塩を作って販売していると、当然のことながら、作り方の問合せがあります。でも、現実的に問合せで多いのは、塩の保存方法について。飲食店などお店をやってる方から一般家庭の方まで幅広い方々からあります。
そして、塩は腐らないので、保存方法とは、「出来るだけ湿気らない方法は?」ということになります。
結論を言うと、出来るだけ塩を湿気らなくするためには、密封することです。塩は大概、ポリ袋に入っているので、例えば、開封後、その開口部を縛ったり、輪ゴムで止めたり、ガムテープで止めたりなどでもいいでしょうし、密封出来る容器に移し替えるのもいいでしょう。
日本は海に囲まれているせいで、概ね湿気が高い。そしてキッチンは比較的湿気が高いもの。だから、密封しないと、概ね湿気る方向に進みます。湿気てしまったら、乾燥した天気のいい日を選んで、紙の上などで天日に干せば、乾燥する方向に進みます。
私が作る「カンホアの塩」、特に【石臼挽き】は、とても湿気やすい塩です。それは海水に含まれている湿気やすい成分が多く含まれているからです。しかし、その方がおいしい。つまり湿気にくさよりも、味優先で作っているので、どうしても湿気やすいということになってしまいます。このへんの話は、また別の機会に。きょうは、「出来るだけ湿気らない方法は?」について。それも一般家庭で。ということを書きたいと思います。
「出来るだけ湿気らない方法は、密封すること」ではあるものの、一般家庭でも毎日、毎食の食事の料理の際に使うとなると、その度ごとに、その密封を解かなくてはなりません。だから、あんまりしっかりと密封すると、塩は湿気りにくくなるものの、使いにくくもなるというジレンマに陥ります。このへんが、一番のキモですね。つまり、
使いやすくて、密閉性の高い容器はどんなものか?
ということがきょうの話の中心になります。
また、ある程度多い量を引出しや戸棚の奥の方に仕舞っておきつつ、キッチンの取り出しやすいところに、小出しに出しながら使うということにもなりましょう。その場合は、一度に小出しに出す量と仕舞っておく量の、バランスも大事になります。つまりは、その容器のサイズもポイントになります。
さて、理屈はこのへんまでにして、実際に一般家庭である我が家の場合を例にとって、具体的に説明したいと思います。で、冒頭の写真にあるのが、現在我が家で使っている塩の容器2つです。右側の黒いフタのが「カンホアの塩」の【石臼挽き】用。左側が【石窯 焼き塩】用。「カンホアの塩」には、もうひとつ【結晶のまま】というのもありますが、これは使う頻度が低いので、チャック付きスタンドパックに入ったまま引出しの中に仕舞ってあります。フタを取ったところが下の写真です。
最初に(本体の)素材から。
容器本体の素材は、どちらもガラス製。金属類(ステンレス含む)は錆びるので御法度です。ホーローは割れないし、いいと思いますが、ちょっとでも剥げるとそこから錆びます。また、釉薬はガラスのようなものなので、陶器類もいいでしょうが、概してガラスより厚い分、重くなります。素焼きはカッコいいなと、使ったことがありますが、塩分を含んだ水分が徐々に浸透して、1〜2年で突然割れたことがありました。プラスチック類は、錆びないし、形・サイズは豊富だし、密封もしやすく、安価なのでいいのですが、どうしてもプラスチック臭がするので、避けてます。塩は他に類を見ない、無臭の食品なので、臭いは目立ちます。それはポリ袋も一緒なので、出来たら買ってきたポリ袋入りの塩は、ガラス製などの容器に移すのがオススメです。
次に容量。
