のゴムが切れて振動→交換部品には前方向へ規制ゴムが追加。
何て事も有ましたけど・・・。
安全に直接関わらないのでリコールにもなりませんけど、明らかに「欠陥」ですね。
> 匿名さん
書き込み、ありがとうございます。
「同じモビリオのエンジンマウント(振動吸収のゴム)のゴムが切れて・・・・」は、私も経験済みです。
世の中、どんどん豊か(?)になってくると世知辛さも比例する、ということの一例なんでしょうか。ドリンクホルダーにしてもエンジンマウントのゴムにしても、安全性に直接関わらない「欠陥」は、「欠陥」として認める価値がないというふうに受け止められているようにも感じます。
本田宗一郎氏なら、どう思うのだろう? とふと考えます。
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