2013年10月8日火曜日
「想いやり生乳」と母乳
2週間ほど前、知人宅にて偶然、ある生乳の生産者の方とお昼ご飯を一緒に食べながら、お話しをする機会があった。その方は、想いやりファームの長谷川さん。私はド素人な質問をいくつもしたが、それらにとても的確に答えて頂いただけでなく、妙なる生乳についての話を聞いたのだった。そして、すっかりと「その生乳、まずは飲まなきゃ」という気持ちになった。
実はその知人宅の冷蔵庫にも、その「想いやり生乳」があり、「持って来ようか?」とお誘いを受けたのだが、きくまでもなく高価なもののように思えたので、その場では遠慮し、その数日後、仲間と一緒に取り寄せて飲んだ。
スゴイ牛乳だった。
いや、「牛乳」ではなく、「生乳(せいにゅう)」と呼ばなくてはならない。
「生乳」それはつまり、牛から絞ったままの生(なま)の乳で、加熱などの殺菌もされていない。長谷川さんには、その牧場の話、工場の話、もちろん牛乳や生乳の話。いろいろ聞いて驚いたのだが、一番驚いたのは、それらの話しを聞いた数日後にそれを飲んだとき。衝撃的でさえあった。ややその興奮がまだ残ってさえいる。なので、いろいろな説明に先だって、まずは飲んで感じたことをこのエントリで書いてみたーい。
その名は、「想いやり生乳」。ちょっと上の写真では見にくいが、ピンク地に白抜きの文字で、「想いやり生乳」。そして、右側のビン、ウラ面には「生乳(無殺菌)」と記されている。
1本(180cc)を、家族4人で分けて飲んだ。1本525円(送料別)なので、貧乏くさいが、チビチビ飲んだ。チビチビと、心して飲んだ。
さーて、私のひと口目。
最初に「えっ?」って感じ。この「えっ?」は、意表を突かれた「えっ?」だ。うかつにも私は牛乳を口にしたつもりだったのだ。なので私は「別のモノ」を口にしたような感覚に陥った。そう、これは(加熱殺菌された)牛乳ではなく、「生乳」であり、その両者は「別のモノ」なのだ。私は動揺した。
少し冷静さを取り戻して、ふた口目。
感じたというか思い出したのは、「母乳」だった。「あっ、母乳だ」と思った瞬間、口に入ったその生乳は少しずつ、体液のように身体の隅々に染み込んでいくようだった。スゴイ。何だこのスムーズさは。
それは数年前のこと。うちの子どもが毎日ゴクゴク母乳をむさぼるように飲んでるのを見ていて、「母乳ってどんな味がするんだろ? うまいのかな?」と思ったことがあった。数年前のことながら、その記憶はまだハッキリとある。カミさんに頼んで、10ccほどコップに絞り出してもらった母乳は、半透明からやや薄めの乳白色だった。そのときの私の先入観として、粉ミルクと牛乳があった。ひと口目を飲んだときは、「えっ(何だコレ)?」って感じで、少し冷静になったふた口目は、身体の隅々に染み込んでいくようだった。母乳と粉ミルクはずいぶん違うことを実感した。
さて、もうお気づきと思います。最初の「えっ?」にしても、その味自体にしても、「想いやり生乳」と母乳は酷似している。強いて違いを言えば、人間の母乳の方が若干甘かったことぐらいだ。ちなみに粉ミルクはもっと甘い。
そのへんの微妙な違いについて、カミさんに尋ねると、
「母乳って毎日味が変わるのよ。これ(想いやり生乳)は母乳(または母親)が、いい(健康的な)状態のときの味がするなー」
「へぇ〜」と、関心する私。
でまぁ、ですね・・・・。
まだ飲んだことのない人にとって、それが「おいしいのかどうか?」、きっと興味あるところと思います。でも、どーも私には、それを一口では言えないのです。奥歯にモノが挟まった言い方だけど、それは「いい状態の母乳」とまで言うカミさんも同じような感想だった。
「おいしい」とか「おいしくない」とかいうのではなく、体液を摂ってそれが身体に染み込んでいってるように感じたのです。飲物という感覚だと、「おいしい・まずい」みたいなことがあると思うのだけど、飲物というより、「栄養」って感じなのです。通常の食品・飲物は、消化器官が消化し、やがてそれが身体の栄養になるが、これは直接身体の栄養になっている感じ、と言ったら伝わるかな。何しろ「おいしい」という表現ではどーもピタっとこない。やっぱり私の感想は、「スゴイ」が一番ピッタリなのだ。
こういうときは、子どもです。アレコレ言わない子どもです。うちの二人の子どもに、50ccぐらい飲んでもらい感想をきいてみた。9歳の女子とは6歳の男子。お姉ちゃんの方は、「嫌じゃないけど、もう要らない」。そして、弟の方は、「おいしい! もっとないの?」。ずいぶん違う反応だ。その違いは何だろう?
何しろ、私はこの「想いやり生乳」を50ccほど飲んで、新たな経験をした気になった。高価だけど、この味を、ガブガブ飲む気にはならない。高価な珍味のように、週に一度、100ccぐらいを飲めば、身体には十分なような気もしている。
でも、それは、私が1本525円という値段にビビッて、余計な緊張があっただけなのか。何しろ、まだ50ccしか飲んでない。我が家の冷蔵庫には、あと2本眠っている。この次は、もっとリラックスして飲めるだろう。そう、取り寄せてからもう10日以上経つのだけど、この「想いやり生乳」は悪くならない(腐敗しない)。「無殺菌」なのは、腐らせる菌がいないからなのだ。
ここまで書いたが、まだ書きたいことが残っている。「想いやり生乳」を飲んで、私の中のいろいろなことが思い起こされた。それらを改めて書きたいと思う。
★関連エントリ: しゃぶりつき生乳(2013年10月18日)
★関連エントリ: 「乳を飲む」ということ(2013年11月11日)
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