写真の容器の容量(入る塩の量)は、【石臼挽き】用が200gほど(冒頭の写真をよく見ると容器に「200」の文字あり)。【石窯 焼き塩】用が50gほど。容量は、用途とも関係するので、少し用途の話を絡めます。【石臼挽き】は主に溶かして使う用で、用途が広い。一方、【石窯 焼き塩】は、振り塩用で、【石臼挽き】ほど使いませんが、食卓にもときどき持っていく。200gと50gですが、使い切るのはどちらも1〜2週間。したがって、1〜2週間おきに、容器は空になり、洗って乾かしてから、新たに容器に補充しています。「カンホアの塩」は、【石臼挽き】が500g入り、【石窯 焼き塩】が100g入りを使うので、どちらも一ヶ月足らずでひと袋を使い切ることになります。容器に補充をスタンバってる【石臼挽き】500gは、開封部をたたんで輪ゴムで止め、【石窯 焼き塩】100g(ジッパー付きスタンドパック入り)は、ジッパーを閉めて、引出しに仕舞ってあります。無論、容器が大きければ大きいほど、塩は湿気りやすくなりがち。とは言え、あんまり頻繁に補充するのも面倒なもの。そこをどう折り合いをつけていくかがポイントですね。そのためには、その人(その家庭)が日々使う塩の量を大ざっぱに把握することが大切です。
もちろん、多く使うときは例外で、【石臼挽き】は、梅干し・味噌含め漬物などのとき、また【石窯 焼き塩】は、数人以上のバーベキューなどのとき。そういうときは、「カンホアの塩」の袋から直接使います。
そして、とても大事な容器のフタ。
フタは、極めて重要です。先述のとおり、「開け閉めのしやすさ」と「気密性」に直接影響しますし、そのバランスが大事です。大概、「開け閉めしやすい」は「気密性」に欠けることが多いので、この2点は反駁した要素です。だから現実的に、普段使いでストレスのない「開け閉めのしやすさ」と、一定以上の「気密性」を求めることになります。
フタについて、より具体的に。まずは、写真の【石臼挽き】用から。
この黒いフタは、写真では分かりませんが、実はシリコン製で、フニャフニャ。(白いフタのもあります) だから、開け閉めがとっても楽チン。これを購入した雑貨店の人の話では、手の力が弱くなった高齢者向けの商品とのこと。いやいや、開け閉めにストレスが全くないと言っていいほどのフタなので、手の力がある人にとっても、すばらしい商品だと思います。シリコンなので、プラスチックのような臭いもないし、パッキンほどではないにしろ、気密性も欲しい以上はある。容量も含め、私は大変気に入っています。フタのウラを見ると、「MEISTER HAND」となってます。
次に【石窯 焼き塩】用。
このガラス製のフタには、ポリのパッキンが付いてます。【石臼挽き】は、元々ある程度湿気がありますが(水分約6%)、【石窯 焼き塩】はほとんど水分がなく(水分1%以下)サラサラ。振り塩用なので、【石臼挽き】よりも、湿気させたくない。なので、ポリのパッキン付きを使っています。実は、この容器、200円ぐらい。百均ではないのですが、ちょっとシャレオツな雑貨屋さんで見つけました。パッキンがやや粗悪なのだけど、その粗悪さがちょどよく、開け閉めがしやすくて気に入っています。
最後に形。
一度に使う量が多い【石臼挽き】の口は広い。直径8cmほど。これだと、一度に5本の指が入って、ひとつまみ(一握り?)で多くも取れます。一方、【石窯 焼き塩】の口は、直径4.5cm。これだと、5本の指は入りませんが、親指と人差し指だけなら十分に入ります。私は男性で、手は大きい方ですが入ります。【石窯 焼き塩】は振り塩用なので、少量ずつ使うことが多く、このぐらいがちょうどいい。たくさん振り塩をするときは、容器を傾け、手の平にワッと出して使えばいいだけ。【石窯 焼き塩】はサラサラなので、難なく手の平に出せます。
また、料理レシピでは、「小さじ1/2」などとありますが、普段の料理では、自分の指の感覚で塩の量を身に付けてしまうことは、大事だと思っています。
以上、ご参考になれば、幸いです。
追伸:
「塩の保存方法と容器(その2)」(2021年3月22日)にて、その時点の、具体的な最新情報(ダイソー)があります。
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