2019年7月4日木曜日
ベトナムのベッドの角
2週間ほど前、ベトナムに行った。この20年余り、数十回ベトナムを訪れてきたが、ほぼ定期的に見舞われた、ちょとした災難を、今回改めて経験した。そしてその痛みに耐えながら「これまでに何度もあったよなー」とつくづく思った。それは心がけ次第で防げる災難でもあるので、備忘録、または御守りのようにこのエントリを書きたいと思う。
それは、ベッドだ。
まずは冒頭の写真を見て頂きたい。これは今回、ベトナム・ニャチャンで泊まった一泊30ドルぐらいのホテルの部屋のベッド。知り合いが経営するこのホテルを、私は常宿にしているので、ここにはもう何度も泊まっている。一見、小ぎれいで何の変哲もないように見えると思う。この「何でもないように見える」という、この時点で、この災難はすでに始まっている。おー恐っ。想像だけど、一泊100ドル以上するような高級ホテルのベッドにはこの災難はないような気がする。反対に、10ドルとかのドミトリーのベッドもこうじゃない気がする。この30ドルという宿泊料で、安易に高級感を出そうとしている中途半端なランクのホテルに多く見られることのように思う。
参考まで、下の写真は、日本にある我が家の子供たちのベッド。さて何が違うか。散らかったベットの上の衣類は関係ない。
もう一度、冒頭の写真を見て頂きたい。それは木枠だ。頭の方の木枠は、概ねどちらも共通だが、足下の方にも木枠がついているのは、多くのベトナムのベッドの特徴なのである。何で、こんなのが付いてるのか? おそらく装飾だろう。装飾は別にして、これがあるのとないのとで、現実的に何が違うか想像がつきますか? 無論、ベッドは寝るための物だが、実際には、腰掛けたり、多くの書類を広げて整理するのに使ったりと、この部屋の中心は間違いなくこのベッドである。だから、ベッドの周りをうろつくことは当たり前のことだ。で、下の写真。
この足下の木枠の出っ張り。こうして見ると特別に見えるかも知れないが、例えば数ヶ月ぶりにこのベッドの部屋に入った私の感覚では、この「角」は部屋の風景に溶け込んでいる。そして何の気なしにベッドの近くを歩いているとき、突然、無防備に、強烈に足をぶつける。高さからして、私の場合、だいたい太ももの真ん中ぐらいのところにこの「角」がぶつかる。ぶつけたときは毎回、10分ほどそのままベッドに倒れ込んで痛みが引くのを待たなくてはならない。5センチほどのアザが出来る。そばにノコギリがあったら、衝動的にこの「角」をギコギコ切り取ってしまいたくなる。
今回は、素面(しらふ)でぶつけたが、酔って部屋に帰ってきて太ももぶつけたことが、何度あったことか。晩飯がてらに酒を飲み、気持ちよ〜くホテルの部屋に帰って、フラフラしながらベッド周りを歩いてて、突然、ぶつける。嗚咽とともにベッドの上で痛みに耐えながら「あっ、そーだったー」とそのときは思う。しかし、このベトナムのベッドにお世話になるのは、一年に数日なものだから、次回は忘れていて、またぶつけるの繰り返し。私はこれを、少なく見積もっても10回以上は続けている。
私は、学習能力のない、ただの馬鹿かも知れぬ。しかし、馬鹿なのは私だけではない。ベトナムの人にこの「角」についてきいたことがあるが、「あー、あれね。私も年に2〜3回はぶつけるね。痛いよねー」と言っていた。
この足下の木枠は、明らかに不要と思う。毎日、ベトナムのどこかで、きっと100人ぐらいは、この「角」に足をぶつけて、悲鳴を上げている人がいるんじゃなかろうか。この問題を解決するのに、難しい技術は要らない。ベッドのメーカーは、ただ、ベッドの足下に木枠を付けなきゃいい。また、既存の木枠は取り外してしまえばいい。しかし、なかなかそうはならないこの現実・・・・。
少し、考えてみる。
「明らかにそうした方がいいと思うことが、なぜか現実的にそうはならない」
こういうことって、私たちの身の回りに少なからずあるんじゃなかろうか。ベトナムと日本では、その種類が異なるかも知れないけれど・・・・。酒・煙草は身体によくないと分かっていながら止められない。甘いものを食べ過ぎちゃいけないと知りつつ、そうはならない。化学調味料なんて使わない方がいいのに、ほとんどの食品に使われている。原発なんてない方がいいのに、なくならない。プラスチック容器は止めた方がいいのに、山ほど使われている。その昔、植木等は「分かっちゃいるけど、止められない♪」と唄った。
ベトナムのベッドの「角」がなくならないのは、ポジティブに捉えれば、ベトナムの人たちの包容力や寛容さの現れか。「あれにぶつけると痛いけど、そんなの些細なことじゃない?」ってな感じでね。ベッドの「角」ぐらい、たしかにガタガタ言う程のことではないのかも知れない。それでもやはり私には、簡単になくせるものならば、早いとこなくしちゃえばいのにと思えてならないのだけど・・・・。
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