2019年7月12日金曜日

ドクダミ風呂


一昨日、一週間の出張から帰ってきたカミさんが、全身を湿疹に覆われていた。ハッキリとした原因は分からないが、その湿疹がとても痒く、夜寝るのもままならないというから大変だ。

皮膚科へ行くと、飲み薬と塗り薬ともに強力なステロイド剤を処方された。飲み薬はあまりにも強力なので、胃薬も一緒にのむというぐらい。ちょっと怖いけど、このステロイド剤っていうのは、短時間で効くんだよな。全身が痒くて眠れないというんだから仕方ないか。数年前、私もこの時期に体調を崩して、ステロイド剤のお世話になったことがあった。テロイド剤のいいところも悪いところも経験している。

natural salt cafe:長い夏風邪(2010年6月25日)

そんな私は、このステロイド剤治療をしながらでも、何か他に出来ることはないかと、昨日仕事をしながら考えていた。そして、思いついたのが、ドクダミだった。今、我が家の裏庭にたくさん生えてるドクダミだ。早速ネットで調べてみると、抗菌、皮膚炎などとあったので、悪くなさそうだ。おそらくベストなのは、採りたてのドクダミをフードプロセッサーでペースト状にして全身に塗りたくることかと思いはしたが、それも大変だ。なので、ハサミで5センチほどに切ったドクダミを洗濯ネットに入れて風呂に入れることにした。それが(冒頭の写真の)ドクダミたっぷりのハーブ風呂だ。難しいことじゃない。

ところで、私は、ドクダミが好きだ。夕暮れ時、暗さが深まるにつれ、浮かび上がってくる純白の花。あれは大変美しい。私は、腎臓・膀胱が弱かったのだが、30年ぐらい前、京都にいた頃、天神さんの市の薬草茶屋さんからドクダミ(十薬)を薦められ、しばらく飲んでいたが、とてもよかった。味も好き。また、私がよく行くベトナムでは、ハーブとしてよく食べる。ただし、ベトナムのドクダミは、日本のよりも、茎がか細くて柔らかく、香りも穏やか。大概、数種類のハーブと一緒に皿に盛られているので、日本人観光客はドクダミと気付かずに食べていたりする。

また、十数年前のこと。当時住んでいた築50年ほどの家の庭が結構広かった。ある夏、「あれっ、この庭にドクダミが一本もないのは寂しいな」と思って、2〜3株のドクダミを植えたことがあった。その2年後、広い庭の半分がドクダミに覆われた。慌てた私は、その群生したドクダミを抜きまくった。地下茎で広がるので、鍬で草刈りではなく根っこごと抜き続けた。時間にして2時間ぐらいかかっただろうか。最初は気がつかなかったが、30分ほど経つと、少しスースーする感じの香りに包まれた爽快感に気がついた。そして草取りが終わった頃には、鼻の呼吸の通りがスムーズになり、全身と脳が軽くなった感覚を味わった。その気持ちよさは今でも忘れられない。ドクダミのアロマテラピーを体験したと思った。今で言うところのデトックス?

またまた話はそれるが、やはり20年前ぐらいにインドのケララへ行って、アーユルヴェーダのセラピーを受けたことがある。その人の体質に合わせて配合された油を額にタラタラ垂らすシロダーラというのが有名だが、ハーブの蒸し風呂もある。1メートル四方の箱の中に入って首から上だけ上面の穴から出す。箱の中では、ハーブが蒸されている。それを1時間ぐらいだったか。文字通り、ハーブの香りに包まれる。ここで話を戻すが、先の2時間のドクダミの草取りで、私は、そのハーブの蒸し風呂を連想したのだった。

さてさて、くどいが、私はドクダミが好きだ。好きだが、ドクダミだけが好きな訳ではない。先述のとおり、あまり自由奔放にさせると大変なことになる。だから、今住んでいる家の裏庭のドクダミも、抜いていかねば、好きなドクダミとうまく付き合っていけない。毎年ドクダミの草取りが終わると、大量の採りたて生ドクダミが目の前にドーン盛られるのだが、これまでは、そのほんの一部を干して、ドクダミ茶(十薬)にするだけだった。

しかし、今回、カミさんが全身の湿疹に罹って、このドクダミの風呂を思いついた。何も、湿疹に罹らなくたって、体調を崩しやすいこの時期、ちょうど純白の花が咲き誇っているドクダミで、五月の菖蒲湯のように、六月〜七月にドクダミ湯をたしなむ。この時期の風物詩としても趣がありませんか? それにこれでうっとうしい梅雨時のドクダミ草取りにも、自然とやる気が起こる。採りたて生ドクダミを、少量のドクダミ茶だけでなく、ただ堆肥にするだけでなく(風呂に使った後、堆肥にすればいい)、フル活用出来るなんて何とすばらしいことか。

いいことばかり書いたが、ちょっと気になることをひとつ。ドクダミの草取りをしていると、ドクダミの香りに包まれる。そして、その生ドクダミをハサミで切っていても部屋中が香りいっぱいになる。だから、その後ドクダミ風呂に浸かる時点では、鼻が慣れてしまっていて、ドクダミの香りに包まれてる感があまりしないのがちょっと残念なことだ。

あと、冒頭の写真は、ドクダミ風呂に入る前の状態。下の写真は、この風呂に浸かりながら洗濯ネットに入ったドクダミの細切れを手でゴシゴシ揉んだ後の状態。深緑色が濃くなっているのが分かると思う。


wikipediaによると、ドクダミという名前の由来は、

どくだみの名称は「毒矯み(どくたみ)」(毒を抑える)から来ている。

とある。「矯(た)める」という言葉を初めて知った。広辞苑(第七版)で、「矯める」の最初に出てくる意味は、「まがっているのをまっすぐにする」とある。歯の矯正の「矯」だ。「毒」は悪いイメージだが、それを矯(た)めるドクダミ。庭にドクダミがはびこって困ったな〜と思ったら、ドクダミ風呂で矯めてみてはいかが?

追記:この後、生ドクダミを煎じて風呂に入れて見た。
natural salt cafe
ドクダミ・ヨモギ風呂〜煎じ汁編

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