2010年11月24日水曜日

南イタリアのゴミ箱と中空都市

前のエントリまでで、今回の南イタリア・ツアー旅行の本題だった「食」について主に書いてきた。で、こっからは「食」以外で、私個人的に気になったことを書いてみたい。

ということで、まずはゴミ箱。

私の幼少時代(1960年代)、日本の町のあちこちにゴミ箱があった。たしかモスグリーン色してたようなおぼろげな記憶があるが、最近はめっきり見かけなくなった。現在、公園のゴミ箱はほとんど撤去され、残されているのはコンビニの軒先ぐらいか。

でも、今回行った南イタリアには町のあちこちにゴミ箱があった。最初は懐かしさも手伝って写真を撮ったが、場所を移動していくと、いろいろなタイプがあることに気がついた。そう思ってからは気になって仕方なくなって、新しい町に着くとゴミ箱を探した。ご覧のとおり、どのゴミ箱もおおまかなサイズ・形は一緒だが、素材やデザインがそれぞれ違う。
もっと他のもあったんだけど、何せ今回はグループのツアー旅行だ。バスの車窓を眺めてて、「あー、あのゴミ箱ぉ!」とバスを停めることはできない。そんな状況の下、一週間足らずの間にこれだけあったのだから、イタリア全土では相当の数あることが想像できる。

さて、お気づきと思うが、全て宙に浮いている。昔、日本にあったのもそうでした。宙に浮いてる分だけ、場所を取る割には容量が小さいんだけど、その浮いたところがそれなりの「清潔感」を醸し出しているような気がしてならない。

そこで私が連想するのは、イタリアの古い町だ。イタリアは昔、都市国家だったから、防御も基本的には自分たちの町で行った。そのため、イタリアの古い町はほとんど山や丘の上に作られている。石造りだから石を運ぶ手間、また水のことを考えると決して簡単なことではない。日本風に言えば、山城タイプか。日本では京都など防御のためわざわざ盆地に作られた町も多いが、イタリアの古い町は逆の発想で、山や丘の上、中空に作られている。今回訪れた有名どころの町ではオストゥーニも丘の上。そして右の写真は、トリヴィーニョのアグリツーリズモ、La Foresteria di San Leoから見えた山の上の町。手前は畑で、遠くの山の上に町があるのが分かるかな? そこには行ってないけど、調べてみると、カンポマッジョーレ(Campomaggiore)という町。おそらく数百人ぐらいの町だ。大小に関わらず、こういうのがイタリア全土に点在する。

それで、です。この山の上に町を作る慣習は防御のためだけではないらしいのだ。ペストが流行した際、感染を恐れたこともその理由にあるとのこと。当時は、医学的な原因は分かってなかっただろうから、「感覚的に」山の上に住んだ方が感染しないだろうと考えたんだと思う。山の上だと孤立している感があり、何となく分かる気がする。蟻返しのついたテーブルのようと言ったらいいのかな。

話をゴミ箱に戻そう。

宙に浮いてるゴミ箱と山の上に作られた町。この両者、私には長らくここに暮らす人たちの共通した「清潔感」によるもののように感じるのだ。オリーブがよく育つ湿度の低い気候の下で、風が流れ、ゴミ箱と町が清潔に保たれている。今回唯一歩いた大きな町はナポリだけだったが、そこ以外で訪れた町、村は、どこもとてもこざっぱりしていて、とても清潔に感じた。

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