この2〜3年、ステテコがブームみたいだ。昔は、ステテコと言えば白しかなくて、オッサンの専売特許だったけど、今どきのは、いろんな色柄などあってオッシャレ〜になってる。
夏の日に、オッサンが真っ白なステテコに前ボタンの薄手の丸首シャツ、ときにはらくだの腹巻き姿で、ウチワであおぎながら、軒下の長椅子で将棋を指してる・・・・なんて光景が昔は本当にあった。あのオッサンの「余計なことを気にしない(洗練された)」自由な姿はよかったなー。暑いときは涼しい格好をする。とてもシンプルだ。ただ、「余計なことを気にする」お年頃(二十歳頃)の私は、ステテコを部屋着としてこっそり愛用していた。涼しかったし、色はともかくとして(白しかないので)、デザインも好きだった。ただ、それで外に出るまではしなかった。
そして、10年ほど前の夏の日、ステテコがこんなブームになる前、私は忘れかけてたステテコを思い出し、近所の(東京郊外の)ホームセンターで探したことがあった。後から思えば、昔ながらの洋品屋さんだったらあったかも知れないが、ホームセンターではなかった。と、ちょうどそのとき、田舎に住む、カミさんのお父さんと電話で話す機会があったので、思わずきいてみた。
「最近、ステテコが欲しいと思って近所探したんですが、売ってないんですよね。お父さんいつも夏履いてましたよね? ご近所で売ってます?」
「そりゃ売ってるさぁー、東京で売ってないの? それなら今度送ってあげる」
と、有り難くも2枚の真っ白なステテコを送ってもらった。
もちろん、グンゼの綿100%。タグを見るとちょっとビックリ。「日本製」となっていた。10年前でも珍しかった。今でもそうなのかな。
そしてただ染めたんでは面白くないからと、一度水洗いしたステテコを、グチャグチャに丸めて茶色のムラ染めにしてみた。それが冒頭の写真。撮影は最近なので、ちょっとくたびれた感じです。真っ白だったステテコでは、近所への買い物にも行けない感じだったが、これだとステテコとは見えないので行けた。我ながらこのオリジナリティに満足していた。また、こういうちょっとした欺(あざむ)きが好きなのだ。
するとどうだろう、その数年後。あちこちでステテコ売ってるではないかー。真っ白なのはひとつもない。ステテコの「コ」が「CO」とかになってやがる。こうなると、冒頭の写真のステテコが、オリジナリティというよりは、ずいぶん貧相に、またはさらに「オッサン度」が増したように見えてきた。
ん、何かがおかしい。
こんなステテコ売ってないし、実際に私はもう十分オッサンだ。「余計なことを気にせず」、これ履いて買い物に行くんだ、と呟くオッサンであった。あ〜、きょうも暑ぢぃー。
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